決算発表の延期と次期業績予想に隠された意図
実は今回の決算発表は、本来のスケジュールから遅れて6月23日に行われました。その背景には、海外子会社の元役員による不適切な報酬の受領という不祥事があり、その調査と対応に時間を要したためです。
しかし、そうしたガバナンス上の問題が発覚したにもかかわらず、サンリオの本業の勢いが衰えることはありませんでした。
それを如実に表しているのが、同時に発表された2027年3月期(次期)の業績予想です。会社側は、売上高2,298億円(前年比18.4%増)、営業利益895億円(同15.0%増)、純利益638億円(同16.8%増)という計画を発表しました。
引き続き2桁の増収増益を見込む素晴らしい計画ですが、前期の「営業利益50%増」という爆発的な伸びと比較すると、少し落ち着いた数字に見えるかもしれません。
今期実績と来期予想(売上高・営業利益)
この次期予想の数字に対して、泉田氏は機関投資家ならではの鋭い視点を提供しています。
「業績予想は過去のトレンドと比べると保守的」
泉田氏は、会社側が発表した計画について、これまでの成長の勢いから考えるとかなり控えめに見積もられていると分析しています。さらに次のように続けます。
「成長曲線はちょっとなだらか」
なぜ、勢いに乗っている企業があえて控えめな予想を出すのでしょうか。泉田氏の分析によれば、ここには企業側の戦略的な意図が隠されている可能性があります。期初にあえて達成可能な「保守的」な数字を出しておき、年度の途中で業績が上振れした際に「上方修正」を発表することで、株式市場にポジティブなサプライズを与えるという狙いです。
つまり、表面上の数字が少し大人しく見えたとしても、企業の実力や実際の成長ポテンシャルはそれ以上に高い可能性があるということです。
「イズミダイズム」はモニクルグループが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命出身の元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点から経済ニュースの裏側や資産形成のトピックを論理的に解説します。
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。元機関投資家。フィデリティ投信や日本生命で日本株式や米国株式の証券アナリストやファンドマネージャーとして勤務。東京科学大学大学院非常勤講師。
