過去最高を更新!相続税の申告者数「約16.6万人」超えのリアルな現実
「うちはそこまで資産がないから関係ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、国税庁が公表した「令和6年分 相続税の申告事績の概要」を見ると、現実は少し異なります。
相続税の申告事績
令和6年分において、相続税の申告書の提出に係る被相続人数(亡くなられた方のうち申告が必要だった方)は16万6730人(前年対比107.1%)と増加しています。
また、その課税価格の総額は23兆3846億円(前年対比108.1%)、申告税額の総額は3兆2446億円(前年対比108.0%)にのぼりました。
実はこれらの数字、いずれも基礎控除額の引下げがあった平成27年分以降で過去最高を記録しているのです。
地価の上昇や基礎控除の引き下げにより、ごく一般的なご家庭でも相続税の対象になるケースが年々急増しているのが現場のリアルな実感です。
生前贈与と生命保険を活用するメリット
このように相続税の対象者が増え、さらに生前贈与の持ち戻し期間も長くなる中、効果的な対策として注目されるのが「生前贈与×生命保険」です。生前贈与の基本は、暦年課税の基礎控除である「年間110万円」の枠を活用し、元気なうちに自分の意思で財産を移転して将来の相続税負担を軽減することです。
これに生命保険を組み合わせることで、生前はこの110万円の非課税枠で無駄なく資産を移しつつ、万が一の相続発生時には「500万円×法定相続人の数」という死亡保険金独自の非課税枠もあわせて利用できるようになります。
つまり、生前と死後の「ダブルの非課税枠」を最大限活用でき、より手厚い相続対策と遺族保障が可能になるのです。
現金をそのまま残すより、生命保険という「枠」を活用した方が税金面で圧倒的に有利になるケースが多いです。
親から子へ現金を贈与し、子が自身を契約者・親を被保険者として保険に入る手法は、実務でも非常に多く使われています。
失敗を防ぐための重要な4つのポイント
生前贈与と生命保険の組み合わせは強力ですが、やり方を間違えると逆効果になることもあります。特に、毎年同じ金額を渡し続けると「定期贈与」とみなされ、最初からまとまった金額を贈与する意図があったとして多額の贈与税が一括でかかってしまう恐れがあるため注意が必要です。
安全かつ確実に財産を引き継ぐためには、以下の工夫を取り入れましょう。
①贈与契約書を作成する
トラブルや将来の税務調査に備え、口約束ではなく贈与の都度必ず書面(贈与契約書)を残しましょう。
②記録を残す
手渡しではなく、親の口座から子の口座へ銀行振込を行い、客観的な履歴を残すことが重要です。
③定期贈与を避ける
毎年同じ金額や時期にこだわらず、渡し方や金額(今年は100万円、翌年は110万円など)に変化をつけましょう。
④早めに行動する
生前贈与は早く始めるほど節税効果が高まります。加算期間が延びる前、つまり今年中に計画を立てることが何より大切です。
生前贈与を進める際は、ご自身の財産規模やご家族の状況をしっかりと把握し、家族全体で話し合いながら最適な方法を見つけていくことが大切です。
参考資料
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元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
