【前回は権利落ち日に▲2.87%】ヤクルト本社、9月末は「スワローズクルー」無料入会権がもらえる優待
MacroEcon/Shutterstock.com
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【前回は権利落ち日に▲2.87%】ヤクルト本社、9月末は「スワローズクルー」無料入会権がもらえる優待

1Q決算の稼ぎ頭は海外事業、2025年9月・2026年3月の権利付き最終日をはさんだ値動きも解説

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
07:30
【前回は権利落ち日に▲2.87%】ヤクルト本社、9月末は「スワローズクルー」無料入会権がもらえる優待
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この記事はここがポイント

  • ヤクルト本社<2267>優待は9月末「スワローズクルー」入会権、3月末は製品詰め合わせ
  • 1Q決算は営業減益も特別利益で最終増益、海外事業売上増は為替影響が主因
  • 権利落ち日株価は2025年9月▲2.87%下落、変動幅は回により差異

9月30日を権利確定日とする株主優待・配当に、個人投資家の関心が集まる時期が近づいてきました。

3月期決算の企業にとって9月末は中間期にあたるため、この時期に配当や優待の権利が得られる銘柄が多く並びます。

今回取り上げるヤクルト本社<2267>もその一社です。

乳酸菌飲料「ヤクルト」でおなじみの乳製品・清涼飲料事業に加え、化粧品事業やプロ野球球団の運営まで手がける企業ですが、最新の決算を紐解くと、どの事業が現在の稼ぎ頭になっているのかが見えてきます。

ヤクルト本社の株主優待は年2回設定されており、直近で権利が確定するのは9月30日を基準日とする「優待2」です。

株主優待の中身:9月末は「スワローズクルー」無料入会権、3月末は「製品詰め合わせ」

2026年9月30日時点で100株以上を保有する株主が対象で、東京ヤクルトスワローズのオフィシャルファンクラブ「スワローズクルー」への入会権が、本来必要な年会費の負担なしに得られます。

保有株数によって会員ランクが分かれ、100株以上1,000株未満はライト会員、1,000株以上はレギュラー会員となり、チケットの割引・先行購入やオリジナルグッズの進呈といった特典を利用できます。

案内書の発送は例年12月上旬の予定です。神宮球場に足を運ぶ機会がある株主やスワローズファンには魅力的な特典ですが、野球観戦に縁のない株主や遠方在住の株主にとっては出番の少ない優待という側面もあります。

もう一方の「優待1」は3月31日が基準日で、「乳製品等」または「清涼飲料・乾めん等の詰め合わせ」のいずれかを選べる内容です。

3年以上継続保有する株主にはさらに乳製品や化粧品が上乗せされ、5年以上の継続保有株主にはクオカードも進呈されます。

なお継続保有の判定は、3月31日・9月30日の株主名簿に連続して同一の株主番号で記載されていることが条件です(保有株数の区分にかかわらず、上乗せ内容は共通です)。

1Q決算:最終利益17.2%増の裏側にある特別利益

7月31日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)決算は、連結売上高1,204億6,300万円(前年同期比3.3%増)、営業利益100億8,800万円(同7.5%減)、経常利益156億4,700万円(同9.0%減)と、増収ながら営業・経常段階では減益でした。ところが純利益は135億9,100万円(同17.2%増)と、本業とは逆に大きく伸びています。

このねじれの背景には特別損益の計上があります。投資有価証券売却益52億9,200万円(前年同期14億1,900万円)、固定資産売却益12億4,300万円(前年同期6,300万円)を特別利益に計上した一方、前年同期にはなかった子会社株式売却損7億8,800万円を特別損失に計上しました。特別利益の合計は66億4,200万円(前年同期14億8,300万円)にのぼり、これが営業・経常減益にもかかわらず最終増益となった要因です。

国内の飲料および食品製造販売事業部門の売上高は553億6,800万円(前年同期比7.2%減)となりました。単体の品目別でも乳製品289億400万円(同9.6%減)、清涼飲料等59億6,700万円(同4.2%減)といずれも前年を下回っており、物価上昇による市場環境の厳しさがうかがえます。

通期の連結業績予想は売上高5,270億円(前期比8.3%増)、営業利益440億円(同2.6%減)、経常利益575億円(同5.9%減)、純利益465億円(同5.1%増)、1株当たり当期純利益174.21円で、5月12日の公表時から変更されていません。年間配当予想も1株72.00円(中間36.00円、期末36.00円)で据え置かれており、前期(2026年3月期)実績の70.00円(中間33.00円、期末37.00円)に対しては2.00円の増配となる見通しです。

海外事業の増収、為替の影響を除くとどう見えるか

海外事業は実績ベースで米州+18.7%、アジア・オセアニア+14.4%、ヨーロッパ+14.2%といずれも2ケタ増収でした。ただし、この伸びには円安による押し上げ効果が大きく含まれています。

「前期と同じ為替レートを用いた場合」の試算では、為替の影響を除いた前年同期比は海外事業計+4.8%(実績+16.1%)、米州+1.7%(実績+18.7%)、アジア・オセアニア+7.5%(実績+14.4%)、ヨーロッパ+0.6%(実績+14.2%)にとどまります。米州とヨーロッパは為替の影響を除くとほぼ横ばい圏にとどまり、実績の伸びの大半が円安効果であったことがわかる一方、アジア・オセアニアは為替一定ベースでもプラスを維持しており、相対的に実力を伴った成長といえます。

連結売上高全体でみても、為替一定ベースでは1,143億1,400万円、前年同期比▲1.9%となり、実績の+3.3%増収が円安効果に支えられていたことが読み取れます。

数量(本数)ベースでみても地域差があります。米州計は1日当たり587.9万本(前年同期比2.3%減)と、金額は伸びた一方で数量はむしろ減少しており、価格改定や為替換算が押し上げの主因とみられます。中国ヤクルトは1日当たり270.0万本(同1.2%増)とほぼ横ばい、アジア・オセアニア計は1日当たり2,276.4万本(同3.4%増)と数量ベースでも増加が続いており、地域による需要の底堅さの差がうかがえます。

権利付き最終日前後の値動き:2025年9月と2026年3月を比較

株主優待や配当の権利を得るには、権利付き最終日までに株式を保有している必要があります。

ここでは直近2回の権利確定(2025年9月末・2026年3月末)について、権利付き最終日をはさんだ値動きを大まかに振り返ります。

2025年9月末(基準日9月30日)のケースでは、権利付き最終日は9月26日でした。

この日の終値2,472円から、権利落ち日にあたる9月29日の終値は2,401円へと71円(▲2.87%)下落しています。

その後も値を戻せず、3営業日後の10月1日には2,342円まで下落し、権利付き最終日からの下落幅は130円(▲5.26%)に拡大しました。

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2025年9月)

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2025年9月)
出所:各データより筆者作成

一方、2026年3月末(基準日3月31日)のケースは対照的です。権利付き最終日は3月27日で、終値2,671円でした。

権利落ち日の3月30日終値は2,659円と、下落幅は12円(▲0.45%)にとどまっています。

その後は値を戻す動きとなり、3営業日後の4月1日には2,672円と、権利付き最終日の水準をわずかに上回りました。

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)
出所:各データより筆者作成

同じ権利落ちでも、直後の下げ幅やその後の値動きの方向性は回によって大きく異なることがわかります。

優待自体は保有しているだけで得られる魅力的な制度ですが、権利付き最終日の直前に駆け込みで取得した場合、優待の価値以上に株価が下落するリスクもある点には留意が必要でしょう。

記者コメント

ヤクルト本社の1Q決算は、純利益17.2%増・海外2ケタ増収という数字だけを見ると好調な印象を受けますが、内訳を確認すると評価は変わってきます。

純利益の伸びは投資有価証券売却益などの特別利益によるもので、海外の増収も実績の多くは円安効果によるものです。

為替の影響を除くと連結売上高はむしろ前年同期比▲1.9%となり、本業の実力という観点では慎重にみる必要があるでしょう。国内では物価高の影響で乳製品・清涼飲料ともに前年割れが続いています。

通期の業績予想自体は据え置かれており、9月30日の株主優待の権利確定日も近づいています。

優待や配当だけでなく、為替動向次第で振れやすい海外事業の実力ベースの成長がどう推移するか、次回の第2四半期決算にも注目したいところです。

 

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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