【牛カツ京都勝牛など10業態が新たに対象に】サンマルクHDが株主優待を拡充、2027年3月分の受け取りには「半年以上の継続保有」が新条件に
Walter Eric Sy/shutterstock.com/shutterstock.com
執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
08:00
【牛カツ京都勝牛など10業態が新たに対象に】サンマルクHDが株主優待を拡充、2027年3月分の受け取りには「半年以上の継続保有」が新条件に
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この記事はここがポイント

  • サンマルクHD株主優待、牛カツ含む10業態に拡充、2027年3月分より半年継続保有が条件
  • 2027年3月期1Qは増収も営業利益42.2%減、原材料・人件費高が重荷
  • 牛カツ主力レストラン事業は増収維持、喫茶事業より利益落ち込み抑制

3月期決算企業の多くが上半期を折り返す9月末は、個人投資家の間で株主優待や配当の権利確定日として関心が集まりやすい時期です。

サンマルクホールディングス<3395>もその一つで、9月30日を基準日とする優待・配当の権利を得るための権利付き最終日は、28日に迫っています。

今回は、同社の稼ぎ頭がどの事業にあるのかを、8月5日に発表された2027年3月期第1四半期決算からひも解いていきます。

2027年3月期第1四半期は増収も営業利益42.2%減、原材料・人件費高が重荷に

2026年8月5日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結決算は、次の内容でした。

  • 売上高:220億6,100万円(前年同期比2.9%増)
  • 営業利益:5億8,900万円(同42.2%減)
  • 経常利益:5億6,300万円(同41.8%減)
  • 純利益:2億2,700万円(同45.6%減)

増収は確保したものの、営業利益・経常利益・純利益はいずれも4割超の減益となりました。

通期の会社予想(売上高930億円、営業利益53億円、経常利益51億円、純利益29億円)は据え置かれていますが、進捗率は売上高23.7%に対し、営業利益11.1%、経常利益11.0%、純利益7.8%と、単純な四半期ペース(25%)を大きく下回っています。

上半期・下半期でどこまで利益面を挽回できるかが、今後の決算を見るうえでのポイントになりそうです。

稼ぎ頭は牛カツ業態が支える「レストラン事業」、1Qは相対的に踏ん張る

同社は「レストラン事業」と「喫茶事業」の2セグメント構成です。

2026年3月期通期の実績では、レストラン事業が売上高599億6,900万円(前期比35.9%増)、営業利益44億6,800万円(同17.3%増)と、連結売上高884億3,200万円の67.8%を占める最大の稼ぎ頭となっています。

この急成長を支えているのが、M&Aでグループに加えた「牛カツ京都勝牛」「牛かつもと村」といった牛カツ定食業態で、訪日外国人需要を取り込んだ出店拡大が成長ドライバーです。 

直近の2027年3月期第1四半期では、レストラン事業の売上高は147億1,700万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は7億7,600万円(同14.6%減)でした。

一方、もう一つの柱である喫茶事業(「サンマルクカフェ」など)は、売上高72億3,900万円(同4.3%増)、営業利益5億1,300万円(同27.5%減)となっています。

喫茶事業は価格転嫁による収益力向上に取り組んでいるものの、原材料・人件費の上昇ペースには追いついておらず、レストラン事業よりも営業利益の落ち込みが大きくなりました。

外食業界全体でも価格転嫁は容易ではなく、帝国データバンクが8月28日に発表した調査によると、飲食店の価格転嫁率は28.7%にとどまっています(出所:株式会社帝国データバンク「価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」)。

こうして見ると、牛カツ業態を中心に据えるレストラン事業は、1Qも増収を保ち営業利益の目減りも喫茶事業より抑えられており、同社の収益基盤を下支えする役割を最新決算からも確認できます。

株主優待の拡充:牛カツ京都勝牛など10業態が新たに割引対象に

同社の株主優待制度は、毎年3月31日時点で100株以上を保有する株主を対象に、株主様ご優待カードを年1回贈呈するというものです。

カードの提示でグループの直営店・フランチャイズ店全店の飲食料金が割引となり(ベーカリーレストラン・サンマルクやサンマルクカフェなど主要業態は20%、すし処函館市場などは10%)、カードは6月中旬に株主総会招集通知に同封して発送、有効期間は毎年7月1日から翌年6月30日までです。

8月5日、同社はこの優待カードの利用可能業態の拡大を発表しました。

10月1日から、以下10業態が新たに割引対象(割引率10%)に加わります。

牛カツ京都勝牛

  • NICK STOCK
  • Gottie's BEEF
  • Hamburg Conel
  • 牛かつもと村
  • 牛かつ 壱弐参
  • 浅草 牛かつ
  • 牛かつ いろは
  • 喫茶マドラグ(社員食堂店を除く)
  • 喫茶ガボール

 ※海外店舗では利用できません。

これまで優待カードの対象は「ベーカリーレストラン・サンマルク」「サンマルクカフェ」「生麺専門鎌倉パスタ」などが中心でしたが、今回の拡充でM&Aによってグループ入りした牛カツ業態や、喫茶のマドラグ・ガボールもカバーされることになります。

優待カード1枚でこれらの店も使えるようになる点は、日常的に利用する株主にとって実利のある変更といえそうです。

2027年3月分を受け取るには「半年以上の継続保有」が新条件に

同時に発表されたのが、株主優待の対象条件変更です。同社は優待カードの配布に「半年以上の継続保有」の継続保有要件を新設しました。

継続保有状況の確認は、毎年3月31日を基準日とし、同日および前年9月30日の株主名簿において、同一の株主番号で連続して記載・記録されていることによって行われます。

権利確定日の前後だけ株式を保有する、いわゆる「優待クロス(つなぎ売り)」による短期的な優待取得を抑制し、中長期で株式を保有する株主への還元を重視する狙いがあるとみられます。

この条件変更が適用されるのは2027年3月31日の基準日からで、2027年3月の優待カードを受け取るには、2026年9月30日と2027年3月31日の両方の基準日で、同一の株主番号として株主名簿に記載されている必要があります。

これからサンマルクHD株を新規に購入して2027年3月の優待を得たいと考えている場合、2027年3月末だけでなく2026年9月30日時点でも100株以上を保有していることが条件になる点に注意が必要です。

2026年9月30日を基準日とする権利を得るための権利付き最終日は2営業日前の9月28日、権利落ち日は9月29日です。

2026年3月期末は権利落ち日に▲2.92%、2025年9月中間期末は▲2.14%安に

権利確定日をはさむと株価はどう動くのか、直近2回の実績を確認しておきます(データは証券会社の株価時系列に基づく終値)。

2026年3月期末(配当・優待の基準日:3月31日)のケース

権利付き最終日にあたる3月27日の終値は3,080円でした。それ以前の3営業日は24日・3,075円→25日・3,085円→26日・3,080円とほぼ横ばいで推移していましたが、権利落ち日の30日には2,990円まで下落(▲90円、▲2.92%)。

翌31日は2,970円(▲20円、▲0.67%)まで一段安となった後、4月1日には3,020円(+50円、+1.68%)まで戻しました。権利付き最終日(3,080円)と比べると、3営業日後の時点でなお▲60円(▲1.95%)低い水準です。

 

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)
出所:各データより筆者作成

2025年9月中間期末(配当・優待の基準日:9月30日)のケース

権利付き最終日にあたる9月26日の終値は2,847円でした。それ以前の3営業日は22日・2,769円→24日・2,768円→25日・2,805円と、権利付き最終日にかけて上昇基調で推移していました。

権利落ち日の29日には2,786円まで下落(▲61円、▲2.14%)。翌30日は2,812円(+26円、+0.93%)まで戻したものの、10月1日には再び2,779円(▲33円、▲1.17%)まで下げ、権利付き最終日(2,847円)比では3営業日後の時点で▲68円(▲2.39%)の水準となりました。

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)

権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)
出所:各データより筆者作成

2回とも権利落ち日を境に下落し、その後数営業日は一進一退で戻りきらない、という共通のパターンが見られる点は、優待・配当の権利取得を検討するうえで参考になりそうです。

記者コメント

サンマルクHDは牛カツ業態を軸にレストラン事業を拡大させてきましたが、直近の四半期では原材料費・人件費の上昇が全社の利益面に重くのしかかっています。それでもレストラン事業は喫茶事業に比べて営業利益の落ち込みが小幅にとどまっており、稼ぎ頭としての底堅さは最新決算からも読み取れます。

事業面では、既存業態の強化にとどまらない動きも出てきています。2025年9月11日には熊本県宇城市・熊本県との間で農事業参入に関する協定を締結し、営農子会社「株式会社サンマルクファーム」を設立、同年11月から宇城市内でコメ・小麦などの生産を開始しました。「京都勝牛」「牛かつもと村」などで培ったグローバルなネットワークを生かし、熊本県産の農産物をアジアを中心とした海外にも発信していく方針で、将来的な食材調達の安定化に向けた布石の一つといえそうです。

一方、その牛カツ業態自体が株主優待の対象に加わったことは、優待目的で同社株を保有する個人投資家にとっては歓迎材料といえそうです。ただし、継続保有要件の新設によって、これから優待目的で株式を購入する場合は「いつまでに買うべきか」の見極めがこれまで以上に重要になります。過去2回の実績を見る限り、権利落ち日前後は株価が普段以上に動きやすく、優待の価値以上の含み損を一時的に抱えるリスクもある点には留意しておきたいところです。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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