執筆者太田 彩子LIMO&ファイナンス編集部記者
14:30

高齢者世帯の4割超が「所得の全部が公的年金」

もう一つ押さえておきたいのが、公的年金への「依存度」です。「2025年 国民生活基礎調査」で公的年金・恩給を受給する高齢者世帯を対象に、総所得に占める公的年金・恩給の割合別の分布を見ると、次のようになりました。

公的年金・恩給が総所得に占める割合別 世帯構成

  • 20%未満:4.2%
  • 20〜40%未満:9.7%
  • 40〜60%未満:13.6%
  • 60〜80%未満:14.1%
  • 80〜100%未満:17.1%
  • 100%(すべてが公的年金・恩給):41.3%

所得の全部を公的年金・恩給に頼る世帯が41.3%に達し、「80〜100%」の17.1%を合わせると58.4%の高齢者世帯が所得の8割以上を年金に依存している計算です。

この層にとって、加入していた制度が厚生年金だったのか国民年金だったのかは、生活水準を決める大きな要因といえます。

厚生年金加入者が月約15万円で暮らすのと、国民年金のみの受給者が月約6万円で暮らすのとでは、家賃・食費・医療費のかけ方まで根本的に変わってくるからです。

【筆者からのアドバイス】制度差を意識した3つの備え方

受給額の制度差は、現役時代からの備え方でカバーできる部分もあります。ここでは、老後の年金依存度を踏まえた3つの視点を整理します。

「自分の加入区分」を年単位で確認する

会社員から独立してフリーランスになった、専業主婦(主夫)期間がある、といった加入区分の変遷は、そのまま老後の受給額に反映されます。

ねんきん定期便やねんきんネットで加入履歴を確認し、空白期間があれば任意加入や追納で埋められないかを検討しておきましょう。

国民年金加入者は「上乗せ」の制度を組み合わせる

自営業やフリーランスなど国民年金のみの加入者は、iDeCo・国民年金基金・付加年金など上乗せの制度を活用する余地があります。

iDeCoは掛金全額が所得控除の対象となり、老後資金の準備と現役時代の税負担軽減を同時に進められる仕組みです。

「就労収入をどこまで伸ばせるか」も選択肢に

高齢者世帯の稼働所得は平均で25.9%を占めており、再雇用やパート、副業などの継続就労は年金の穴を埋める現実的な選択肢です。

年金依存度を100%にせず、就労収入の柱をどこまで維持できるかは、老後の家計に厚みを持たせる大きな要素になります。

まとめにかえて

厚生年金と国民年金の受給額差は、全体平均で月約9万円、老後20年に換算すると約2180万円にのぼります。

高齢者世帯の平均所得が336万1000円で、その6割超を公的年金が支えている現状を踏まえると、この差はそのまま生活水準の差につながる規模です。

とくに高齢者世帯の41.3%が「所得の全部が年金」という状況にあることを考えれば、現役時代の加入区分の選択は、老後の暮らしを大きく左右する意思決定だといえます。

ねんきん定期便で見込額を把握したうえで、iDeCoや継続就労、貯蓄の使い分けをどう組み立てるかを、早めに描いておくことが安心につながります。

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