この記事はここがポイント
- ドトール・日レスHDの2027年2月期中間決算は、一般卸売上の伸長などにより営業利益が前年同期比38.1%増の73億8,400万円と好調
- 通期営業利益予想の110億4,300万円は据え置いたものの、上期のみで進捗率66.9%に到達
- 中間配当を32円へ2円増額し、ToSTNeT-3による約26.4億円の自社株買いも実施
「ドトールコーヒーショップ」や「洋麺屋五右衛門」「星乃珈琲店」などを展開するドトール・日レスホールディングス<3087>は、13日の大引け後に2027年2月期の中間決算(2026年3~8月)を発表しました。
営業利益は前年同期比38.1%増となり、4月14日に公表していた中間期の業績予想を28.6%上回っています。
あわせて、中間配当を当初予想の30円から32円に増額したほか、ToSTNeT-3(自己株式立会外買付取引)による自社株買いを発表・実施しました。一方で、通期の業績予想は据え置いています。
上期の好調の中身と、据え置かれた通期予想の読み方を確認していきましょう。
上期は計画を大きく上回る営業増益に
2027年2月期中間決算の主な数値は次のとおりです。
- 売上高:857億3,600万円(前年同期比7.5%増)
- 営業利益:73億8,400万円(同38.1%増)
- 経常利益:75億3,400万円(同37.0%増)
- 中間純利益:52億1,900万円(同32.7%増)
営業利益率は前年同期の6.7%から8.6%に上がりました。
同社は、卸売が計画以上に伸びたことによる売上構成比の変化で粗利率がわずかに上がり、人件費をはじめとした管理コストの改善も進んだと説明しています。原材料の高騰には「一服感」があるとしつつ、為替変動による下振れリスクなど、コスト上昇への警戒も示しています。
稼ぎ頭はドトールコーヒーグループ、伸びを支えた卸売
3つのセグメントのうち、売上高・利益ともに最も大きいのがドトールコーヒーグループです。
上期の売上高は532億1,900万円(前年同期比10.5%増)、セグメント利益は40億3,400万円(同48.9%増)でした。
直営店及びフランチャイズシステムによるコーヒーチェーンの経営に加え、コーヒー豆の仕入、焙煎加工から、コンビニエンスストア等へのコーヒー製品の販売までを手がけています。
上期に目立ったのが卸売の伸びです。フランチャイズ店舗向けを除く連結の一般卸売上は198億7,900万円(前年同期比22.7%増)と大きく伸びました。
インスタントコーヒーや詰替え商品、ドリップコーヒーなどが、通信販売やスーパー、ドラッグストアなどの量販店での販売拡大と、新規取引先の増加で伸びています。
通期予想は据え置き、上期だけで進捗率66.9%
通期の業績予想は、営業利益110億4,300万円(前期比8.8%増)など、4月14日に公表した内容から変わっていません。上期の実績を当てはめると、営業利益の進捗率は66.9%です。
同社の営業利益は、例年上期に通期の5~6割程度を稼ぐ傾向があります。2024年2月期は55.5%、2025年2月期は59.7%、2026年2月期は52.7%でした。今期の66.9%は、この水準を大きく上回っています。
ただ、同社は決算短信のなかで、売上は拡大基調にあるとしつつも、原材料価格や水道光熱費、物流費、人件費などのコスト上昇が業績に影響を与える状況が続いていると説明しています。そのうえで、通期予想については「更なる業績の進捗を見極めるため」として据え置きました。
中間配当は2円増額の32円、ToSTNeT-3による自社株買いも
中間配当は当初予想の30円から32円に増額し、年間配当の予想は62円(前期は57円)となりました。期末配当は30円の予想のままですが、改めて検討するとしています。
自社株買いは、10月14日朝にToSTNeT-3を通じて、10月13日の終値3,160円で行われました。
市場での買付けではなく、立会外で売り注文に対当する分だけを買い付ける形で、上限90万株に対し、取得したのは83万6,200株(26億4,239万2,000円)です。
取得はこれで終了しています。取得理由は「経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の一環」としています。
ドトール・日レスHDの10月16日の株価
10月16日の終値は3,245円(前日比+10円、+0.31%)です。この株価をもとにした指標は次のとおりです。
- PER(会社予想):18.05倍
- PBR(実績):1.25倍
- 配当利回り(会社予想):1.91%
ドトール・日レスHDの年間チャート
株主優待は2月末日の株主が対象
同社は株主優待制度を設けています。
毎年2月末日時点で100株以上を保有する株主が対象で、保有株数に応じて「株主ご優待カード」が贈られます。
- 100株以上300株未満:1,000円分
- 300株以上500株未満:3,000円分
- 500株以上:5,000円分
贈呈は毎年5月末の予定です。
株主ご優待カードはドトールバリューカードの一種で、手持ちのドトール バリューカードに残高を合算することもできます。
8月末は配当の基準日ですが、株主優待の基準日ではない点に注意が必要です。
次の対象は2027年2月末日時点の株主となります。
株主優待の内容は変更される可能性があるため、公式サイトを確認してください。
記者コメント
上期は、ドトールコーヒーグループの卸売の伸びと管理コストの改善が重なり、計画を大きく上回る増益となりました。
既存店売上高もドトールコーヒーグループが前年同期比103.1%、日本レストランシステムグループが102.7%と、ともに前年を上回っており、店舗と卸売の両方で売上を伸ばした上期といえそうです。
一方で、同社は通期予想を据え置き、コスト上昇が業績に影響を与える状況が続いているとしています。
会社計画どおりなら下期は前年同期比で2割超の減益になる計算です。
ドトールコーヒーグループは7月23日に価格改定を実施していますが、決算短信では改定前後1カ月で客数に大きな変化は見られないとしています。
同社が消費者の節約志向の高まりにも触れるなか、秋冬以降も客数が保たれるかも含めて、次の第3四半期決算で下期の進み具合を確認したいところです。
期末配当を改めて検討するとしている点も、あわせて注目しておきたいポイントです。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
