「厚生年金月15万円は多い?少ない?」1000世帯以上の家計相談をしてきたFA(ファイナンシャルアドバイザー)が語る広がる老後格差の実態
ayanonnon/shutterstock.com
執筆者徳田 椋ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者
14:30
「厚生年金月15万円は多い?少ない?」1000世帯以上の家計相談をしてきたFA(ファイナンシャルアドバイザー)が語る広がる老後格差の実態
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この記事はここがポイント

  • 厚生年金は性別や働き方で受給額に格差が大きく、自身の見込額の早期確認が肝要
  • 厚生労働省データでは、男性平均16万9967円、女性11万1413円と厚生年金に5万円超の男女差
  • 年金不足にはiDeCo、NISA、繰下げ受給、60歳以降の就労継続など複数選択肢を組み合わせた備え

本格的な夏がはじまった7月、電気代や食料品の値上げが続き、家計のやりくりに頭を悩ませているご家庭も多いのではないでしょうか。「うちは月いくらの年金で暮らせるだろう」「隣近所はどれくらいもらっているのだろう」と気になる方も少なくないはずです。

筆者は生命保険会社や総合保険代理店を経て、現在はファイナンシャルアドバイザーとして活動していますが、これまで1000世帯以上のお客様の家計相談をお受けする中で、特に老後資金の準備に関するリアルなお悩みを数多く伺ってきました。

厚生年金の平均は月15万円台と言われることがありますが、実際の受給額は現役時代の働き方によって大きく異なります。今回は、厚生年金月15万円という水準をものさしに、老後の受給額に生じる格差の実態について解説します。

年金の基本、国民年金と厚生年金は「2階建て構造」

公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。

厚生年金と国民年金の仕組み

国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。

厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた保険料(※2)を納めます。

厚生年金は「年金加入月数」と「納めた保険料」で老後の年金額が決まるため、現役時代の働き方の違いが老後の受給額に反映されやすい仕組みです。

※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

2026年度の年金額、《6月15日支給分から増額改定された》

公的年金の支給日は「偶数月の15日(※)」で、2026年度の改定額が反映されたのは先日6月15日の支給分(4月・5月分)からでした。次回の支給日は8月14日(金)です。

厚生労働省によると、2026年度のモデル世帯(夫婦2人分の標準的な年金額)は月23万7279円となり、前年度から改定率がプラスとなりました。

令和8年度 年金額の例

老齢基礎年金の満額は月7万608円(昭和31年4月2日以降生まれ)となり、2025年度の月6万9308円から約1300円の増額です(※2)。

※ 15日が土日祝の場合は前営業日
※2 昭和31年4月1日以前生まれの人は月7万408円

厚生年金月15万円は多い?少ない?広がる老後格差の実態

厚生年金の月15万円という金額は、全体の平均値に近いレンジです。しかし平均の裏側では、性別や働き方によって大きな差が生じています。厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の最新データから確認します。

厚生年金 階級別受給権者数

厚生年金の平均月額を男女別で見ると、男性が16万9967円、女性が11万1413円と、5万円以上の差があります。月15万円という水準は、男性平均を下回り、女性平均を上回るちょうど中間ゾーンです。

階級別受給権者数の分布では、月10万円未満の層が約305万3974人(全体の約19.0%)に達する一方、月20万円超の層は約302万7673人(約18.8%)と、両極が均衡している状況が見えてきます。

同じ厚生年金でも「新卒からフルタイムで40年間働き続けた層」と「途中でパートや専業主婦(主夫)期間を挟んだ層」では、加入月数と平均標準報酬額の両方で差が広がりやすく、老後の受給額の格差につながっています。

【筆者からのアドバイス】平均を鵜呑みにせず、自分の見込額を早めに確認する

本記事では、厚生年金月15万円という水準を軸に、性別や働き方によって老後の受給額に広がる格差の実態を整理しました。平均は平均でしかなく、自分自身の受給額とは切り離して捉える必要があります。

「厚生年金の平均は月15万円台」という数字は目安になる一方、個人ごとの受給額とは必ずしも一致しません。自分の年金額を正確に把握するには、「ねんきん定期便」やねんきんネットで見込額を早めに確認し、老後の生活費と照らし合わせて資金計画を立てることが大切です。

不足額が見えてきた場合には、iDeCoやNISAでの積み立て、繰下げ受給の活用、60歳以降の就労継続など、複数の選択肢を組み合わせて備えていきましょう。

老後の家計は、年金だけに頼るのではなく、預貯金や自助努力による資産形成を組み合わせて、複数の柱で支える発想が求められる時代になっています。

記事にもある通り、現役時代の働き方によって年金の受給額には大きな個人差が生じるため、平均値にとらわれず「ねんきん定期便」などでご自身の見込額を正確に把握することが老後対策の第一歩となります。 その上で、物価上昇が続く昨今の状況も踏まえ、NISAやiDeCoなどを活用した計画的な資産形成を少しでも早くスタートさせ、ゆとりある老後生活への備えを固めていきましょう。

参考資料

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徳田 椋ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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