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「ほんだし」の味の素(2802)は今や"半導体関連"としても知られる存在に。決算の増益はヘルスケア等事業から

決算後に切り返した株価と、世界シェア95%超「ABF」の実力に迫る

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
19:00

そもそも「ABF」とは何か 世界シェア95%超の理由

同社の電子材料事業の中核をなすのが、「味の素ビルドアップフィルム」(ABF)と呼ばれる製品です。1999年に発売された、半導体パッケージ基板に使うフィルム状の絶縁材料としては世界初の製品で、それ以来20年以上にわたり大手半導体メーカーに継続採用されるデファクトスタンダードの地位にあります。ABFはCPUやGPUなど高性能な半導体のパッケージ基板に使われ、顧客ごとにカスタマイズしながら共同開発する形で採用が広がってきました。

同社が2023年6月に開催した事業説明会では、AI向けの高性能コンピューティング(HPC)機器では1台あたりのABF使用量がパソコン向けの10倍以上に達するとの試算や、HPC機器の出荷台数が2023年から2030年にかけて年平均で約22%のペースで伸びるとの見通しが示されていました。今回の決算でヘルスケア等セグメントが大幅増益になったのも、AI・サーバー・ネットワーク向けの高性能基板向けABF販売が好調だったことが主因です。

同社はまた、電子材料・機能材料の開発製造販売を手がける子会社の味の素ファインテクノを2027年4月1日付で吸収合併する準備を始めると6日に発表しました。味の素ファインテクノの売上高は983億円、営業利益は530億円で、電子材料事業を本体に取り込むことで意思決定を迅速化し、競争力の強化を図る狙いとみられます。

バリュエーション評価:急伸後の味の素株はどんな水準にあるのか

8月17日終値(5,721円)ベースの株価指標は、PER(会社予想)が44.2倍、PBR(実績)が7.04倍、配当利回りが0.87%となっています。

同社の年初来高値は7月6日につけた6,340円、年初来安値は1月8日の3,270円で、8月17日終値はこの高値の90%程度の水準まで戻してきました。実際には7月の高値から7月末にかけて4,800円台まで調整する場面があり、そこから決算をはさんで1カ月足らずで急速に値を戻した格好です。半導体関連株全般への物色が続く地合いのなかで買われている面もあり、今回の決算内容だけで説明しきれる上昇かどうかは、今後の値動きも含めて見極める必要があります。

 味の素株の12カ月チャート

出所:各資料より筆者作成1/1
味の素株の12カ月チャート

株主優待は「100株以上」「半年以上の継続保有」で自社製品がもらえる 

同社は毎年3月31日時点の株主名簿に記録された株主を対象に、保有株数と継続保有期間に応じた株主優待を実施しています。100株以上を半年以上継続保有した株主には500円相当、200株以上で2,000円相当、1,000株以上で4,000円相当、2,000株以上を3年以上継続保有した株主には8,000円相当の自社製品などが贈られます。

次回の権利確定日は2027年3月31日です。なお2026年度分の優待品は500円~5,000円相当が2026年7月下旬~8月初旬に、8,000円相当が9月中旬~下旬に発送される予定です。

記者コメント

味の素というと「ほんだし」や「Cook Do」といった調味料のイメージが強いですが、今回の決算を分解してみると、増益の主役はすでに半導体材料事業に移りつつあることがわかります。以前は「味の素」=半導体関連銘柄、というつながりに意外感を持たれていましたが、最近では個人投資家のあいだでも幅広く知られるようになってきています。

足元の株価上昇も、決算内容に加えて半導体関連株全体への物色という地合いの追い風を受けた面がありそうです。AIサーバー向けの旺盛な需要が続く限りこの構図はしばらく続く可能性がありますが、半導体関連需要も相場のセクター物色も変動が大きい分野です。電子材料事業の成長スピードと、食品事業の安定感のバランスが今後どう推移していくか、次回以降の決算にも注目したいところです。

参考

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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