利益率は業種平均を大きく上回るのに、ROEは8%台へ
SMCの営業利益率は、直近通期の2026年3月期で2割を超える。機械業種の中央値がおよそ8%であることを踏まえると、収益性の高さは際立つ。
一方で、自己資本利益率(ROE、株主資本に対する利益の割合)は下がってきた。2022年3月期には13%台だったが、2026年3月期は8.3%まで低下している。機械の中央値である約7.8%はなお上回るが、自社の過去と比べれば水準は切り下がった。
背景の一つは、極めて高い自己資本比率にある。同社の自己資本比率は9割超で、機械の中央値である約67%を大きく上回る。実質無借金に近い財務は、安全性の面では心強い。
もっとも、負債をほとんど使わない資本構成が、資本効率の観点で最適かどうかはまた別の論点だ。分子の利益が伸びても、分母の自己資本が積み上がればROEは伸びにくい。
高収益で無借金の優良企業というイメージが先に立つが、資本効率という物差しを当てると、絶対水準はむしろ緩やかに後退してきた。相対的な収益性の厚みと、自社基準での資本効率の低下が、同時に見える局面といえる。
筆者コメント
見逃せないのは、株価と資本効率が逆の方向を向いている点だ。
株価は昨秋以降で大きく水準を切り上げた。その一方で、自社基準のROEはこの数年でむしろ低下してきた。市場は足元の利益の戻りや、半導体・省人化という長期テーマへの期待を、先に織り込んでいるのだろう。
私が気にかけるのは、この期待が「稼ぐ力の質」に支えられているかどうかだ。SMCの強みは、世界中の自動化装置に部品を供給し続ける、消耗品的な需要の裾野の広さにある。装置需要の波を受けても、利益の土台そのものは崩れにくい。
ただ、潤沢すぎる自己資本をどう使うかは、これからの資本効率を左右する。増配は続いてきたが、直近は据え置きに転じた期もあった。稼いだ資金を成長投資と株主還元にどう配分していくのか。
株価の派手な値動きよりも、その一手を追う方が、この会社の本質には近いのではないだろうか
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
