【9月30日が次回の権利確定日】東京メトロ<9023>の株主優待は200株から、稼ぎ頭の運輸業を最新決算からひも解く
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【9月30日が次回の権利確定日】東京メトロ<9023>の株主優待は200株から、稼ぎ頭の運輸業を最新決算からひも解く

電気料や修繕費など費用増で1Q営業利益は3.9%減、配当は前期比2円増の44円を計画

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
07:00
【9月30日が次回の権利確定日】東京メトロ<9023>の株主優待は200株から、稼ぎ頭の運輸業を最新決算からひも解く
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この記事はここがポイント

  • 東京メトロ2027年3月期1Q決算は費用増で営業利益3.9%減、通期も増収減益予想
  • 9月30日権利確定優待は200株以上で全線きっぷ、1万株以上で全線定期乗車証を進呈
  • 年間配当は44円計画、配当利回り2.87%で総合利回り3.22%から3.52%

9月30日を基準日とする株主優待・配当の権利確定に、個人投資家の注目が集まる時期になりました。

上場企業の多くは3月期決算で、その中間期にあたるこの時期に配当や優待を用意している銘柄は少なくありません。

「東京メトロ」の愛称で知られる東京地下鉄<9023>も、その代表的な1社です。

都心の地下空間を中心に路線を持つ同社について、稼ぎ頭のセクターや事業がどこにあるのかを、最新の決算からひも解いていきます。

最新決算からひも解く東京メトロの強みと費用増加圧力

郊外まで路線を延ばして沿線に住宅地や商業施設を開発する私鉄各社と異なり、東京地下鉄は都心部の地下空間が事業の主戦場であるため、不動産事業を大きく広げにくい構造にあります。

売上・利益の大半を運輸業(鉄道運賃収入)が支える構図は、同社の事業モデル上もともと織り込まれたものです。

7月31日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結業績は、次の通りです(前年同期比)。

  • 営業収益:1,090億4,900万円(+2.8%)
  • 営業利益:277億8,200万円(▲3.9%)
  • 経常利益:247億2,200万円(▲4.9%)
  • 四半期純利益:168億1,100万円(▲24.7%)

営業収益は29億円増えたものの、営業費が40億円増加した結果、営業利益は11億円の減益となりました。

内訳は人件費+10億円、経費+22億円、減価償却費+7億円です。

経費の中身をみると、労務費・資材価格の上昇による修繕費+8億円・外注費+5億円に加え、中東情勢を背景とした電気料+2億円、駅空調設備の更新工事に伴う撤去費+2億円が含まれており、決算説明資料では人件費・修繕費だけでなく電気料についても中東情勢の影響で上昇していることが示されています。

純利益の下げ幅(▲24.7%)が経常利益(▲4.9%)より大きくなっているのは、前年同期の特別利益に「退職給付制度改定益」64億800万円が計上されていたためです。

今回はこの一時的な利益がなかった反動で、減益幅が拡大しました。

通期(2027年3月期)の会社予想は、営業収益4,372億円(+3.5%)を見込む一方、人件費+68億円・経費+128億円・減価償却費+23億円などの費用増加により、営業利益814億円(▲9.1%)、経常利益690億円(▲12.9%)、純利益500億円(▲15.3%)と、増収減益の見通しを据え置いています。

同社はこの予想について、4月28日公表時点から「概ね順調に進捗しており据え置き」としています。

稼ぎ頭の運輸業、売上9割・利益8割超を1事業が占める構造

同社は「運輸業」「不動産事業」「ライフ・ビジネスサービス事業」の3つの報告セグメントを持ちますが、規模の差は歴然としています。

2027年3月期第1四半期の外部顧客向け売上高では、運輸業が989億7,100万円で全体の90.8%を占め、セグメント利益でも235億4,100万円と3セグメント合計(277億4,200万円)の84.9%に達しています。

運輸業単体の第1四半期業績は、営業収益993億400万円(+1.9%)、営業利益235億4,100万円(▲7.1%)でした。

旅客運輸収入自体は増加しているものの、前述の費用増加圧力を最も大きく受けているのがこの運輸業だとみられます。

一方、不動産事業(営業収益37億6,400万円、+5.6%、営業利益15億400万円、+10.2%)とライフ・ビジネスサービス事業(営業収益69億7,500万円、+11.0%、営業利益25億8,200万円、+25.1%)はいずれも増収増益でした。

規模では運輸業に遠く及びませんが、非運輸分野が収益を下支えする形になっています。

株主優待は「200株以上」が対象、100株保有では受け取れない点に注意

東京メトロの株主優待は、1単元(100株)では対象にならず、2単元(200株)以上を保有していることが条件です。

9月16日終値(1,532円)換算で200株を保有するには30万6,400円が必要になります。

200株から始まる株主優待、保有株数別の内容(基準日1回あたり)

同社は年2回(3月31日・9月30日)の株主名簿に記載された200株以上の株主を対象に、「株主優待乗車証」を発行しています。

3月31日・9月30日それぞれで同数が贈呈されるため、年間ではこの2倍の枚数が届く仕組みです。 

所有株式数:乗車証の種類:発行枚数(基準日1回あたり)/年間発行枚数(2回合計)

  • 200株以上400株未満:全線きっぷ(片道1回限り):3枚/6枚
  • 400株以上600株未満:同上:6枚/12枚
  • 600株以上800株未満:同上:9枚/18枚
  • 800株以上1,000株未満:同上:12枚/24枚
  • 1,000株以上3,000株未満:同上:15枚/30枚
  • 3,000株以上5,000株未満:同上:45枚/90枚
  • 5,000株以上10,000株未満:同上:75枚/150枚
  • 10,000株以上:全線定期乗車証:1枚/2枚

「全線きっぷ」は東京メトロ線内であれば距離を問わず片道1回乗車できる乗車証で、同社の普通運賃は180円(初乗り)から330円(最長区間)まで幅があります。

10,000株以上を保有する株主には、有効期間中は乗り放題となる「全線定期乗車証」が贈呈される点も見逃せません。

9月30日基準分の優待乗車証は12月頃に発送され、有効期限は翌年6月30日までです。

なお「そば処めとろ庵」のかき揚げトッピング無料券など同社関連施設の各種優待券は年1回、3月31日基準の株主のみが対象で、9月30日基準では対象外になります。

利用にあたっては、東急線・東武線・小田急線・JR線などへ直通運転で乗り継ぐ場合、優待乗車証は他社局線の運賃には使えず、別途その区間分の運賃が必要になる点にも注意が必要です。

日常的に他社線へ直通で乗り継ぐ人は、利用条件を事前に確認しておくと安心です。株主優待の内容や条件は今後変更・廃止される可能性があるため、必ず東京メトロの公式サイトで確認してください。

配当利回り・優待利回りを合わせた「総合利回り」の目安

会社予想の年間配当44円をもとに計算すると、9月16日終値(1,532円)基準の配当利回りは2.87%です。

これに優待の価値を加えた利回りは、どの区間で使うかによって幅があります。

  • 最長区間(330円)で使い切った場合:200株保有で年間6枚、1,980円分に相当し、優待利回りは約0.65%、配当と合わせた総合利回りは約3.52%(税引前)
  • 最短区間(180円、初乗り運賃)で使い切った場合:200株保有で年間6枚、1,080円分に相当し、優待利回りは約0.35%、配当と合わせた総合利回りは約3.22%(税引前)

実際の利用区間によって価値は変動するため、日常的な利用区間に応じてこの範囲で考えるのが実態に近い目安です。

権利付き最終日はいつか

国内株式の決済ルール「T+2」に基づくと、9月30日の権利確定日に対して、権利付き最終日は28日、権利落ち日は29日となります。

配当は中間22円・期末22円の年間44円

同社は連結配当性向40%以上を基本方針とし、2025年度〜2027年度の中期経営計画期間ではDOE(株主資本配当率)3.4%程度の確保を掲げています。

2026年3月期の配当実績は中間21円・期末21円の年間42円でした。2027年3月期の会社予想は、中間22円・期末22円の年間44円です。

9月30日を基準日とする中間配当として、1株あたり22円が支払われる見通しです。

権利付き最終日を挟んだ値動き:2026年3月・2025年9月を振り返る

権利付き最終日を挟んだ株価の値動きは、直近2回とも似た傾向を示しています。

2026年3月期の期末配当(3月31日基準)では、権利付き最終日にあたる3月27日の終値は1,639.5円でした。

前日の26日は1,636円、権利落ち日の30日は1,608.5円で、権利付き最終日から権利落ち日にかけて31円(▲1.9%)下げています。

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)
出所:各データより筆者作成

前々回、2025年9月期の中間配当(9月30日基準)では、権利付き最終日にあたる9月26日の終値は1,754円でした。

前日の25日は1,752.5円、権利落ち日の29日は1,709.5円で、権利付き最終日から権利落ち日にかけて44.5円(▲2.5%)下げています。

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2025年9月)

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2025年9月)
出所:各データより筆者作成

いずれの回も、権利付き最終日の前後では大きな変動はなく、権利落ち日にまとまって値を下げる展開でした。

下げ幅はどちらも1株あたりの配当額(21円)を上回っていますが、権利落ち日の値動きには配当・優待価値の調整以外の要因も影響するため、この下げ幅がそのまま優待・配当分だけを反映したものとは言い切れません。

記者コメント

今回の決算では、人件費や修繕費だけでなく電気料までコスト増加要因として挙がり、稼ぎ頭である運輸業の利益に複数方向から圧力がかかっている実態が浮かびます。

それでも同社は配当を前期比2円増の年間44円とする計画を据え置いており、株主還元の姿勢は維持されています。

9月末の権利確定に向けて株主優待や配当を目的に投資を検討する場合は、200株(約31万円)という保有条件、権利付き最終日、優待乗車証が自社線内限定である点に加え、権利落ち日には株価が下振れしやすい傾向があることにも留意が必要です。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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