ROE41.6%が意味する「長期保有」の魅力
サンリオの決算を読み解く上で、もう一つ見逃せないのが「資産を効率よく増やす力」です。これを測る指標として株式投資で最も重視されるのが「ROE(自己資本利益率)」です。
ROEとは、企業が株主から集めたお金(自己資本)を使って、どれだけの利益を生み出したかを示すパーセンテージです。一般的に、日本の優良企業でもROEは8〜10%程度が目標とされています。しかし、サンリオの今回の決算資料(一次資料)に記載されたROEは、なんと「41.6%」という驚異的な数値でした。
泉田氏はこの桁外れの数値に注目し、次のように指摘します。
「この会社のROEが短信を見ると41.6%ぐらいある」
このROE40%超という数字は、投資家にとってどのような意味を持つのでしょうか。泉田氏は、その凄さを「複利効果」という観点からわかりやすく解説しています。
「今年100でも来年41.8%なら141.8、その次も4割なら2倍近くになる」
「わずか1年で資産が1.5倍近くになる計算だ」という驚きの声があがると、泉田氏もそれに同意する形で解説を深めました。
企業が稼ぎ出した利益は、再びビジネスに投資され(再投資)、さらに大きな利益を生み出す原動力となります。雪だるま式に資産が増えていくこのメカニズムが強力に働くため、サンリオのような高ROE企業は、株を短期で売買するよりも、じっくりと長く持ち続ける「長期保有(ガチホ)」という長期目線の投資と相性が良いと考えられます。
高ROEが生む複利の力
需給の波に惑わされない「ファンダメンタルズ」の力
株式市場において、サンリオのように注目度の高い銘柄は、時に株価が乱高下することがあります。これは、短期的な利益を狙うヘッジファンドの空売りや、個人の信用買いといった「需給(買いたい人と売りたい人のバランス)」の戦いが激しくなるためです。
しかし、泉田氏は投資家が本当に目を向けるべき本質について、明確なメッセージを発しています。それは、目まぐるしく変わる株価の需給と、企業の本質的な価値である「ファンダメンタルズ」は全くの別物であるという事実です。
ファンダメンタルズとは、今回見てきたような「企業の稼ぐ力」や「資産効率の高さ」のことです。どんなに市場で売りが浴びせられ、需給が派手に動いたとしても、最終的に状況を変える鍵となるのは、企業が叩き出す決算の数字そのものです。
サンリオが今回のように「つよつよの決算」を出し続け、高いROEを維持して着実に利益を積み上げていけば、やがて株価を売り叩いていたヘッジファンドも買い戻しを迫られることになります。
キャラクタービジネスという、一見すると景気や流行に左右されやすそうな分野でありながら、サンリオの内部には極めて強靭で高収益なビジネスモデルが構築されています。投資を考える際は、日々の株価の動きに一喜一憂するのではなく、こうした企業の「本当の実力」を見極めることが何よりも大切だと言えるでしょう。
参考資料
- 株式会社サンリオ「2026年3月期 決算短信」(2026年6月23日)
- 株式会社サンリオ「2026年3月期 決算説明資料」(2026年6月23日)
- YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
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「イズミダイズム」はモニクルグループが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命出身の元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点から経済ニュースの裏側や資産形成のトピックを論理的に解説します。
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。元機関投資家。フィデリティ投信や日本生命で日本株式や米国株式の証券アナリストやファンドマネージャーとして勤務。東京科学大学大学院非常勤講師。
