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【元・専門紙記者が解説】年金だけで生活するシニアの割合と65歳以上のリアルな家計簿データ

2026年度の支給カレンダーと受給額の個人差一覧

執筆者齊藤 慧編集者
20:09

65歳以上・無職の単身世帯における家計収支の実態

続いて、単身世帯の家計収支も同様に見ていきましょう。

65歳以上おひとりさまの生活費

出典:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

収入の内訳

  • 実収入:13万1456円
  • うち社会保障給付:12万212円 ※主に年金

支出の内訳

  • 支出:16万1435円
  • うち消費支出:14万8445円

消費支出の内訳は次のとおりです。

  • 食料:4万2545円
  • 住居:1万1416円
  • 光熱・水道:1万5565円
  • 家具・家事用品:6069円
  • 被服及び履物:3049円
  • 保健医療:8388円
  • 交通・通信:1万3601円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:1万6132円
  • その他の消費支出:3万1681円
  • うち諸雑費:1万4052円
  • うち交際費:1万6956円
  • うち仕送り金:591円

非消費支出の平均は1万2990円でした。

  • 直接税:7072円
  • 社会保険料:5912円

単身世帯の場合は、ひと月の実収入13万1456円に対し、支出は合計16万1435円で、月の家計収支は毎月2万9980円の赤字となっています。

「年金だけで暮らす」高齢者世帯の割合は?総所得に占める年金依存度

今の高齢者世帯のうち、どれほどが「年金だけで」生活できているのでしょうか。

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(※)の平均的な所得構成では63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%となりました。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

総所得に占める公的年金・恩給の割合別世帯構成

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出典:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

半数以上の世帯は、公的以外の何等かの収入で補填している実態がうかがえます。

齊藤 慧
執筆者齊藤 慧編集者

【元記者の視点】「年金だけで暮らせるか」の議論から抜け落ちる天引きの罠

データが示す通り、夫婦・単身を問わず、65歳以上の無職世帯が公的年金だけで日々の支出をすべてカバーするのは、現在の社会保障制度下において極めて困難です。

制度の取材を通じて感じるのは、多くのシニアがこの「毎月の赤字」を、自分たちのやりくりが下手だからだと誤解し、過度な節約に走ってしまう構造的な問題です。赤字の要因は贅沢ではありません。

昨今の物価高による食費や光熱費などの「消費支出」の上昇に加え、個人の努力では一切削ることができない「非消費支出(社会保険料など)」が、ベースの固定費として重くのしかかっている点にあります。

「年金だけで暮らせるか」という議論自体が、こうした避けられない天引きの存在を無視した机上の空論になりがちです。

だからこそ、不足する数万円を手元の貯蓄から淡々と補填していく前提に立ち、自分を責めることなく計画的な取り崩しへとマインドを切り替えることが、老後の安定に繋がるでしょう。

7月に届いた「税金・保険料の通知書」をテーブルに並べる

本記事の客観的なデータが示す通り、夫婦や単身を問わず、公的年金だけで日々の生活費をすべて賄える世帯は全体の中で少数派です。

また、7月は住民税や介護保険料などの各種通知書が手元に届き、今年度の本当の手取り額が確定する重要な時期でもあります。

昨今の物価高による生活費の増加も重なり、額面の年金額だけで計画を立てると家計はショートしてしまいます。

世間の平均額や『年金だけで暮らせるか』という極端な議論に振り回される必要はありません。

まずは7月に届いた通知書を確認してご自身のリアルな手取り額を算出し、不足分を貯蓄から計画的に取り崩す現実的な収支バランスを整える行動が、これからの安心を支える防衛策となります。

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