「所得が年金のみのシニア」は半分以下。「高齢者の所得や貯蓄」の実態を探る
老後の収入の柱は、公的年金です。厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(65歳以上の人だけ、または18歳未満の未婚者が加わった世帯)の総所得に占める公的年金・恩給の割合は61.3%。働いて得る稼働所得は25.9%で、家計のおよそ6割を年金が支えていますが、それ以外の所得もある程度を占めています。
高齢者の所得
さらに、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、「公的年金・恩給だけで暮らしている」(総所得に占める割合が100%の)世帯は41.3%にのぼります。
年金が所得に占める割合
つまり、半分以上の世帯は年金のみの所得ではありません。
年金は老後の土台として心強い一方、それだけでゆとりある暮らしまでまかなえるとは限りません。年金で足りない分を、貯蓄の取り崩しや、働き続けることで補う世帯も多いのが実情です。長生きが当たり前になるなか、「公的年金+自分の蓄え」で長い老後をどう支えるかが問われているでしょう。
【60歳代・70歳代の平均貯蓄額】二人以上世帯・単身世帯はそれぞれいくらか
では年金を支える貯蓄について、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」で確認しっましょう。60歳代・70歳代の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
60歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
60歳代の貯蓄円グラフ
60歳代の二人以上世帯は、平均2683万円・中央値1400万円。退職金が加わる世帯もあり、2000万円以上の世帯が39.6%に増える一方、貯蓄のない世帯も12.8%あります。
70歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
70歳代の貯蓄円グラフ
- 70歳代二人以上世帯:平均2416万円/中央値1178万円
70歳代の二人以上世帯は、平均2416万円・中央値1178万円。年金生活のなかで少しずつ取り崩す世帯が増え、60歳代よりやや下がります。それでも2000万円以上が37.5%を占め、貯蓄のない世帯は10.9%です。
60歳代単身世帯の貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま60歳代の貯蓄額
- 60歳代単身世帯:平均1364万円/中央値300万円
60歳代の単身世帯は、平均1364万円・中央値300万円。2000万円以上の人が21.1%いる一方、貯蓄のない人も30.4%と、二人以上世帯より高くなっています。
70歳代単身世帯の貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま70歳代の貯蓄額
- 70歳代単身世帯:平均1489万円/中央値500万円
70歳代の単身世帯は、平均1489万円・中央値500万円。60歳代より中央値が上がり、貯蓄のない人は20.4%に下がります。2000万円以上は25.4%です。
人生100年時代に向けた具体的な備えを
平均寿命は年々伸びていますが、平均的な高齢者は総所得に占める公的年金・恩給の割合は61.3%で、それ以外の所得もある状況です。また、貯蓄額をみても個人差や世帯差が大きく、人生100年時代では心もとなさを感じる人も少なくないでしょう。
長い老後は、年金という土台に、自分の蓄えと工夫を重ねて支えていくものです。まずは、わが家の年金額と毎月の生活費を書き出して、現在地を確かめることから始めてみませんか。
参考資料
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野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。

人生100年時代の老後の対策としては、まず「わが家の年金額」を正確に把握すること。ねんきんネットやねんきん定期便で、世帯として毎月いくら受け取れるかを確かめます。年金で生活費をまかなえるか、足りない分はいくらかが、家計づくりの出発点になるでしょう。
また長い老後を前提に、貯蓄の取り崩しペースも計算したいところ。平均寿命が延びるなか、90歳、95歳まで続く暮らしを想定し、1年間に使う額を決めておくと、蓄えを長持ちさせやすくなります。
そして、年金以外の「小さな収入」も検討すること。短時間の仕事や、趣味を生かした収入など、無理のない範囲で年金を補う手立てがあると、家計にゆとりが生まれる場合もあります。