【9月の個人向け国債】金利上昇局面で「変動10年」と「固定5年」どちらを選ぶべきか?変動10年が1.95%、固定5年が2.24%に
chayanuphol/Shutterstock.com
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【9月の個人向け国債】金利上昇局面で「変動10年」と「固定5年」どちらを選ぶべきか?変動10年が1.95%、固定5年が2.24%に

長期金利は約30年ぶりの3%台に上昇、9月17・18日の日銀会合を前に不透明感が続く

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
11:52
 【9月の個人向け国債】金利上昇局面で「変動10年」と「固定5年」どちらを選ぶべきか?変動10年が1.95%、固定5年が2.24%に
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この記事はここがポイント

  • 9月個人向け国債は変動10年1.95%、固定5年2.24%と利率上昇
  • 金利上昇局面のセオリーは変動10年だが、応募は期間短い固定5年が最多
  • 日銀追加利上げ観測あり、今後の利率上昇を見据えた分散購入が有効

2日、9月分の個人向け国債の利率が決まりました。3日から募集が始まります。

積極財政路線を掲げる高市政権の経済政策運営に加え、日銀の追加利上げ観測も重なり、金利上昇(価格下落)圧力が意識されやすい地合いが続くなか、9月の個人向け国債の利率は8月と比べて全ての年限で上昇しました。

この記事では、今回発表された発行条件を整理したうえで、「変動10年」と「固定5年」のどちらが今の市場環境に合っているのかを見ていきます。

9月の個人向け国債、8月対比で利率アップ

財務省が発表した9月分(第198回変動10年・第186回固定5年・第196回固定3年)の発行条件は、以下の通りです。

  • 変動10年(第198回債) 適用利率(税引前):年1.95%(基準金利2.96%×0.66) 税引後:1.5538575%
  • 固定5年(第186回債) 適用利率(税引前):年2.24%(基準金利2.29%-0.05%) 税引後:1.7849440%
  • 固定3年(第196回債) 適用利率(税引前):年1.96%(基準金利1.99%-0.03%) 税引後:1.5618260%

3年共通の発行要項

  • 募集期間:2026年9月3日(木)~9月30日(水)
  • 発行日:2026年10月15日
  • 利払日:毎年4月15日・10月15日(年2回)
  • 償還期限:変動10年は2036年10月15日、固定5年は2031年10月15日、固定3年は2029年10月15日
  • 購入単価:最低1万円から1万円単位(額面100円につき100円)
  • 中途換金:発行後1年経過すればいつでも可能(元本割れなし)。ただし直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる
  • 最低金利保証:年率0.05%
  • 取扱金融機関:873機関

目を引くのは、8月分からの利率の上げ幅です。

8月分(変動10年第197回・固定5年第185回・固定3年第195回)の適用利率(税引前)は、変動10年が1.87%、固定5年が2.06%、固定3年が1.71%でした。

9月分と比べると、変動10年は+0.08%(8bp)、固定5年は+0.18%(18bp)、固定3年は+0.25%(25bp)と、いずれも上昇しています。

特に固定3年の上げ幅が最も大きく、7月→8月に続いて2カ月連続で、短い年限ほど市場金利の上昇を敏感に反映した形になりました。

あわせて、変動10年と固定5年の利率差も8月の0.19%から9月は0.29%へと広がっています。

個人向け国債の利率推移

個人向け国債の利率推移
出所:各データより筆者作成

そもそも「変動10年」「固定5年」とは何が違うのか

個人向け国債は、満期まで一度も利率が変わらない固定金利型の「固定5年」「固定3年」と、半年ごとに実勢金利を反映して利率が見直される変動金利型の「変動10年」の3タイプに分かれます。

いずれも国が発行するため、満期まで保有すれば元本割れすることはありません。

利率の決め方(金利設定方法)は、それぞれ次のような算式になっています。

変動10年:基準金利×0.66(市場金利から約34%が差し引かれる) 固定5年:基準金利-0.05%(市場金利からの差し引きは0.05%) 固定3年:基準金利-0.03%(市場金利からの差し引きは0.03%)

こうして並べると、変動10年は市場金利から約34%分も差し引かれてしまうため、一見「割の合わない商品」に見えるかもしれません。

しかし、この差し引き分は「金利上昇リスク」と「(価格変動という意味での)元本割れリスク」を丸ごと消し去るための、いわば保険料のようなものだと捉えると理解しやすくなります。

市場で売買される通常の利付国債であれば、金利が上昇すれば債券価格は下落し、途中売却すれば損失を被る可能性がありますが、変動10年は半年ごとに利率そのものが実勢に合わせて改定されるため、そうした価格変動リスクを個人投資家が負わずに済む設計になっています。

その意味で、商品性としては非常によく作り込まれていると言えるでしょう。

この半年ごとの見直しは、新規に発行される回号だけでなく、過去に発行された既発の変動10年国債にも同じように適用され続けます。

たとえば2026年1月募集だった第190回債は、発行当初(2026年2月16日~8月15日)の基準金利が2.10%、適用利率(税引前)は1.39%でしたが、半年後の見直しでは基準金利が2.73%まで上昇し、2026年8月16日以降の適用利率は1.80%に切り上がっています。

同様に2026年2月募集の第191回債も、基準金利が2.24%から2.83%へ上昇し、適用利率は1.48%から1.87%に改定されました。

金利上昇局面では、新規購入者だけでなく、すでに保有している既発債の投資家も自動的に受取利子が増える恩恵を受けられる点が、変動10年ならではの特徴です。

「変動10年」と「固定5年」、どちらを選ぶのが正解か

金利に先高観がある局面では、半年ごとに利率が見直される変動利付債を選ぶのがセオリーとされています。

金利が上昇すれば、次の利払いから受取利子も増えていくためです。

ただし、実際の応募動向を見ると、必ずしもセオリー通りにはなっていません。

直近で公表されている令和8年7月分(第196回変動10年・第184回固定5年・第194回固定3年、発行日8月17日)の応募額は、変動10年が3,413億円、固定5年が5,460億円、固定3年が1,304億円で、固定5年が最も多くなりました。

これは、見た目の利率が固定5年の方が高く映ること(7月分では固定5年1.95%に対し変動10年1.80%)などが一因とみられます。なお、8月分(第197回・第185回・第195回)の応募額はまだ公表されていません。

とはいえ、変動10年を選びにくい理由も理解できます。

ここでいう「デュレーションリスク」とは、市場で売買する利付国債のような価格変動リスクのことではなく(個人向け国債は中途換金しても元本割れしないため)、償還までの10年間、資金を長期にわたって固定してしまうという「資金拘束の長さ」を指しています。

10年先の家計や資金需要を見通すのは簡単ではなく、その意味で5年・3年という年限の短さに安心感を覚える方が多いのは自然なことです。

判断に迷う場合は、無理にどちらか一方に決めきる必要はありません。

投資予定額を変動10年と固定5年に半分ずつ振り分け、金利上昇の恩恵と年限の分散を両取りするというのも、現実的な選択肢の一つです。

変動10年と固定5年、9月分の比較

  • 変動10年(第198回債):利率1.95%/半年ごとに見直し/資金拘束10年
  • 固定5年(第186回債):利率2.24%/満期まで固定/資金拘束5年

今後の金利見通しと、積み立て投資という考え方

市場では、日銀が9月17・18日に開く金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るとの観測が強まっています。

仮にこの会合で利上げが決まった場合、今回(9月分)の適用利率はすでに9月1日時点の市場金利を基準金利として確定しているため直接の影響は受けませんが、10月に条件決定される次回発行分(11月発行予定)の基準金利、ひいては適用利率がさらに上昇する可能性が考えられます。

こうした環境では、まとまった資金を一度に投じるのではなく、つみたてNISAのように毎月少額ずつ購入していく方法も選択肢になるでしょう。

仮に目先の利率がさらに上がったとしても、購入時期を分散していれば、その時々の利率を機械的に取り込んでいくことができ、「もっと待てばよかった」という後悔を抑えやすくなります。

注意しておきたいポイント

  • 中途換金の制限:発行後1年間は原則として換金できません。1年経過後はいつでも換金可能ですが、直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる点に注意が必要です
  • 固定金利の機会損失リスク:固定5年・固定3年は発行時点の利率で満期まで固定されるため、その後さらに市場金利が上昇しても、その恩恵を受けることはできません
  • 変動10年の金利低下リスク:半年ごとに見直される変動10年は、将来的に金利が低下局面に転じれば受取利子も減っていきます(ただし年率0.05%の最低金利保証があります)
  • 税金の扱い:受け取る利子には20.315%相当の税金が源泉徴収されます

まとめ

9月の個人向け国債は、変動10年・固定5年・固定3年のいずれも8月から利率が上昇し、7月から数えて2カ月連続の上昇局面が続いています。

10年という長さのデュレーションリスクを取れるのであれば変動10年、それが難しければ固定5年、あるいは両者に資金を分散するという考え方が基本になるでしょう。

いずれを選ぶにせよ、ご自身の資金計画や資金拘束期間への許容度を踏まえたうえで判断することが大切です。

記者コメント

長期金利(新発10年国債の利回り)は、約30年ぶりの高い水準となる3%台で推移しています。

個人向け国債の利率決定に先立って9月1日に実施された、9月の新発10年国債(第383回債)の入札は、やや低調と受け止められました。

金利上昇の背景には、高市政権が掲げる積極財政と、これに伴う財政悪化懸念があります。

8月31日に締め切られた2027年度予算の概算要求は、一般会計の総額が143兆円前後と4年連続で過去最大を更新する見通しとなっており、財政拡張への警戒感を強める材料となっています。

市場では、日銀が9月17・18日に開く金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るとの観測がいっそう強まっています。

長期金利がどこで落ち着くのか、見極められるまでしばらくボラティリティの高い状況が続きそうです。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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