「純金積立」のデメリットと注意点
純金積立にはデメリットや注意点もあります。以下の点を押さえておきましょう。
- 手数料と保管料: ネット証券などを選べば抑えられますが、年会費や買付手数料がかかる場合があります。
- 売買の価格差:純金積立は、業者が取引の相手方となる相対取引であり、通常、小売価格と買取価格には差(スプレッド)があります。購入後は、スプレッド以上に値上がりしないと利益にならないことに注意が必要です。
- 利息・配当はない: あくまで「売却時の差益」を狙う投資です。
- NISAは対象外: 純金積立そのものはNISAを使えません(金に投資する投資信託は対象の場合あり)。
- 5年以上の長期保有が「節税」のカギ: 金の売却益には譲渡所得税がかかりますが、5年を超えて保有すると課税対象になる利益が「半分」になるという大きな優遇があります。
「純金積立」は、短期間で利益を出すギャンブルではなく、5年、10年というスパンで「守りの資産」を育てる手法なのです。
純金積立は、利息を生まないうえに各種手数料やスプレッドといったコスト面でのデメリットがある点には注意が必要です。
しかし、有事やインフレに強い「実物資産」を少額からコツコツと買い持ちできる点は、他の金融商品にはない独自のメリットとなります。
株式などの伝統的な資産とは異なる値動きをするため、資産全体の1割程度を目安に長期目線で組み込むことで、ポートフォリオ全体のリスク分散に大きく貢献するでしょう。
まとめにかえて
金は、株式や債券といった有価証券とは異なる資産クラスです。また、各国の中央銀行が外貨準備の一部に充てるなど、コモディティでもユニークな存在といえます。筆者も、米国によるロシア資産の凍結を機に資金を振り向け、現在もポートフォリオの一部に組み入れています。
一方、注意したいのはリスクです。金の値動きは大きく、特にこの1年は荒い相場でした。小売価格の1年間の標準偏差(年率)は、おおむね10%~15%で推移していたところ、2026年7月時点では25%を超えています。
金のリスクは、平時でも株価指数に相当し、足元では個別株に近い状況です。「安全資産」と評価されることが多い金ですが、ポートフォリオに組み込む場合、株式に相当する高リスク資産であるという認識を持ちましょう。
なお、「ドルコスト平均法」は、リスクそのものを減らす効果は期待できませんが、取得単価は平準化されます。タイミング投資と比べ損益を抑える効果に期待できるため、高リスク資産へ投資する際の選択肢となるでしょう。
ドルコスト平均法は、積立期間が長くなるほど効果的です。純金積立は、長期の積立を前提に取り組むようおすすめします。
参考資料
証券会社を経てIFAとして10年以上活動。個人へ投資提案を行う傍ら、金融ライターとしてNISA等の資産運用から社会保障まで幅広く執筆。現在は大型株を中心に年100本ペースで連載。AFP等保有。
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

本記事のシミュレーションが示す通り、金投資におけるドルコスト平均法は取得単価の平準化には有効ですが、元本割れリスクを完全に排除するものではありません。
特に足元の金相場はボラティリティ(価格変動率)が個別株並みに高まっており、「安全資産」というイメージだけで過大な資金を投じるのは危険です。
投資を検討する際は、ご自身の資産状況やリスク許容度と照らし合わせ、無理のない範囲で長期的な視点を持って継続することが重要です。