元公務員が解説「老後生活に備えて知りたい」こととは
誰もがいつかは迎える老後。収入の柱は年金だけになることも多いので、どれほどの年金が受け取れるのかは気になるものです。
今回ご紹介したデータはあくまでも統計的なものであり、すべての人に当てはまるものではありません。
必ずご自身のねんきん定期便やねんきんネットなどで定期的に確認する習慣をつけておきましょう。
さらに知っておきたいのは、年金だけでは足りないことも想定しておくべきという事実です。
60歳代・70歳代の約3割が「年金だけでは日常生活費もカバーできない」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025」では、二人以上世帯のうち60歳代の33.6%、70歳代の26.5%が、「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答していることがわかっています。
「年金にゆとりがない」と感じる理由とは?
昨今の年金の増額だけでは物価上昇には追いつけず、実質目減りが続いています。
そのような中、年金だけで家計をやりくりすることに不安を感じている世帯は少なくないのです。
そこで、本当に自身の「年金見込額」で老後生活をやりくりできるのか、現役時代からのシミュレーションがとても大切になるのです。
例えば「老後は今より生活費が減る」と思っている人も多いと思いますが、意外にも定年退職後に増える出費が存在します。
定年退職後に増える出費
公益財団法人 生命保険文化センターによると、退職を機に新たに発生したり、割合が高まったりする支出もあります。
- 近所づきあいや地域活動にともなう交際費
- 趣味や生きがいのための費用
- 配偶者が60歳になるまでの国民年金保険料(会社員だった方の配偶者が第3号被保険者を外れる場合)
- 国民健康保険料
会社員時代は厚生年金・健康保険にまとめて加入していた世帯も、退職後は国民年金保険料や国民健康保険料をご自身で納める形に切り替わることが多いです。
筆者が公務員として国民健康保険の窓口業務にたずさわってきた立場から振り返っても、この切り替えのタイミングで納付書に驚かれるご相談は少なくありませんでした。
また、時間に余裕ができたぶん、趣味・旅行・地域活動への支出が増えるケースも多く見られます。
一方で、定年退職後に減る出費ももちろんあります。
- 住宅ローン(完済したケース)
- 子どもの教育費・扶養費用(子どもが独立したケース)
- ビジネススーツ・ワイシャツ・ネクタイなど、会社員時代の被服代
- 職場での交際費や日々のランチ代・外食費
- 厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料の給与天引き分
とくに毎月の給与から自動的に差し引かれていた社会保険料の負担感は、退職後に大きく減ったと感じる方が多い項目です。
「消費部分」を軸に、老後の家計をイメージする
公益財団法人 生命保険文化センターによれば、現役時代の家計のうち「消費部分(生活費)」がセカンドライフの支出をイメージするうえでの目安になるとされています。
また、企業には65歳までの雇用確保が義務付けられ、70歳までの就業確保は努力義務とされているため、退職の時期も一律ではありません。
ご自身がいつ退職し、それを境にどの支出がなくなり、どれが増えるのかを整理しておくことが、老後の家計設計の第一歩になります。
年金額だけでなく支出面もあわせて、ご自身の老後の収支を早めにシミュレーションしておきましょう。
参考資料
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在はLIMO編集部で年金・貯蓄・退職金等の金融情報を発信。
