「個人向け国債は買ってはいけない」と言われる3つの理由
個人向け国債はリスクが低い商品として知られていますが、「自分には向かない」と感じる方がいるのも事実です。
その理由として挙げられる主なポイントを整理します。
①インフレに負けるリスクがある
近年は物価高が続いており、インフレ傾向にあるといえます。
個人向け国債は安全性の高い商品ですが、物価上昇率(インフレ率)が金利を上回ると、受け取る利子の金額は変わらなくても、実質的な資産の価値は目減りします。
特に固定金利タイプ(固定3年・固定5年)は、金利上昇が続く局面では「もっと高い金利で運用できたかもしれない」というリスクが伴います。
②購入後1年間は換金できない
個人向け国債は、購入から1年間は原則として中途換金ができません。
1年が経過した後であれば1万円単位での換金が可能ですが、その際は直近2回分の利子相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれます。
近いうちに使う予定のある資金や、急な出費に備えておきたい生活費の一部には向かない商品です。
「もしかしたら早めに使うかもしれない」という資金は、いつでも引き出せる預金で管理しておく方が安心です。
③資産を大きく増やすのは難しい
個人向け国債は元本が保証されており、安定した利子収入が得られます。
ただし、株式や投資信託のように価格の値上がりによる利益(キャピタルゲイン)は期待できません。
老後資金をしっかり増やしたい、運用でまとまった資産をつくりたいという目的には、別の手段も組み合わせた方がよいでしょう。
それでも「買う価値がある」と感じる3つのメリット
デメリットを踏まえたうえで、個人向け国債ならではの強みも確認しておきましょう。
①元本割れリスクがほぼない
個人向け国債は国が発行する債券で、満期まで保有すれば元本は保証されています。
株式や投資信託と比べて価格変動リスクがなく、「絶対に減らしたくない資金」の置き場として安心感があります。
②変動10年は金利上昇の恩恵を受けやすい
変動金利タイプの10年物は、半年ごとに金利が見直されます。
「これからも金利が上がるかもしれない」という局面では、市場金利の上昇に連動して受け取れる利子が増える可能性があります。
また、下限金利として年0.05%が保証されているため、極端に金利が下がっても最低限の利子は受け取れます。
③1万円から購入できる手軽さ
1万円から購入できるため、まとまった資金がなくても始めやすいのも特徴のひとつです。
安全性を重視しつつ、銀行預金より少しでも高い金利を得たいという方にとっては、検討する価値がある選択肢といえます。
「買ってはいけない」のではなく、「自分に合っているか」で判断を
個人向け国債が「買ってはいけない」と言われることがあるのは、資産を大きく増やすことへの期待や、流動性の高さを求める方にとって期待に応えにくい場面があるからです。
一方で、元本割れのリスクを抑えながら預金よりも高い金利を受け取りたい方には、合っている選択肢になり得ます。
2026年7月募集分の金利は、変動10年が1.80%、固定5年が1.95%、固定3年が1.56%と、比較的高い水準にあります。
ただし、金融機関の定期預金キャンペーンを活用すると個人向け国債の金利を上回るケースも出てきているため、比較してから判断することをおすすめします。
「満期まで使わない資金かどうか」「インフレに備えた別の備えがあるか」を確認したうえで、ご自身の目的に合った使い方を検討してみてはいかがでしょうか。
【免責事項】
- 本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。
- 投資には元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行われるようお願いいたします。
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三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
PROFILE
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。社内表彰歴多数。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。現在は、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、および専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて、企画・執筆・編集・監修を幅広く担当している。
金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、NISAや投資信託をはじめとするファイナンス領域を主軸に、その土台となる年金制度や社会保障、住宅ローン、相続まで横断的に分かりやすく解説。
