大東建託が初の個人向け社債を発行へ、3年物で仮条件は「1.75~2.35%」
TK Kurikawa/Shutterstock.com
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大東建託が初の個人向け社債を発行へ、3年物で仮条件は「1.75~2.35%」

長期金利が約30年ぶりの高水準となるなか、激変する市場で個人投資家が「リテール債」を冷静に選ぶための判断基準とは?

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
12:30
大東建託が初の個人向け社債を発行へ、3年物で仮条件は「1.75~2.35%」
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7月6日に長期金利(新発10年物国債利回り)が一時2.830%にまで上昇し、約30年ぶりの高い水準を記録しました。

市場では、高市政権が掲げる積極財政方針に伴う財政悪化リスクを意識した債券売りが続いており、金利の上昇圧力が強く、今後もさらなる金利の先高感が意識されています。

このように金利環境が大きく変化するなか、賃貸住宅大手の大東建託が、同社としては初となる「個人向け社債」の発行に向けた準備を進めていることが公表され、注目が集まっています。

今回は、なぜ今このような動きが出ているのかという背景から、債券投資の基本、そして今回の大東建託の利率の仮条件や注意すべきリスクまで、専門家が解説します。

近年は個人向け社債の発行が増加傾向に

元来、社債というものは銀行や保険会社といった、いわゆる「機関投資家」が購入する大口の投資商品という位置づけが一般的でした。

そのため、市場に流通する新発債の多くは、最低投資金額が「1億円」単位など、個人投資家にとっては手の届かない世界の話だったのです。

しかし、近年の証券市場の成熟や、ネット証券が急速に普及・台頭したことに伴い、社債の販売ターゲットの裾野は個人投資家層へと着実に拡大しています。

個人でも手軽に投資しやすい「10万円単位」などから購入できる銘柄は明らかに増加傾向にあります。

さらに、足元で金利上昇の圧力が一段と強まるなか、債券の価格変動リスクへの対策として、発行体(企業)側にとっても自社債の安定的かつスムーズな消化(販売)を支えてくれる新たな投資家層を開拓することは、非常に重要な課題となっています。

このような背景から、従来は機関投資家向けの大口発行しか行っていなかった企業が、資金流動性の確保やファン層(個人株主のような存在)の拡大を目指し、今回の大東建託のように初めて個人向けの社債発行に踏み切る動きを見せているのです。

そもそも「債券投資」とは?国債・地方債・社債の違い

ここで一度、基本に立ち返ってみましょう。

債券投資とは、一言で言えば「国や企業にお金を貸して、定期的に利息をもらい、満期が来たら元本を返してもらう」という仕組みの投資です。

株式投資のように「企業の業績次第で株価が何倍にもなる」といった爆発力はありませんが、あらかじめ「満期(償還日)」「利率」「利払日」が決まっているため、将来の収支計画が立てやすいという特徴があります。

債券には大きく分けて以下の3つの種類があります。

  • 個人向け国債:国が発行するため安全性が極めて高いですが、利回りは低めに設定されています
  • 地方債:都道府県や政令指定都市などが発行します。国債に次ぐ安全性を持ちます
  • 社債(事業債):民間企業が資金調達のために発行します。国債や地方債に比べると企業特有のリスク(信用リスク)がある分、高い利回りが期待できるのが特徴です

なぜ初めて個人向け社債を発行するの?

今回、大東建託が「初の個人向け社債(愛称:大東建託債)」の発行に踏み切った主な目的は、調達した資金を今後の「さらなる事業成長」のために有効活用することです。

これまでの機関投資家中心の資金調達手法に加え、個人投資家という新たな資金調達の基盤を築くことで、長期的な成長投資への安定した原動力を確保する狙いがあります。

また、個人投資家に直接自社の債券を持ってもらうことで、企業としての認知度向上や、新たなファン層の拡大につなげたいという意図も背景にあるとみられます。

大東建託債の発行要項案をチェック

それでは、大東建託債の発行要項案をみていきましょう。

 現在、発行に向けて準備されている社債の主な内容は以下の通りです。

  • 社債の名称:大東建託株式会社第2回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(愛称:大東建託債)
  • 発行総額:100億円
  • 年限:3年
  • 利率(年率):未定(仮条件:1.75~2.35%(税引前))
  • 利払日:毎年1月27日、7月27日
  • 償還日:2029年7月27日
  • 申込期間:2026年7月10日~24日
  • 払込期日:2026年7月27日
  • 最低投資金額:10万円以上10万円単位
  • 予備格付:A(R&I)
  • 引受会社:SBI証券/三菱UFJモルガン・スタンレー証券/SMBC日興証券/大和証券

大東建託3年債の発行要項案

大東建託3年債の発行要項案
出所:各種資料より筆者作成

なお、同社が2021年12月に機関投資家向けに発行した前回債(第1回無担保社債)は、10年物の「グリーンボンド(環境債)」でした。

これは「余剰売電のための太陽光発電設備の新規設置」といった環境配慮型プロジェクトの設備投資に資金使途を限定した債券です。

当時の発行条件は、10年という長期年限でありながら利率はわずか「0.460%」でした。

今回の3年債(仮条件1.75〜2.35%)の条件や、足元の10年国債利回りが2.8%台に突入している現状を踏まえると、ここ数年で日本の金利環境がいかに劇的に変化したかが浮き彫りになります。

投資する前に必ずチェックすべき情報と始め方

提示されている利回りは魅力的ですが、投資の判断を下す前には以下のポイントを冷静に確認する必要があります。

① 企業の信用度(格付け)

「お金を貸した企業が満期までに倒産しないか」を見極める指標が「格付け」です。

大東建託債はR&I(格付投資情報センター)から「A」という予備格付けを取得予定となっています。

一般的に「BBB」以上が投資適格とされており、「A」格付けは大手ハウスメーカーとしての信用力を測るうえでの指標となります。

② 金利上昇に伴う「途中売却リスク」

債券は満期(償還日)まで保有すれば額面金額が戻るのが原則ですが、途中で売却して換金することも可能です。

ただし、途中で売却する際の価格は市場金利の動きに左右されます。 

特に現在は長期金利への先高感が強い状況となっており、今よりもさらに市場金利が高くなった場合、途中で売却する際に債券の市場価格が値下がりし、元本割れするリスクが生じます。

そのため、基本的には「満期までの3年間は使う予定のない余裕資金」で充てることが鉄則とされています。

③ 具体的になにから始めたらよいか?

  • ステップ1:引受会社(取り扱い証券会社)の口座を確認・開設する(今回はSBI証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、大和証券で取り扱われます)
  • ステップ2:募集期間内(7月10日〜24日)に申し込む

個人の社債は先着順で枠が埋まってしまうことが多く、今回のように初物で注目度が高い社債は、募集開始直後に完売することもあります。

購入を検討する場合は、事前に募集開始日時をチェックし、口座に必要な購入資金を入金しておくなどの準備が必要となります。

まとめ

大東建託が初めて発行を予定している個人向け社債は、金利が上昇局面にある現在の市場において、個人投資家の新たな選択肢の一つとして浮上しています。

現在の定期預金金利を上回る年1.75〜2.35%(仮条件)という利回りが提示されていますが、今後の金利動向や途中売却時の元本割れリスクも含め、自身の資産運用方針と照らし合わせながら冷静に見極めることが重要です。

なお、投資を検討するにあたっては、証券会社から提供される「目論見書等」に必ず目を通してください。

参考

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を意図するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断で行ってください。

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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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