満期を待たずに利益を狙う「途中売却」もアリ?
米国債(ゼロクーポン債)は、満期償還まで持ち続けることで、購入時に確定していた利回り(複利効果)を確実に得ることができます。
しかし、必ずしも10年間持ち続ける必要はありません。保有期間中に米国の金利が下がった場合には、途中で売却して利益を確定させるという選択肢もあります。
債券の世界には、
- 金利が下がると、債券の価格が上がる
- 金利が上がると、債券の価格が下がる
という、絶対的な「シーソー関係」が存在します。
もし購入後に米国の金利が低下(利下げ)した場合、保有している「4.2%という高利回りの債券」の価値が市場で相対的に高くなるため、ドル建ての市場価格が跳ね上がります。
ゼロクーポン債は、満期に向かって時間が経つだけでも徐々に価格が上がっていきますが、そこに「米国の利下げ」が重なると、価格上昇に大きなブーストがかかります。
このタイミングを狙って途中売却をすることで、満期を待たずにまとまった「売却益(キャピタルゲイン)」を得るチャンスが生まれるのです。
中途売却時の注意点:「その時の為替レート」に左右される
ただし、満期前の途中売却には注意も必要です。
売却してすぐに日本円に交換する場合は、必ず「その時の為替レート」を確認しましょう。
金利低下によって「ドル建ての債券価格」がどれだけ上昇していても、同時に急激な円高が進行していた場合、円に換算(円転)した段階で値上がり益が相殺されたり、最悪の場合はマイナス(円建てでの元本割れ)になったりする可能性があるからです。
売却益を狙って途中売却をする場合は、「ドル建ての価格上昇」と「為替レート」の両方を天秤にかけ、トータルでプラスになっているかを必ずチェックしてください。
まとめ
「1ドル=162円台」という歴史的な円安の今、米国資産を買うのは一見リスクが高く見えるかもしれません。
しかし、今回シミュレーションした通り、4.2%という利回りを「半年複利」のゼロクーポン債で味方に付ければ、10年後に106円台という超円高に巻き戻っても元本割れしないという「ディフェンス力」を持って投資をスタートできます。
日本の定期預金や個人向け国債よりも一歩進んだ利回りを狙いつつ、株ほどハラハラしたくない。そんな思いを持つ方の選択肢の一つとして米国債をご紹介しました。
投資において「万能な正解」はありません。
大切なのは、ご自身のゴール(目標金額)に対して、どの程度の値動きならハラハラせずに待てるかという「リスクの許容度」を把握すること。今回のシミュレーションを一つの基準として、ご自身のライフプランに最適な運用方法を冷静に見極めていきましょう。
直近1年間の米国債10年物利回り
【免責事項】
- 投資にはリスクが伴います。
- 本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
PROFILE
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。社内表彰歴多数。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。現在は、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、および専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて、企画・執筆・編集・監修を幅広く担当している。
金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、NISAや投資信託をはじめとするファイナンス領域を主軸に、その土台となる年金制度や社会保障、住宅ローン、相続まで横断的に分かりやすく解説。
