この記事はここがポイント
- 8月31日権利確定のオンワードHDは4.29%、ワールドは4.01%と高利回り
- ワールドは6期連続増配で配当5年4.9倍、三陽商会は株式分割伴う大幅増配
- 利回り差は配当性向や増配ペースに起因、直近決算は全5銘柄が増収増益
長期金利の上昇や原油高を嫌気して、このところ株式市場は軟調な値動きが続いています。
こうした地合いでは、値上がり益だけでなく配当という「確定した利益」に目を向ける個人投資家も増えてくるのではないでしょうか。
8月は株主優待の人気銘柄の権利確定が多い月として知られていますが、同じタイミングで中間配当の権利が確定する「高配当株」にも注目したいところです。
2月を本決算とする小売・アパレル企業の中間配当は、権利確定日(基準日)が8月31日(月)に集中しています。
決済ルール「T+2」から逆算すると、権利を得るために株式を保有しておく必要がある最終売買日(権利付き最終日)は8月27日(木)、その翌営業日の8月28日(金)が権利落ち日となります。
今回は、東証プライム市場に上場し知名度の高い企業の中から、配当利回りが相対的に高い5銘柄を利回り順に紹介します。
8月31日権利確定の高配当株5選、配当利回り順にピックアップ
5銘柄はいずれも東証プライム市場の企業で、8月20日終値をもとにした配当利回り(会社予想)順に並べると以下のようになります。
順位 銘柄名<コード>:株価(8月20日終値)/年間配当予想/配当利回り
1 オンワードホールディングス<8016>:770円/33円/4.29%
2 ワールド<3612>:1,670円/67円/4.01%
3 三陽商会<8011>:5,270円/184円(分割前換算)/3.49%
4 コーナン商事<7516>:4,465円/140円/3.14%
5 イズミ<8273>:1,024円/30円/2.93%
8月末権利確定の高配当銘柄ランキング
オンワードホールディングス<8016>:3期連続増配で利回り4.29%
「23区」「組曲」「J.PRESS」などの婦人・紳士アパレルブランドを展開するアパレル大手です。2026年8月20日の終値は770円(前日比+10円)で、会社予想の年間配当33円(中間16円・期末17円)をもとにした配当利回りは4.29%となっています。前期(2026年2月期)実績の30円から3円の増配で、3期連続の増配となります。
直近の決算では、2027年2月期第1四半期の売上高が634億6,600万円(前年同期比5.5%増)、営業利益が56億4,700万円(同5.5%増)と増収増益でした。戦略ブランドの好調や店舗運営の効率化が寄与しており、通期でも売上高2,470億円(前期比4.3%増)、営業利益128億円(同10.3%増)を見込んでいます。
ワールド<3612>:6期連続増配で5年で配当4.9倍に
「INDEX」「自由区」などのアパレルSPAを中心に、不動産・介護事業なども手掛けるファッション企業です。8月20日の終値は1,670円(前日比+25円)で、配当利回りは4.01%。2027年2月期の年間配当予想は67円(中間31円・期末36円)で、前期の54.5円から12.5円の増配となり、これで6期連続の増配です。連続増配が始まった2022年2月期の13.5円と比べると、5年で4.9倍まで拡大した計算になります。
直近の2027年2月期第1四半期は、売上収益747億700万円(前年同期比6.7%増)、営業利益72億9,300万円(同7.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益54億5,000万円(同24.7%増)と増収増益でした。
三陽商会<8011>:株式分割を伴う大幅増配、利回り3.49%
「エポカ」などの婦人服ブランドを展開する老舗アパレル企業で、かつて英バーバリーの国内ライセンスを保有していたことでも知られます。8月20日の終値は5,270円(前日比+190円)で、配当利回りは3.49%です。
同社は2027年2月期の年間配当を、前期実績139円から45円増の184円(分割前換算)とする大幅増配を発表しています。ただしこの184円という数字には注意が必要です。
同社は8月31日を基準日として普通株式1株を3株に分割する予定で、中間配当76円は分割前の株数に対する金額、期末配当36円は分割後の株数に対する金額です。
分割前の1株に換算すると「76円+36円×3株=184円」という計算になっており、単純な「184円」という額面だけを見ると分割の影響で二重に増えているように誤解しかねない点は押さえておきたいところです。
直近の2027年2月期第1四半期は、売上高145億9,400万円(前年同期比0.6%増)、営業利益1億1,300万円(同210.5%増)、経常利益1億300万円(同4.1倍)、純利益1億600万円(同191.1%増)と、増収に加え春夏物の好調や販管費抑制で利益面が大きく伸びました。
コーナン商事<7516>:増収増益も配当は前期から横ばいの140円
関西地盤のホームセンター大手で、DIY用品や園芸・ペット用品などを幅広く扱っています。8月20日の終値は4,465円で、年間配当予想140円をもとにした配当利回りは3.14%です。
直近の2027年2月期第1四半期は、営業収益1,462億1,900万円(前年同期比11.8%増)、営業利益101億5,100万円(同42.8%増)、経常利益97億7,000万円(同51.5%増)、純利益66億5,500万円(同52.2%増)と大幅な増収増益でした。この利益の伸びには、アレンザホールディングスを持分法適用関連会社としたことに伴う投資利益の計上も寄与しており、本業の伸び以外の要因も含まれている点は留意しておきたいところです。
イズミ<8273>:中国・四国地盤の総合スーパー、利回り2.93%
広島に本社を置き、「ゆめタウン」を中心に中国・四国地方で総合スーパーを展開しています。8月20日の終値は1,024円(前日比+12円)で、年間配当予想30円をもとにした配当利回りは2.93%です。
直近の2027年2月期第1四半期は、営業収益1,403億円(前年同期比2.8%増)、営業利益68億円(同8.9%増)、経常利益68億3,500万円(同10.5%増)、純利益45億2,800万円(同7.5%増)と、いずれも増収増益でした。
ここまで見てきた5銘柄は、いずれも8月31日を基準日とする中間配当(コーナン商事・イズミ・オンワードホールディングス・ワールドは2月本決算企業の中間配当、三陽商会も同様)で、権利付き最終日は共通して8月27日となります。
配当利回りは4%台のオンワードホールディングス・ワールドから2%台のイズミまで幅がありますが、いずれも直近の四半期決算は増収増益基調にあります。次のページでは、なぜ同じ「8月権利確定・高配当」の括りでもこれだけ利回りに差が出るのか、その背景を掘り下げます。
なぜ利回りに差が出るのか:配当性向から見た5銘柄の違い
配当利回りは「1株配当÷株価」で決まるため、株価の水準そのものに加えて、企業がどれだけ利益を配当に回す方針かという「配当性向」の違いも反映されます。
イズミは会社側が配当性向の目安を37.77%程度と開示しており、総合スーパーとして手堅い還元方針を維持しています。
一方、オンワードホールディングスやワールドは、近年の増収増益を背景に増配ペースを速めてきた経緯があり、結果として株価に対する配当の比率(利回り)が押し上げられている状況です。
特にワールドは5年で配当額が4.9倍になっており、業績拡大局面での増配スピードの速さが利回りの高さに直結しています。
コーナン商事は前期と同額の140円を据え置いていますが、直近四半期の純利益は52.2%増と大きく伸びています。
配当予想を据え置いたまま増益が続いている局面では、今後の決算内容次第で配当方針が見直される可能性もあり、増配発表の有無は今後の決算発表もあわせて確認しておきたいポイントです。
三陽商会については、株式分割によって1株あたりの権利内容が変わる点を差し引いて考える必要があります。分割後は保有株数が3倍になる一方、期末配当は1株36円に切り下がります。
記者コメント
今回取り上げた5銘柄は、いずれもアパレルや小売という、日常生活に身近な業態の企業です。
値上がり益を狙う銘柄選びとは異なり、配当を軸に銘柄を見る場合は「今回の増配が一過性のものか、業績拡大に裏付けられた継続的なものか」を意識しておくと、その後の投資判断がぶれにくくなるように思います。
特にコーナン商事のように、増益の一部が持分法適用会社化に伴う投資利益によるものであるケースや、三陽商会のように株式分割が絡み配当額の見え方が変わるケースは、額面の数字だけで判断せず、決算短信の中身まで確認する必要があります。
なお、8月31日を基準日とする権利を得るための権利付き最終日は8月27日です。株式の売買には決済に伴うタイムラグがあるため、権利取得を検討する場合は余裕を持ったスケジュールで臨むことをおすすめします。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
