日本郵船(9101)、2027年3月期1Q決算の発表迫る。前期経常利益は▲57%。稼ぎ頭の交代を解説
Tada Images/Shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
05:30
日本郵船(9101)、2027年3月期1Q決算の発表迫る。前期経常利益は▲57%。稼ぎ頭の交代を解説
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この記事はここがポイント

  • 日本郵船の2026年3月期通期経常利益は前期比▲57.0%と大きく落ち込み、持分法投資利益の反動減が主因。
  • 株価は2026年7月に6,100円台へ上昇し、減益局面にもかかわらず高水準を維持した状況。
  • 2026年3月期のセグメント別経常利益では自動車輸送が979億円で稼ぎ頭となり、利益構造が変化した実態。

コンテナ船の特需が去り、海運大手の利益は正常化の局面に入っている。日本郵船(9101)の2026年3月期通期は、経常利益が前期比▲57.0%と大きく落ち込んだ。だが株価は2026年7月に入って6,100円台へ水準を切り上げている。

2027年3月期1Q決算の発表を前に、減益と株高の一見ちぐはぐな組み合わせを、セグメント別の利益構造からほどいていきたい。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

2026年7月、レンジ相場から上放れた株価

出所:各種資料をもとに筆者作成1/1

日本郵船の株価は、直近1年の大半をおおむね5,000円台前半から5,700円台のレンジで推移してきた。2025年11月末には4,900円台まで下押しし、これが過去12か月の月末終値では最も低い水準となった。年明けにかけて持ち直し、2026年3月末には5,700円台と過去12か月で最も高い月末水準をつけたが、そこから6月末にかけては5,200円台へ緩やかに軟化している。

流れが変わったのは2026年7月だ。終値は6,000円付近と、前月末から1割を超えて水準を切り上げた。海運株全体への物色や円相場の動きが意識された可能性はあるが、背景を一つに絞るのは難しい。むしろ決算の中身と株価の動きには、ややずれがあるとみておきたい。

経常利益が営業利益以上に落ちた決算

2026年3月期通期は、売上高が2兆4,237億円(前期比▲6.4%)、営業利益が1,386億円(同▲34.3%)で着地した。ここまでなら市況一巡による減益で片づく。目を引くのは、経常利益が2,111億円(同▲57.0%)、純利益が2,118億円(同▲55.7%)と、営業利益を上回るペースで落ちている点だ。

同社は営業外収益に持分法による投資利益850億円を計上している。コンテナ船事業などを担う持分法適用会社の損益が経常段階に乗る構造を踏まえると、営業利益より経常段階の落ち込みが深いのは、前期に海運市況の特需で膨らんでいた持分法投資利益の反動が主とみられる。

稼ぎ頭は自動車船へ。売上と利益のねじれ

海運と聞くと、コンテナ船の運賃市況で業績が決まるという印象があるだろう。だが2026年3月期のセグメント別経常利益を並べると、実像は少し違う。最も稼いだのは自動車輸送で、経常利益は979億円に達する。エネルギー輸送が544億円、コンテナ船を含む定期船事業が498億円と続く。

売上の構成とは順序が入れ替わる。売上高が最大の物流事業(8,018億円)の経常利益は102億円にとどまり、ばら積み船を中心とするドライバルク(5,432億円)も96億円と薄い。売上の7%程度にすぎない定期船事業が、経常利益ではおよそ2割を担っている。運賃市況の代名詞であるコンテナ船は、いまや稼ぎ手の一つであって大黒柱ではない。自動車船という別の柱が、足元の利益を支えている。

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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