執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
18:00

通期予想の引き上げが映すもの

この勢いを受けて、会社は2026年9月期の通期予想を引き上げた。売上高は9,500億円、営業利益は770億円、純利益は410億円を見込む。3Q累計の時点で営業利益はすでに通期予想の9割弱に達しており、数字のうえでは余裕をもった着地シナリオといえる。

時系列で見ると、この回復の意味がより立体的になる。営業利益は2025年9月期通期で717億円だったが、さかのぼると2023年9月期には246億円まで落ち込んでいた時期がある。ゲーム事業の収益は当たり外れの振れが大きく、業績が数年単位で大きく波打ってきた経緯がある。今期の最高益ペースは、その谷からの明確な反転局面に当たると読み取れる。

「投資先行の会社」という印象と、高収益という実像

サイバーエージェントには、ABEMAへの先行投資で利益が薄い会社、という印象が今も根強い。だが1次情報が描く姿は、その印象とややずれている。2025年9月期のROEは18.9%で、サービス業の中央値であるおよそ8.6%を大きく上回った。営業利益率も8%台と、業種の平均的な水準を超える位置にある。

この高収益を支えているのがゲーム事業だ。同事業の営業利益率は3割近くに達し、全社の利益の柱になっている。裏を返せば、収益の多くを一つの事業のヒットに負う構造でもある。株価が好決算に素直に反応しきれない背景には、この収益の集中と、値動きの軽いグロース株全体への評価が慎重になりやすい地合いとが、重なって意識された可能性がある。好業績は事実だが、その持続性をどう見積もるかで評価が割れやすい局面だといえる。

筆者コメント

業績と株価という二つの時計を並べると、いまのサイバーエージェントは針の進み方がずれている。決算は最高益ペースで通期予想も上方修正と、業績の針は前へ回っている。ところが株価の針は昨秋の高値の手前で足踏みし、まだ元の時刻に戻っていない。

このずれを、私は「実力の確認」と「持続性の確認」の時間差と見ている。1次情報が示す収益力の高さは、もう確認済みの事実だろう。市場が測りかねているのは、その収益がこの先どれだけ続くのか、という次の問いのほうだ。ゲームのヒットは業績を跳ね上げる力を持つ半面、来期以降も同じ高さを保てるかは誰にも約束できない。

だからこそ次に効いてくるのは、単発の増益率ではなく、広告やメディア&IPといったゲーム以外の柱がどこまで利益を底上げできるか、という点ではないだろうか。株価の針が業績に追いつくのは、その底上げが数字で見えてきたときだと考えている。

参考資料

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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