還暦からの10年間で老後の家計を立て直す3つの視点
貯蓄100万円未満で還暦を迎えた場合、心配になる気持ちは自然なものです。ただし、60歳からでも老後の家計を立て直す余地はあります。3つの視点で整理します。
就労延長で「年金の繰下げ受給」も選択肢
再雇用や継続就労で収入があるうちは、公的年金の受給開始を66歳〜75歳まで繰り下げることができます。
1か月遅らせるごとに年金額は0.7%増額され、70歳受給開始で42%増、75歳で84%増となります。長生きするほど有利になる制度で、貯蓄が少ない世帯にとっては強力な選択肢です。
ただしその間の収入がしっかりあることや、健康に働けることが前提となります。繰下げ受給は加給年金や税金などにも影響するため、慎重に判断しましょう。
家計のダウンサイジングを検討
住宅費・保険料・車の維持費・通信費といった固定費を、年に1度は見直しましょう。
子どもの独立を機に住み替えや車の手放しを検討する世帯も増えています。固定費を月2万円削減できれば、年間24万円・10年で240万円の家計改善につながります。
公的支援制度を活用する
老後の収入が公的年金だけで生活が厳しい場合には、老齢年金生活者支援給付金(対象要件を満たす低所得の年金受給者に月額約5000円を上乗せ)や、自治体の高齢者向け助成制度など、活用できる公的支援があります。
まずは市区町村の窓口や日本年金機構のねんきんダイヤルで相談してみてください。
まとめにかえて
2026年に還暦を迎える人の貯蓄額は、平均1343万円・中央値300万円でした。
分布では「100万円未満」が31.8%と3人に1人を占め、「500万円未満」を合わせると過半数に達しました。
平均値と中央値の乖離、そして平均額が過去4年連続で減少している点からも、還暦世代の家計は二極化と全体的な厳しさが同時に進んでいるとわかります。
ただし、60歳は「これから」を設計できる年代でもあります。年金の繰下げ受給、固定費の見直し、公的支援制度の活用という3つの手段を組み合わせれば、貯蓄が少なくても老後の家計を立て直す道は残されています。
まずはねんきん定期便で自分の受給見込額を確認するところから、一歩を踏み出してみてください。
参考資料
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地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在はLIMO編集部で年金・貯蓄・退職金等の金融情報を発信。
PROFILE
ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてパートとしてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。
