「ふつうのシニア」という言葉を耳にしたとき、みなさんはどのくらいの年金額を思い浮かべるでしょうか。
月に10万円台でしょうか、それとも15万円ほどでしょうか。
実際の平均額を思ったより低く見積もる方も、あるいは逆に高く感じる方もいるかもしれません。
筆者はかつて自治体の窓口で、保険料の賦課や資格の切り替えなどについての相談に乗っていましたが、やはり年金額は世帯によってばらばらで、「想定内だった」「思ったより全然足りなかった」という声を多く聞きました。
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の全体平均は月額「15万289円」、国民年金は月額「5万9310円」となっています。
ただし、年齢別や男女別で区切って見ていくと、この平均値の背後にはかなり幅のある個人差が隠れています。
この記事では、60歳代から90歳以上までの年齢別受給月額を一覧で整理し、退職後の生活のヒントをさぐります。ご自身の年代・働き方と重ねながら、老後設計の手がかりとしてぜひ最後までご覧ください。
【公的年金】あなたは国民年金?厚生年金?
自分自身が加入している年金制度をよく知らないという人も、実は少なくありません。毎月保険料を納めているものの、制度の複雑さから「深く知ることは後回しにしよう」と思ってしまうことも多いですよね。
日本の公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」と表現されます。
これは、土台となる1階部分の「国民年金(基礎年金)」と、その上に乗る2階部分の「厚生年金」で構成されているためです。
厚生年金と国民年金の仕組み
出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとにLIMO&ファイナンス編集部作成
まずは1階の「国民年金(基礎年金)」を知る
- 国民年金の加入対象者:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての方
- 国民年金保険料:所得にかかわらず一律で、年度ごとに見直される。2026年度は月額1万7920円。
- 老齢基礎年金の受給額:20歳から60歳までの40年間、保険料をすべて納付すると満額を受け取れる。2026年度の月額は7万608円。
つまり、誰もが国民年金には加入していることがわかります。その上で、厚生年金にも加入している人は誰なのかを整理していきます。
次に2階の「厚生年金」を知る
- 厚生年金の加入対象者:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※1)に勤務し、一定の要件を満たす方が国民年金に上乗せして加入します。
- 厚生年金保険料:収入(給与や賞与)に応じて保険料が変動しますが、上限が設けられています(※2)。
- 老齢厚生年金の受給額:加入していた期間や、納付した保険料の総額によって個人差が生じます。
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
上記から、「国民年金だけに加入している人」と「国民年金に加えて厚生年金にも加入している人」にわかれることがわかります。
次章ではいよいよ、それぞれから支給される老齢年金の平均額を見ていきましょう
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在はLIMO編集部で年金・貯蓄・退職金等の金融情報を発信。
