「総合電機」という印象と、高い資本効率
富士通には、サーバーやパソコンを幅広く手がける総合電機、という印象が今も残る。だが1次情報が示すのは、高採算のサービスを軸にした、資本効率の高い会社の姿だ。
前期のROEは23.9%と、電気機器の中央値であるおよそ7%を大きく上回った。一過性の利益がこの数字を押し上げた面はあるが、本業の収益力の高まりも確かに寄与している。
会社は株主還元にも積極的で、前期の決算にあわせて総額1,500億円を上限とする自己株式の取得枠を新たに設定した。稼ぐ力と還元の姿勢の両面が、株価の下支えになっていると読み取れる。
筆者コメント
株価の往復に目を奪われると、この会社で起きている本質的な変化を見落としてしまう。
昨冬から春にかけての下落は派手だったが、その間も本業の利益は積み上がっていた。株価の上下と、事業の実力の伸びは、必ずしも同じ歩調ではない。
私が注目したいのは、富士通が「ハードの会社」から「サービスの会社」へと、収益の重心を移し終えつつある点だ。売上の3分の2をサービスが占め、そこが高い利益率で全社を支える構造は、数年前とは明らかに違う。
見かけの最終利益は一過性の要因で振れるが、継続事業の利益とサービス事業の伸びを追えば、実力の方向は見えてくる。
株価が昨冬の高値を再びうかがう展開になるかどうかは、このサービス事業がどこまで利益を伸ばし続けられるかにかかっている。往復する株価の内側で進む構造転換を、静かに見守りたいと考えている。
免責事項
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オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
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