「65歳の年金請求書、春に届く人と冬に届く人ってどう違うの?」
実は年金請求書が届く時期は、誕生月によって決まります。
誕生月の3カ月前に発送されるため、春・夏・秋・冬いずれの季節にも該当者が発生する仕組みです。
銀行員時代、65歳前後のお客さまから「緑色の封筒が届いたけれど、いつ何を提出すればいいの?」とご相談いただくことがありました。
届く時期が人によって異なるため、「自分はいつ届くのか」があらかじめわかっていると、書類の準備もスムーズに進められます。
今回は、日本年金機構の資料をもとに、誕生月ごとの年金請求書スケジュールと、届いてから提出までにやるべきことを順にご説明します。
年金の基本:国民年金と厚生年金の「2階建て構造」
年金請求書の手続きに入る前に、公的年金の基本的な仕組みを確認しておきましょう。
厚生年金と国民年金の仕組み
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成る2階建て構造です。
老齢年金は自動的に振り込まれるものではなく、65歳の誕生日以降に「年金請求書」を提出する手続きが必要です。
誕生日の3カ月前を目安に、日本年金機構から緑色の封筒が自宅に届きます。
2026年度の年金額の目安
2026年度に65歳を迎える方は、以下の水準をもとに、ご自身の加入期間や報酬に応じた金額が支給されます。
令和8年度の年金額の例
- 国民年金(老齢基礎年金):月7万608円(1人分・40年間納付の満額)
- 厚生年金:月23万7,279円(夫婦2人分の標準的な場合)
実際の受取額は個人によって異なります。
ご自身の見込み額は、毎年届く「ねんきん定期便」やマイナポータルの「ねんきんネット」でも確認できます。
誕生月×季節別、年金請求書の到着スケジュール
誕生月から3カ月前が請求書の発送目安です。
自分の誕生月に合わせて、届く時期を確認しておきましょう。
【春生まれ】4〜6月生まれ → 請求書は1〜3月ごろ届く
4月生まれは1月、5月生まれは2月、6月生まれは3月に請求書が発送されます。
確定申告や年度末の手続きとも重なる時期のため、封筒が届いたら早めに中身を確認しておくと安心です。
実際の提出は4〜6月の誕生日以降になります。
【夏生まれ】7〜9月生まれ → 請求書は4〜6月ごろ届く
7月生まれは4月、8月生まれは5月、9月生まれは6月に請求書が発送されます。
新年度やゴールデンウィーク、梅雨のタイミングで届くことが多いため、夏休みまでに書類の準備を進めておくと余裕をもって対応できます。
【秋生まれ】10〜12月生まれ → 請求書は7〜9月ごろ届く
10月生まれは7月、11月生まれは8月、12月生まれは9月に請求書が発送されます。
夏の帰省シーズンに届くケースも多く、家族と顔を合わせるタイミングで受給開始時期について相談しやすい時期ともいえます。
【冬生まれ】1〜3月生まれ → 請求書は前年の10〜12月ごろ届く
1月生まれは前年の10月、2月生まれは11月、3月生まれは12月に請求書が発送されます。
年末の慌ただしい時期に届くことが多いため、郵便物の中に紛れて見落とさないよう、意識しておくとよいでしょう。
封筒が届いたらやるべき3つのステップ
季節を問わず、緑色の封筒が届いたら以下の手順で対応しましょう。
①開封して中身をすべて確認する
封筒の中には、年金請求書(本紙)のほか、加入記録の一覧・手続きの案内リーフレット・返信用封筒が入っています。
届いたらまずすべて取り出し、内容を確認しておきましょう。
②加入記録を過去の職歴と照合する
同封されている加入記録は、これまでの「ねんきん定期便」で確認してきたものと同じ形式です。
過去の転職や就職の経歴と照らし合わせて、記録に漏れや誤りがないかを確かめましょう。
もし不一致がある場合は、年金事務所に相談して訂正手続きを行います。
③必要書類を集めて誕生日以降に提出する
提出に必要な書類は主に以下の通りです。
- 戸籍謄本(または戸籍抄本)
- 住民票(世帯全員分)
- 本人の預金通帳(振込先確認用)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 配偶者がいる場合は配偶者の年金証書など
誕生日を過ぎたら、お近くの年金事務所または年金相談センターへ提出します。
なお、66歳以降に受給を遅らせる「繰下げ受給」を選ぶ場合は、あえて請求しないという方法もあります。ご自身の状況に合わせてご検討ください。
封筒に同封されている場合がある「年金生活者支援給付金請求書」とは
一定の要件を満たす方には、年金請求書と同じ封筒の中に「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。
見落としやすい書類ですが、対象となる方には大切な給付ですので、封筒を開けた際にあわせてご確認ください。
支給要件
老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受けている(※1)
- 請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税である
- 前年の年金収入とその他の所得の合計が、一定の基準以下である(※2)
所得の基準は生年月日によって以下のように異なります。
- 昭和31年4月2日以後生まれの方:老齢年金生活者支援給付金は809,000円以下、補足的老齢年金生活者支援給付金は809,000円を超え909,000円以下の方
- 昭和31年4月1日以前生まれの方:老齢年金生活者支援給付金は806,700円以下、補足的老齢年金生活者支援給付金は806,700円を超え906,700円以下の方
※1 旧法の老齢年金・旧共済の退職年金など、老齢・退職を支給事由とする年金も対象となります。請求書は65歳になる誕生日の前日以降に提出できます。
※2 障害年金・遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。
2026年度の給付額(基準額)
2026年度(令和8年度)の給付基準額は月額5,620円です。
ただし、これはあくまでも基準額であり、実際の給付額は保険料の納付済期間や免除期間などに応じて算出されます。
年金請求書と同じタイミングで手続きを済ませておくと、受け取り忘れを防げます。
まとめ
年金請求書の到着時期は、誕生月の3カ月前が目安です。
春・夏・秋・冬いずれの季節にも対象者がいるため、自分の誕生月から逆算して「いつごろ届くか」を把握しておくと、書類の準備をゆとりをもって進められます。
封筒が届いたら、加入記録の照合・必要書類の準備・誕生日以降の提出という流れで対応しましょう。
年金生活者支援給付金の請求書が同封されている場合は、こちらもあわせて忘れずに手続きしてください。
請求書が届かない場合や紛失した場合は、年金事務所へ問い合わせれば再発行してもらえます。
不明な点は「ねんきんダイヤル」やお近くの年金事務所(要事前予約)にご相談ください。
参考資料
三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
