【3年以上の継続保有で割引1.5倍に】象印マホービンが株主優待を拡充、「炎舞炊き」好調の3Qは営業利益5.3%増も通期予想は据え置き
akiyoko/Shutterstock.com
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【3年以上の継続保有で割引1.5倍に】象印マホービンが株主優待を拡充、「炎舞炊き」好調の3Qは営業利益5.3%増も通期予想は据え置き

前期は特別配当42円を含む82円、今期予想46円の配当と第4四半期の利益水準も解説

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
18:00
【3年以上の継続保有で割引1.5倍に】象印マホービンが株主優待を拡充、「炎舞炊き」好調の3Qは営業利益5.3%増も通期予想は据え置き
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この記事はここがポイント

  • 象印マホービン株主優待拡充、3年以上の継続保有で割引額1.5倍に増加
  • 第3四半期営業利益88.7%進捗も、通期予想は据え置き
  • 「炎舞炊き」等高付加価値品好調、価格転嫁寄与で営業利益増の要因

象印マホービン<7965>は2日の大引け後、2026年11月期第3四半期累計(2025年11月21日~2026年8月20日)の決算短信とあわせて、株主優待制度の一部変更(拡充)を発表しました。

決算は増収・営業増益で着地し、営業利益は通期予想に対して9割近くまで積み上がっています。

一方で同社は通期予想を据え置きました。

優待は、3年以上継続して株式を保有する株主の割引額を引き上げる内容で、2026年11月20日を基準日とする回から変更後の内容で実施されます。

決算の中身と優待拡充のポイントを順に見ていきましょう。

第3四半期累計は増収・営業増益、純利益は小幅減益

2日に発表された2026年11月期第3四半期累計の連結業績は次の通りです。

  • 売上高:699億8,700万円(前年同期比3.4%増)
  • 営業利益:58億5,600万円(同5.3%増)
  • 経常利益:63億4,800万円(同3.9%増)
  • 四半期純利益:40億1,500万円(同2.9%減)

売上高のうち国内は456億200万円(前年同期比3.2%増)、海外は243億8,400万円(同3.8%増)で、海外売上高構成比は34.8%となりました。

売上総利益は240億6,400万円(前年同期比7.3%増)と、売上高の伸びを上回っています。

同社は、国内で高付加価値商品を中心に販売が好調だったこと、円安による輸入コストの上昇分の価格転嫁が進んだことを挙げており、売上高の増加で販売費及び一般管理費の増加分を吸収した結果、営業増益になったと説明しています。

純利益が小幅減益となったのは、税引前利益が増えた一方で、法人税等合計が18億1,300万円から21億5,500万円に増えたためです。

なお、営業利益の伸び率は第1四半期累計の28.3%増、第2四半期累計(中間期)の7.0%増から、第3四半期累計では5.3%増へと縮小しています。

累計値の差から第3四半期(2026年5月21日~8月20日)の3カ月間だけを取り出すと、売上高は187億7,700万円(前年同期比7.0%増)と伸びた一方、営業利益は6億4,400万円(同6.7%減)と減益でした。

累計では増益でも、直近3カ月の利益は前年を下回っている点には留意が必要です。

売上高の約7割を占める「調理家電製品」、けん引役は「炎舞炊き」

同社はセグメント情報の記載を省略しており、製品区分別に売上高を開示しています。決算短信の区分順に並べると次の通りです。 

  • 調理家電製品:504億8,800万円(前年同期比2.4%増)
  • リビング製品:119億2,500万円(同6.3%減)
  • 生活家電製品:43億2,300万円(同15.9%増)
  • その他:32億4,900万円(同67.9%増)

なかでも、売上高の約7割(72.1%)を占める調理家電製品が同社の売上の柱です。

製品区分別の利益は開示されていませんが、規模の面で業績を左右するのはこの区分といえます。

国内では、最上位機種である圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」が好調に推移し、炊飯ジャーの売上が前年から増加しました。

オーブンレンジ「EVERINO」に30Lサイズを加えるなどのラインアップ強化や、オーブントースター、ホットプレートの増加も寄与しています。海外では北米でホームベーカリーなどが増加しました。

同社は2025年12月に公表した中期経営計画において、前中期経営計画「SHIFT」の成果として「国内の炊飯ジャー金額シェア高水準を維持」したことや、国内の高付加価値化と価格適正化による採算改善を挙げています。

高付加価値商品の販売とコスト上昇分の価格転嫁が利益を押し上げる、という構図が今回の決算にも表れています。

2026年11月期から始まった中期3カ年計画「BEYOND」でも、炊飯ジャーは2028年に国内296億円、海外145億円の売上目標を掲げる中核商品と位置づけられています。

一方、リビング製品は、「スマートキャップ」搭載のクールボトルが好調だったものの、主力のステンレスマグの販売が国内外で苦戦し減収でした。

生活家電製品は加湿器や新たに投入した2WAYサーキュレーター、その他は飲食事業の店舗数増加や香港の販売代理店の子会社化が増収につながっています。

営業利益の進捗率は88.7%、それでも通期予想を据え置いた理由

2026年11月期の通期予想は、売上高925億円(前期比1.5%増)、営業利益66億円(同11.2%減)、経常利益71億円(同14.5%減)、純利益48億円(同19.7%減)で、期初から変わっていません。

第3四半期累計時点の進捗率は、売上高75.7%、営業利益88.7%、経常利益89.4%、純利益83.6%です。

例年の利益の積み上がり方と比べてみると、第3四半期累計の営業利益が通期実績に占める割合は、2024年11月期が75.2%、2025年11月期が74.8%でした。

第4四半期(8月21日~11月20日)だけの営業利益は、2024年11月期が14億7,700万円、2025年11月期が18億7,600万円です。

今期の通期予想を達成するのに必要な第4四半期の営業利益は7億4,400万円で、例年の第4四半期の水準を大きく下回る計画となっています。

据え置きについて同社は、足元の業績は想定を上回って推移しており、米国での関税還付による一時的な利益の増加もあるとしたうえで、中東情勢の影響による原材料価格の高騰などを慎重に勘案した結果だと説明しています。

関税還付は、米国の関税が連邦最高裁判所で無効と判断されたことを受け、米国子会社が申請したものです。

第3四半期累計では2億700万円を売上原価から差し引いており、第3四半期末の後にも600万ドル(約10億3,000万円)を受領しました。

ただし、一時的な要因である点には注意が必要です。

3年以上の継続保有で割引額が1.5倍に、株主優待拡充の中身

象印マホービンの株主優待は、毎年11月20日時点で100株以上を保有する株主を対象に、同社商品を優待価格で販売し、さらに保有株式数に応じた優待特別割引を適用する制度です。

商品が無料でもらえるのではなく、優待販売の案内に掲載された商品(10商品程度)を購入する際の割引である点に注意してください。

割引は優待価格からさらに差し引かれる仕組みですが、家電量販店やネット通販の実売価格とは異なるため、購入時には価格を比べたうえで利用を検討してください。

同社の株主優待情報ページでは、対象商品の例として圧力IH炊飯ジャー、電気ケトル、ふとん乾燥機が紹介されています。

2日に発表された変更では、保有株式数に加えて継続保有年数に応じて割引額が変わる仕組みになりました。

保有株式数:継続保有年数:優待特別割引(購入金額合計から)

  • 100株以上~500株未満:3年未満:1,000円割引
  • 【新設】100株以上~500株未満:3年以上:1,500円割引
  • 500株以上~1,000株未満 :3年未満:2,000円割引
  • 【新設】500株以上~1,000株未満:3年以上:3,000円割引
  • 1,000株以上:3年未満:4,000円割引
  • 【新設】1,000株以上:3年以上:6,000円割引

3年未満の割引額は変更前と同じで、3年以上継続して保有する株主の割引額がどの階層でも1.5倍に引き上げられた形です。

同社は変更の目的として、より多くの株主に長期的に株式を保有してもらうことを挙げています。

「継続保有年数3年以上」とは、株主名簿の基準日(5月20日と11月20日)に、同一の株主番号で7回以上連続して記録されていることを指します。

初回の判定対象は、2023年11月20日から2026年11月20日までの期間に連続して記録されている株主です。

途中で全株を売却して買い直した場合や、相続で名義人が変わった場合は継続保有とみなされません。

これから株式を購入する場合、2026年11月20日基準日の回では「3年未満」の割引額が適用される点に注意が必要です。

申込方法も変わります。

これまでは毎年2月に郵送されるパンフレットと申込はがきで申し込む方式でしたが、変更後は2月に優待販売ウェブサイトの概要や操作方法を記載した書面が郵送され、ウェブサイトにログインして申し込む方式になります。

炊飯ジャーなど同社の家電の買い替えを予定している家庭にとっては使い道のある優待ですが、割引の価値は購入する商品や金額によって変わり、購入の予定がなければ恩恵は受けにくい点も押さえておきたいところです。

株主優待の内容や条件は変更される可能性があるため、同社の公式サイトを確認してください。

2026年11月20日の基準日に向けたスケジュール

基準日は2026年11月20日(金)です。

同社は毎年11月20日を決算期末としているため、月末を基準日とする多くの銘柄とは日程が異なり、11月末が近づいてから購入しても今回の権利は得られません。

国内株式の受け渡しは約定日から2営業日後のため、優待の権利を得るには、2営業日前の11月18日(水)までに株式を購入する必要があります(権利付き最終日)。

翌11月19日(木)が権利落ち日です。

前期は特別配当42円を上乗せ、今期予想46円の配当と株主還元方針

11月20日は期末配当の基準日でもあります。2026年11月期の年間配当予想は1株46円(中間23円、期末23円)です。

前期の2025年11月期の年間配当は82円でしたが、これは普通配当40円に特別配当42円を加えた金額です。

同社は2023年11月期から2025年11月期までの中期経営計画「SHIFT」で、自己株式取得を含めた3カ年累計の総還元性向を100%以上とする方針を掲げており、この方針の達成に向けて特別配当を上乗せしていました。

2026年11月期からの中期経営計画「BEYOND」では、連結配当性向50%以上を目安とする安定配当を基本とし、自己株式の機動的な取得を組み合わせる株主還元方針を示しています。

今期の会社予想1株当たり当期純利益75.58円をもとにすると、予想配当46円の配当性向は60.9%となります。

株価指標で見る現在の水準

決算と優待拡充の発表後、最初の取引日となった5日の株価は前日比▲17円(▲1.19%)の1,409円で取引を終えました。

出来高は42万400株と、2日の25万9,900株から増えています。翌10月6日は+17円(+1.21%)の1,426円まで戻し、発表前の10月2日の終値と同じ水準で引けました。

象印マホービンの10月6日の株価

6日の株価終値は1,426円(前日比:+17円、+1.21%)でした。

PER(会社予想)は18.87倍、PBR(実績)は0.99倍、配当利回り(会社予想)は3.23%です。

配当利回りは3%台にあり、PBRはおおむね1倍の水準です。

株価は4月10日に年初来高値1,754円をつけた後、6月30日に年初来安値1,322円まで下落し、足元は1,400円台前半で推移しています。

象印マホービンの年間チャート

象印マホービンの年間チャート

記者コメント

象印マホービンの第3四半期累計は、「炎舞炊き」をはじめとする高付加価値商品の販売と価格転嫁によって、売上高の伸び以上に売上総利益を伸ばした決算でした。

営業利益は通期予想の88.7%に達しており、例年の第4四半期の水準や発表済みの関税還付を踏まえると、通期予想の達成に向けた進捗は順調といえます。

ただし、同社自身が原材料価格の高騰を慎重にみて予想を据え置いている点や、営業利益の伸び率が四半期ごとに縮小している点、関税還付が一時的な要因である点は押さえておきたいところです。

株主優待の拡充は、長く保有するほど割引額が大きくなる長期保有優遇型の変更です。

これから株式を購入する場合、優待拡充の恩恵を受けられるのは継続保有の要件を満たしてからになるため、今回の基準日では従来と同じ割引額が適用される点も踏まえて判断したいところです。

次回の本決算の発表では、第4四半期の利益の着地と、来期の配当予想にも注目が集まりそうです。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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