この記事はここがポイント
- サンリオ優待、クーポンは500株保有に変更、テーマパーク優待券は100株継続
- 2027年3月期1Q決算、売上・営業利益が過去最高も、販管費期ずれで実質増益緩やか
- アジア事業好調、株価は年初来高値から約14%安値圏で停滞
9月30日を権利確定日とする銘柄への物色が強まりやすい時期になりました。
3月期決算の企業は9月末が中間期にあたり、配当や株主優待の権利を得られる銘柄がこの時期に集中する傾向があります。サンリオ<8136>もその一つで、次回の株主優待の権利確定日は2026年9月30日です。
株式分割後初めてとなる優待の見直しが反映される回でもあり、条件変更を早めに押さえておきたいところです。
9月7日の東京株式市場は主要株価指数が大幅に続伸する堅調な地合いとなりましたが、同社株は前日比▲2円(▲0.16%)の1,263.5円とわずかに値を下げて取引を終えました。
8月10日の大引け後に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期)決算では、売上高・営業利益がともに四半期として過去最高を更新しています。
この記事では、最新の1Q決算から同社の稼ぎ頭となっている事業やセクターをひも解いたうえで、株主優待の変更点も解説します。
2027年3月期1Q決算は売上高・営業利益とも四半期最高
サンリオが8月10日の大引け後に開示した2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の連結決算は、主要4項目がそろって前年同期を上回りました。
- 売上高:520億3,500万円(前年同期比+20.7%)
- 営業利益:224億3,500万円(同+11.1%)
- 経常利益:226億2,400万円(同+12.0%)
- 四半期純利益:155億1,600万円(同+9.3%)
売上高・営業利益はいずれも第1四半期として過去最高の水準です。通期の連結業績見通しは6月23日公表分から据え置きで、売上高2,298億円(前期比+18.4%)、営業利益895億円(同+15.0%)、経常利益902億円(同+13.7%)、純利益638億円(同+16.8%)としています。
今回の1Qはこの通期計画に対し、売上高で約22.6%、営業利益・経常利益で約25%、純利益で約24.3%まで進捗した計算です。
ただし、この進捗率は通期を4等分した場合の目安(25%)に近い水準にとどまっており、突出したペースというわけではありません。
決算説明会の質疑応答によれば、この上振れの主因はゲーム事業のマーケティング費用約20億円の計上時期のずれで、10月に予定する最初のパーティーゲームの発売に向けて第2四半期以降に使う予定としています。
会社側は「多めに予算を積んで使わなかったわけではない」と説明しており、通期の販管費計画自体は変わっていません。経営陣も今回の決算を「市場の想定内の着地」と位置付けており、四半期として過去最高ではあるものの、サプライズと呼べる内容ではなかったことがうかがえます。
2027年3月期の1株当たり配当予想は、株式分割後の株数換算で年16円(第2四半期末8円、期末8円)です。
稼ぎ頭は「アジア事業」――ただしロイヤリティモデル特有の構造
地域別の売上高と貢献利益(海外子会社の営業損益に本社へのロイヤリティ支払い額を加えたサンリオ独自の指標)を開示順に確認すると、以下の通りとなっています。
- 日本:売上高384億7,700万円(前年同期比+21.8%)・貢献利益54億8,600万円(同+43.5%)
- アジア:売上高135億6,300万円(同+15.4%)・貢献利益91億9,400万円(同+13.7%)
- 欧州:売上高33億9,600万円(同+53.9%)・貢献利益23億6,100万円(同+56.6%)
- 米州:売上高72億4,000万円(同+11.5%)・貢献利益52億3,600万円(同+7.1%)
なお、国内の物販事業に絞ると、営業利益は35億円(前年同期33億円)とほぼ横ばいにとどまりました。
前期はトップラインの伸びに店舗キャパシティが追いつかず人員を増強した反動で人件費が平常化したことに加え、7月末に開業した心斎橋の新基幹店は賃貸契約が開業前から発生しているため、稼働前のコストだけが先行計上されたことが背景です。
サンリオのアセットライト経営は、日本本社がキャラクター開発やブランドへの投資を担い、海外子会社からロイヤリティを吸い上げる仕組みが基本になっています。
投資負担の大きい日本より、ロイヤリティ収入を積み上げるアジアの貢献利益率が高く出ること自体は、このビジネスモデルの構造から見て自然な結果ともいえます。
そのうえで、今回の1Qでは貢献利益の絶対額でもアジアが91億9,400万円と日本の54億8,600万円を上回っており、現地の物販・ライセンス事業の拡大が着実に進んでいることを示す数字といえます。
なお、アジアのうち中国は前年同期にロイヤリティ収入の計上時期がずれたことによる一時的な押し上げがあった反動で、見かけ上の伸び率は弱含んでいます。
もっとも、物販事業の新規出店・既存店の好調やライセンス事業のカテゴリ拡張は続いており、実力ベースでは堅調さを保っているとしています。欧州はグローバルアパレルブランドとの協業が牽引し、米州は関税の影響が残るなかでも回復に向けて前進していると、同社は説明しています。
マルチキャラクター戦略が支える海外事業の伸び
アジア事業の伸びの背景には、『ハローキティ』一辺倒ではなく複数のキャラクターを育成するマルチキャラクター戦略があります。
今期30周年を迎えた『ポムポムプリン』は「サンリオキャラクター大賞2026」で1位を獲得し、SNS・YouTubeのフォロワー数はグローバル全体で1億人を超えました。
共通の会員サービス「Sanrio+」の会員数も、2026年3月末から22万人増えて6月末時点で約348万人に達しています。
株式分割後初、店舗割引クーポンの受取条件は500株からに(テーマパーク優待券は100株でも継続)
サンリオは2026年3月31日を基準日、4月1日を効力発生日として1株を5株に分割しており、株主優待制度もこれに合わせて再設計されました。
まず紙形式の株主優待券が廃止され、2026年3月末基準日(7月発送分)から公式アプリ「Sanrio+」で受け取る電子クーポンに切り替わりました。
優待券のスマイルポイント交換は終了し、店舗等で使える1,000円分の店舗割引クーポンか、同額の寄付のいずれかを選ぶ方式になっています。
基準株数も5倍に見直され、次回2026年9月末の確定分からは、店舗割引クーポンの受け取りに必要な保有株数が500株からに引き上げられます。
これは株式分割前の投資金額に換算すると、従来と同じ水準(100株相当)にあたります。
現在の最小の単元株数である100株の保有では、この店舗割引クーポンや長期保有特典の対象外となりますが(分割前の投資金額換算でおよそ20株相当の保有規模にあたります)、テーマパーク共通優待券(サンリオピューロランド・ハーモニーランドで利用可能なパスポート券)については、100株保有でも引き続き進呈されます。
店舗割引クーポンとテーマパーク共通優待券は対象条件が異なる別の優待である点に注意が必要です。
3年以上の継続保有者には限定グッズなどの長期保有特典もありますが、詳細や発送時期は公式サイトや株主優待事務局で確認する必要があります。
なお、サンリオピューロランドは8月1日入館分からチケット価格を改定し、最高価格帯を5,900円から6,900円に引き上げました。
これに伴い、テーマパーク共通優待券1枚あたりの実質的な価値は従来より高まっています。
権利確定日と権利付き最終日
次回の権利確定日(基準日)は30日、権利付き最終日は2営業日前の28日、権利落ち日は29日となります。
サンリオ<8136>の9月7日の株価
終値は前日比▲2円(▲0.16%)の1,263.5円でした。年初来高値(1,470円、8月10日)からは約14%低い水準にあり、決算発表後の時間外急落分を戻し切れていない格好です。
年初来安値は819円(5月7日)で、値幅の下限からは大きく離れた水準で推移しています。PER(会社予想)は24.01倍、PBR(実績)は9.39倍、配当利回り(会社予想)は1.27%となっています。
サンリオ株の年間チャート
記者コメント
8月10日の決算発表を受け、翌営業日の12日には終値が1,191円まで下落し、前営業日比で18.12%の下げとなりました。
株価が年初来高値圏(1,470円)にあったことによる利益確定売りが出やすい局面だったことに加え、経営陣自身が今回の決算を「市場の想定内の着地」と位置付けているように、押し上げ要因を含んだ「過去最高」の内容を織り込み以上のサプライズとは受け止めなかった向きもあったとみられます。
その後は1,160円台から1,320円台のレンジで一進一退となり、9月7日時点の終値は1,263.5円まで戻しています。
ただし年初来高値からはなお1割超低い水準にあり、決算発表後の急落分を完全には埋め切れていません。
次回9月30日の権利確定日に向けて優待取得を検討する場合は、業績動向とあわせて直近の株価水準もあわせて確認しておきたいところです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
