キオクシア(285A)の株価は1カ月で半分。「過去最高益」でなぜストップ安?その背景を元機関投資家で東芝半導体担当者が解説
chachamal/istockphoto.com
執筆者泉田良輔LIMO&ファイナンス編集部 編集長
10:40
キオクシア(285A)の株価は1カ月で半分。「過去最高益」でなぜストップ安?その背景を元機関投資家で東芝半導体担当者が解説
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この記事はここがポイント

  • キオクシア株価1カ月弱で半減も、最高益に市場が利益ピークアウトを先取りした結果
  • 下落の背景は需給の逆回転、AI相場への懐疑、供給過剰への警戒の3つの要因
  • 予想PER5倍台は割安に見えるが、市況産業では業績ピークでPERが下がるバリュエーション・トラップ

2026年7月17日、半導体大手のキオクシアホールディングス(285A)がストップ安となりました。値幅制限の下限まで売られる「ストップ安」で、前日比1万円安の5万2110円。6月22日につけた上場来高値(約10万8700円)から、わずか1カ月弱で株価はほぼ半分になった計算です。

不思議なのは、業績はむしろ絶好調だという点です。直近の2026年3月期は売上・利益とも過去最高を更新しました。それなのに、なぜここまで売られるのでしょうか。元機関投資家で東芝担当者の視点から、株価下落の「構造」を整理します。

6月下旬にキオクシアの株価は大きく反落。

最高益期待の裏側にストップ安が起きるのはなぜか。

シクリカルインダストリーでは、利益と株価は必ずしもリアルタイムでは連動しません。

その理由は、株価は先を織り込んでいくという特徴があるからです。

株式初心者はそこを読み間違えます。

今回は、そうした利益見通しとバリュエーションのズレについて解説をしていきます。

キオクシアの株価に何が起きたか

株価は今年4月1日の2万1800円台から6月22日の10万円超まで、2カ月半で約5倍に急騰していました。6月には時価総額で一時トヨタ自動車を抜き、国内首位に立った場面もあります。

しかし、株価がピークを付けて以降軟調に推移し、7月16日も約15%安と、株価は大きく下落しています。

さらに本日17日は、子会社をめぐる米国の特許訴訟で不利な陪審評決が出たことを会社が開示しました。賠償額に関する報道も出て不確実性が意識され、当日の下げを増幅した格好です。ただし確定額や上訴の有無は今後の開示待ちで、現時点で過度に織り込むのは早計といえます。

なぜ下がり続けるのか——3つの理由

① 需給の逆回転 

急騰局面で信用取引を使い高値で買った投資家が多く、下落で追加担保(追証)を求められ、投げ売りが投げ売りを呼ぶ展開に入りました。米半導体株や同業の米サンディスク(SNDK)安を受けた「連想売り」、上半期に上げたハイテクから資金を移す動き(セクターローテーション)も重なっています。

② AI相場そのものへの懐疑 

7月初旬、米メタが余剰のAI計算資源を外部に貸し出す構想を検討と報じられ、「AIの設備投資はこの先減速するのでは」との不安が広がりました。AI需要を前提に買われてきたメモリ株には逆風です。

③ 供給過剰への警戒 

韓国勢の大規模増産計画に加え、韓国の半導体レバレッジETFが過熱し、KOSPI(韓国総合指数)は7月に急落しました。同じメモリ業種のキオクシアにも売りが波及。「供給不足が続く」という強気シナリオの前提が揺らいだことが、最も本質的な懸念です。

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