この記事はここがポイント
- JFE株価は2026年7月急反発、2027年3月期には当期利益倍増を予測。
- 2026年3月期は鉄鋼事業の利益率が1.4%と低く、商社・エンジニアリング事業が利益を牽引する構図。
- 2026年3月期の当期利益は23.6%減の702億円、ROE2.7%・PBR0.44倍ながら高配当性向72.5%を維持。
鉄鋼は重厚長大の代名詞でありながら、株価では長く1倍割れの評価が続いてきた。JFEホールディングス(5411)もその一社だ。2026年3月期通期の当期利益(IFRS)は前期比▲23.6%と落ち込み、株価は2026年6月末にかけて1,500円台まで下げた。ところが7月末には1,800円台まで上昇した。2027年3月期1Q決算の発表を前に、減益の底と回復への期待が交錯する足元を整理したい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
下落トレンドから一転、2026年7月の急反発
JFEホールディングスの株価は、2025年秋から2026年2月にかけて1,800円台から2,200円台へ水準を上げ、この2月末が過去12か月の月末終値では最も高い水準となった。しかしそこからは流れが反転する。3月末以降は下値を切り下げ、6月末には1,560円台と、直近1年で最も低い月末水準まで沈んだ。
2026年7月はこの下落基調が一変した。直近終値は1,800円台と、前月末から2割近く水準を切り上げている。株式市場全体の地合いや鉄鋼株への見直しが意識された可能性はあるが、背景を一つに絞るのは難しい。ここでは、株価が動く前提となる業績と評価の水準を押さえておきたい。
当期利益は2割超の減益、ROEは2.7%へ
2026年3月期通期は、売上収益が4兆5,393億円、当期利益が702億円で着地した。当期利益は前期の919億円から▲23.6%の減益である。自己資本利益率(ROE、株主資本に対する利益の効率)は2.7%まで下がり、鉄鋼業の中央値である4%台を下回った。株価純資産倍率(PBR、株価が1株当たり純資産の何倍か)は0.44倍と、1倍を大きく割り込んだままだ。
数字だけを見れば、資本効率は物足りない。ただし配当性向は72.5%と、鉄鋼業の中央値である4割を大きく上回る。年間配当は80円へと前期の100円から引き下げられたが、それでも利益の7割超を配当に回す姿勢は崩していない。低いROEと高い配当性向が同居しているのが、いまの同社の姿だ。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
