金利上昇はデメリットばかりじゃない!「債券投資」チャンスの側面も
一般的に「金利上昇」というと、住宅ローンの負担増といったネガティブな影響のイメージが強く、良いことと言ったら預貯金金利が少し上がる程度のことしか思い浮かばないかもしれません。
しかし、「債券投資」という観点に目を向けると、実は個人投資家にとって大きなメリットを享受できるチャンスでもあるのです。
今のように金利に先高感(これからもっと金利が上がるかも)がある局面では、市場のプロ(機関投資家)は債券の購入に慎重になります。
なぜなら、彼らは日々「時価評価」を気にしなければならず、金利が上がると手持ちの債券の価値が下がって(評価損を抱えて)しまうからです。
しかし、個人投資家の多くは「満期までじっくり持つ(満期保有)」予定で購入するケースが多いのではないでしょうか。
途中で売らないのであれば、日々の時価の変動や一時的な評価損は、実質的な損失にはなりません。
個人投資家にとっては「上昇した高い利回りを、満期まで享受しやすい」という、有利な局面もあるのです。
そもそも「債券投資」とはなにか?
一言で言えば、債券投資とは「国や地方自治体、企業にお金を貸して、定期的に利息をもらう仕組み」です。
私たちが購入する債券(有価証券)は、いわば「借用書」のようなもの。
株式とは異なり、あらかじめ「満期(償還期日)」と「利率(もらえる利息)」がカチッと決められて発行されるのが最大の特徴です。
発行体が破綻しない限り、満期を迎えれば額面金額(元本)が戻ってきます。
債券には、発行体によっていくつか種類があります。
- 国債(こくさい): 国が発行。最も安全性が高い
- 地方債(ちほうさい): 都道府県や市区町村が発行。地域の身近な事業に役立てられる
- 社債(しゃさい): 民間企業が発行。国債よりもリスクがある分、金利が高めに設定される傾向がある
絶対に知っておくべき「中途換金」ルールの違い
債券投資で最も注意したいのが、「途中で現金化したくなったとき」の動きです。
- 個人向け国債: 発行後1年が経過すれば、国がいつでも中途換金(買い取り)に応じてくれます
- 社債や地方債: 途中で換金したい場合は、国ではなく「市場(時価)」で売却することになります
個人向け国債は、いつでも中途換金できますが、換金時には「直近2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が中途換金調整額として差し引かれます。
そのため、中途換金を行うタイミングによっては、口座に戻る金額(換金代金)単体が額面金額(投資元本)を下回る(額面割れする)瞬間があります。
過去に受け取った利子を含めたトータルの収支で見た場合には元本割れしない仕組みですが、解約時に「額面金額そのものがそっくり戻る」わけではない点に注意が必要です。
また、債券の価値(時価)は世の中の金利の動きで日々変動します。
市場金利が上がっているタイミングで途中で売却すると、購入時の金額を下回り、元本割れするリスクがあります。
「満期まで持てば元本は戻る」のが大原則ですが、途中で使う可能性があるお金なら、このリスクの違いを意識しておく必要があります。
まとめ
金利上昇圧力が強まるなか、クレディセゾンの新発5年債の利率は2.448%と、今年1月の前回債(2.043%)を大きく上回る条件で着地しました。
市場金利の上昇は債券価格の下落を招くためプロは慎重になりますが、満期までじっくり保有する個人投資家にとっては、高くなった利回りを確実に享受できる絶好のチャンスとも言えます。
債券投資は、発行体が破綻しない限り満期に元本が戻る堅実さが魅力ですが、社債を途中で売却する場合は市場価格での取引となり、元本割れのリスクを伴います。
金利先高感が強まる今だからこそ、中途換金のルールを正しく理解し、満期まで使う予定のない余裕資金で賢く運用することが大切です。
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
PROFILE
立教大学卒業後、海外専門の旅行会社に就職し、その後旅行業界専門誌の記者に転身。企業決算の記事などを手掛けるうちに金融マーケットに興味を持つようになり、株式や債券の発行市場をカバーする金融専門誌の記者に転職。債券市場の動向や市況について、10年以上にわたって数多くの記事を機関投資家に向けて日経QUICKやブルームバーグ等へ執筆した。その後、株式会社フィスコでアナリストが執筆する企業調査レポートの編集を手掛けるとともに、決算などIR情報の発信業務に携わる。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』のLIMO編集部に所属し、LIMOでも記事を執筆している。
