執筆者川勝 隆登ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/AFP
監修者和田 直子編集者 株式会社モニクルリサーチ
06:22

【元銀行員の監修者からのアドバイス】NISAの運用で迷わない!S&P500やオルカンが高値圏のときに見直したい4つの視点

「今から始めても遅くないか」という不安の多くは、目先の価格変動(値動き)だけに捉われてしまうことから生まれます。しかし、NISA制度の仕組みや資産ごとの特性を正しく紐解き、投資の手法を切り分けて考えれば、スタートする時期への過度な不安は解消されるはずです。元銀行員の視点から、判断の拠り所となる4つのアプローチを整理します。

1. NISAでの「毎月の積立」と、まとまった資金の「一括投資」を切り離す

市場が高値圏にあるときこそ、「NISA口座での毎月の積立」と「手元にあるまとまった余剰資金の運用」は分けて考えるべきです。購入時期を分散させる積立投資は、価格の上下に関わらず今すぐ始めるメリットがあります。一方で、まとまった資金を一括で動かす場合は、高値圏にある株式だけでなく、金利の恩恵を受けやすい債券などへと視点を広げ、資産ごとの「買い時」を慎重に見極める姿勢が大切です。

2. S&P500とオルカンの違いを正しく理解し、資産を分散する

多くの投資家に選ばれている「S&P500(米国株)」と「オルカン(全世界株)」ですが、これらは内包するリスクの大きさが異なります。一見同じような値動きに見えても、米国一国への集中か、世界中への分散かによって、市場急変時のダメージには差が出ます。これまで続けてきたS&P500の運用をベースにしつつ、オルカンで世界に広げたり、ゴールドなどの異なる資産を組み合わせたりして、ポートフォリオのバランスを整えましょう。

3. NISAの「成長投資枠」を眠らせず、積立の延長として活用する

NISAの「つみたて投資枠」だけを使い、「成長投資枠」を未使用のまま眠らせてしまうケースは非常に多いですが、この枠は決して「一括投資や短期売買だけのためのもの」ではありません。つみたて投資枠の容量を補う形で、同じようにS&P500やオルカンなどの積立設定を増やすために活用することも可能です。枠の名前のイメージに縛られず、非課税枠という限られた原資を最大化する視点を持つと選択肢が広がります。

4. 信託報酬などのコストと、NISA運用のゴールを再確認する

商品を選ぶ際は、信託報酬をはじめとする「確実にかかるコスト」と、その商品が目指す「期待リターン」の仕組みを正しく理解することが不可欠です。

S&P500やオルカンに代表される低コストなインデックスファンドと、コストをかけてでも市場平均超えを狙うアクティブ運用の違い、あるいは将来の出口戦略まで含め、自分の老後資金のゴールに合致しているかを精査することが、結果として一番の近道になります。

元銀行員として数多くの資産運用をお手伝いしてきた経験からお伝えしたいのは、「完璧な投資のタイミングを待つこと」が必ずしも正解ではないということです。

特に現在の市場環境では、S&P500やオルカンが高値圏にあるように見え、NISAでの次の一歩を躊躇してしまう気持ちはよく分かります。しかし、長期投資において最も大切なのは「市場の予測」ではなく「ご自身のゴールの設定」です。

積立による時間分散と、適切な資産へのリスク分散さえ徹底すれば、NISAはいつから始めても強力な味方になってくれます。焦ってまとまった資金を一括投資する必要はありません。まずは老後のゴールから逆算し、今できる等身大の積立から再スタートしていきましょう。

NISAの資産運用で知っておきたい用語

  • 成長投資枠:NISAの枠のひとつで、個別株やアクティブファンドなど、つみたて投資枠より幅広い商品に投資できます。
  • つみたて投資枠:長期の積立・分散に向いた投資信託を、毎月少しずつ積み立てるためのNISAの枠です。
  • オルカン(全世界株式):日本を含む全世界の株式に幅広く分散投資する投資信託の通称です。S&P500は米国株式に限定される点が異なります。
  • インデックス運用:特定の株価指数に連動することをめざす運用方法です。アクティブ運用は指数を上回る成果を目指して運用会社が独自に銘柄を選定します。
  • 複利:投資で得た利益を再投資することで、利益が利益を生み出していく仕組みです。長期の積立投資で効果を発揮しやすいとされています。
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川勝 隆登ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/AFP
和田 直子編集者 株式会社モニクルリサーチ

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