この記事はここがポイント
- 富士通は売上約2/3を占める高利益率サービス事業へ構造転換中
- 2027年3月期1Q営業利益は57%増の525億円、通期も大幅増益を予想
- 前期ROEは23.9%と高効率、1,500億円上限自己株式取得で株主還元も重視
電機大手と聞いて思い浮かべる姿は、いまの富士通(6702)とは少しずれているかもしれない。
株価はこの1年、昨冬の高値から大きく下げ、足元でようやく戻してきた。その裏で、事業の中身は静かに、しかし確実に変わりつつある。株価と決算、そして事業構造を重ねて読み解いていきたい。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
昨冬の高値から春の安値へ、そして戻り
昨秋以降の株価は、大きく往復する展開となった。終値は2025年9月末の3,484円から上昇し、2025年12月末には4,329円と、昨秋以降で最も高い水準をつけた。
だがそこから流れは反転する。2026年3月末には3,172円まで下げ、昨秋以降では最も低い水準となった。高値からの下落率は3割近くに達する。
その後は持ち直し、7月末は3,659円、8月時点は3,719円まで戻している。急落した水準からは2割弱の戻りだが、昨冬の高値にはなお届いていない。
2027年3月期1Qは営業利益57%増、本業は好調
株価が往復する裏で、足元の本業は堅調だ。2027年3月期1Qは、継続事業の売上収益(IFRS)が7,794億円で前年同期比3.9%増、営業利益は525億円で同56.9%増となった。増収以上に利益が伸びている。
一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益は401億円と、前年を下回った。ただし、これは業績の悪化ではない。前年同期には、子会社の売却などによる一過性の非継続事業の利益が計上されており、その反動で最終利益が見かけ上減っただけだ。
本業を映す継続事業の利益は、むしろ増えている。会社は通期でも、営業利益が前期比19.1%増の4,150億円になると見込んでいる。
ハードからサービスへ、進む構造転換
富士通の利益は、いまどこから生まれているのか。答えははっきりしている。サービスソリューション事業だ。
前期にあたる2026年3月期では、この事業が売上収益の3分の2を占め、調整後の営業利益率は15%を超える。DX需要を取り込むこの領域が、全社の利益をけん引している。
対照的に、かつての主役だったサーバーやパソコンなどのハードウェアは、売上が縮小している。サーバー・PCのメーカーというかつての姿から、ITサービス企業へと軸足を移す。その転換が、数字のうえでも進んでいる。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
