【令和8年法改正】シニア世代に関わる公的医療制度の変更ポイント
令和8年5月29日に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律案」は、医療保険制度を将来にわたり持続可能なものとするため、全世代が納得できる給付と負担の見直しを行うものです。
医療保険制度改革のポイント
今回の改正には、出産環境の整備や子育て世帯への支援などを含む主に5つの重要なポイントがありますが、ここではシニア世代の生活に特に関わりの深い「3つの改正ポイント」に絞って解説します。
OTC類似薬の薬剤給付の見直し(公布後1年以内・令和9年3月1日施行を想定)
鼻炎や胃痛、風邪症状など日常的な医療に用いる医薬品のうち、OTC医薬品(市販薬)で代替可能なものについて、薬剤料の4分の1が別途自己負担となります。がん・難病患者など、配慮が必要な慢性疾患を抱えている方に対しては、別途の負担を求めないなどの特例措置が検討されています。
高額療養費の年間上限新設などの見直し(令和8年8月1日から順次施行)
高額療養費の年間上限の新設
医療保険制度を将来にわたり維持するため、医療費の伸びや所得に応じて月単位の自己負担限度額が見直されますが、長期療養者向けの「多数回該当」の金額は据え置かれます。また、新たに医療費の「年間上限」が設けられ、上限額に達した後はその年の窓口負担が不要になります。
後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映について(公布後5年以内)
確定申告の有無によって窓口負担割合や保険料が変わるという不公平を解消するため、上場株式の配当等の金融所得も負担判定に反映されるようになります。金融機関等から提出される法定調書を活用して所得を把握するため、これによって個人の事務手続き負担が新たに増えることはありません。
まとめにかえて
入院日数の現状や年齢に伴う通院リスクの増加、そして令和8年の法改正による自己負担の見直しなど、私たちの医療を取り巻く環境は時代とともに変化しています。
民間の医療保険を検討する際は、こうした「日本の医療の実情」と「公的な健康保険制度でどこまでカバーされるのか」を一つの判断基準にすることが有益です。公的保障で対応できる範囲を見極めた上で、それでもカバーしきれない部分(差額ベッド代や先進医療の費用、生活費の補填など)に対して、個々のニーズや予算に合わせた民間の医療保険を柔軟に組み合わせることで、より合理的で無駄のない備えを構築することができます。
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日本生命出身で生命保険・損害保険の実務に長年従事。CFP®・FP1級を保有。現在はLIMO編集部にて官公庁の一次情報を基にした信頼性の高い記事を執筆・監修。J-FLEC認定アドバイザーとしても活動。
PROFILE
FP資格「CFP®認定者」及び「1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)」を保有。
早稲田大学卒業後、日本生命保険相互会社に入社し、生命保険・損害保険の実務および社内教育部署にて教材制作・研修企画に長年従事。独立後はファイナンシャルプランナーとして公正中立な立場から家計相談・ライフプラン設計などの相談実績を持つ。また、マネースクール講師としてNISA、iDeCoを含む資産運用、社会保障など幅広い分野で「お金の先生」として活動。特に公的年金制度の仕組み、老齢年金、障害年金、遺族年金といった厚生労働省管轄の社会保障分野に深い知見を持つ。
現在、株式会社モニクルリサーチのLIMO編集部にて、厚生労働省、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)といった官公庁の一次情報をもとに、信頼性の高い記事の企画・執筆・編集・監修を担当。J-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザーとして、企業や学校への金融教育の普及にも尽力している。
