投資する前に知っておきたい3つの注意点
魅力的なデータが並ぶ一方で、このファンドには押さえておきたいリスクがいくつかあります。
① コストがインデックスファンドの10倍以上と割高
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の管理費用(信託報酬)は年率1.65%程度です。
「オルカン」や「S&P500」などのインデックスファンドの信託報酬が年率0.1%未満であることを考えると、コスト差はかなり大きいといえます。
長期保有すればするほど、この差は積み重なっていきます。
② 直近はベンチマーク(指数)を下回っている
ここは見落とされがちですが、大切なポイントです。最新データを見ると、このファンドのリターンはベンチマークを下回っています。
- 3カ月:ファンド48.9% vs ベンチマーク61.7%
- 6カ月:ファンド53.4% vs ベンチマーク60.3%
- 1年:ファンド118.5% vs ベンチマーク121.2%
- 3年:ファンド355.7% vs ベンチマーク380.5%
アクティブファンドは「指数を上回るリターン」を目指す運用を行いますが、直近ではいずれの期間もベンチマークに届いていません。
高いコストを払いながら指数を下回るとすれば、低コストの半導体系インデックスファンドとの比較も検討してみる価値があるかもしれません。
③ 値動きが激しく、集中投資のリスクがある
半導体業界には「半導体サイクル」と呼ばれる好不況の波があります。
需要が急増した後は供給過多になりやすく、業績の浮き沈みが株価に直結します。
特定のセクターに集中投資するファンドですので、市場全体が下落するときや半導体ブームが落ち着いた局面では、資産が大きく値下がりするリスクも想定しておきたいところです。
まとめ
「野村世界半導体株投資」の現状をまとめると、次のようになります。
- 設定来+6,000%超、純資産1兆円超の大型ファンド
- NVIDIA・TSMC・ブロードコムなど世界トップ企業に1本で分散投資できる
- 直近はベンチマークをやや下回る推移。信託報酬は年率1.65%と高め
- 半導体セクターへの集中投資であるため、値動きは大きくなりやすい
「半導体の成長に乗りたい」という方にとって、選択肢の一つとして十分に検討に値するファンドだと思います。
ただ、購入を決める前に、信託報酬の水準、ベンチマークとのリターン差、そして半導体セクター特有の値動きのリスク、この3点は必ず確認しておくことをおすすめします。
迷ったときは、まず「ねんきんネット」ならぬ「運用会社の月次レポート」を開いてみてください。基準価額の推移やベンチマークとの比較が掲載されており、ファンドの実力を自分の目で確かめる習慣が、長期投資の判断精度を高めてくれます。
【免責事項】
- 本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。
- 投資には元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行われるようお願いいたします。
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三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
PROFILE
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。社内表彰歴多数。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。現在は、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、および専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて、企画・執筆・編集・監修を幅広く担当している。
金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、NISAや投資信託をはじめとするファイナンス領域を主軸に、その土台となる年金制度や社会保障、住宅ローン、相続まで横断的に分かりやすく解説。
