地方債 vs 国債:迷ったときのスマートな選び方
「国債より地方債のほうが利回りがいいからお得では?」と、目先の数字だけで決めるのは禁物です。
債券には「信用力が下がるほど利回りが上がる」という大原則があるため、国より信用力が一段下がる地方債のほうが利回りが高く設定されています。
一見似ている両者ですが、中身には決定的な違いがあります。
①2つの決定的な違い
「信用力」の差(国 vs 自治体)
- 国債 日本国が発行する、国内最高峰の安全資産
- 地方債破綻リスクは極めて低いが、自治体の財政状態による「わずかな格差」がある
「中途換金」の差(元本保証 vs 時価売却) 最重要チェックポイント!
- 個人向け国債:発行後1年が経てばいつでも国が元本(額面)で買い取り。ただし、ペナルティとして「直近2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685 」が差し引かれる点には注意。もらえる利息は減りますが、投資した元本そのものが目減りすることはありません
- 地方債:途中で売る場合は市場での「時価売却」。金利状況によっては元本割れするリスクあり
資金の性格で使い分ける
- 満期までじっくり持てるお金 → 利回り魅力の「地方債」
- 途中で使うかもしれないお金 → 守りの堅い「個人向け国債」
②あなたはどっち?目的別の選び方
10年物の債券で迷ったら、あなたの「金利の先行き予想」に合わせてチョイスしましょう。
個人向け国債(変動10年)が向いている人
- スタンス:「金利はこれからさらに上がる」
- 理由: 変動金利なので、世の中の金利上昇に合わせて、自分がもらえる利息も自動的に増えていくから
地方債(固定)が向いている人
- スタンス:「いまの高金利を今のうちにキープしたい」
- 理由: 基本が固定金利。いまの高水準な利回りを、満期を迎えるまでガッチリロックできるから
③ ジャーナリストが教える応用戦略
時期をずらす「組み合わせ戦略」
「当面は金利上昇に備えて変動国債を持ち、数年後に金利がピークに達したと判断したところで地方債(固定)に買い換える」というパズルのような投資スタイルも賢い選択です。
あえて買わずに「徹底様子見」
「金利の天井はまだ先だ」と読むなら、7月はあえて見送り、8月以降を虎視眈々と待つのも立派な戦略です。
実は今、債券市場では投資家にとって非常に有利な「裏の変化」が起きています。
地方債の利回りは「国債の金利+上乗せ金利(スプレッド)」で決まりますが、4〜6月まで「+18bp(0.18%)」だった上乗せ幅が、7月には「+20bp(0.20%)」へと拡大(2bpのワイドニング)しました。
ベースとなる国債金利そのものが上がって地方債の魅力が増しているにもかかわらず、さらに上乗せ幅まで広がっている。
これは、プロである機関投資家の間で「今は様子を見よう」という空気が広がり、需給が緩んでいる(買い手が少なくなっている)証拠です。
8月以降の展開は誰にも読めませんが、この需給の緩みが続けば、「さらなるワイドニング(上乗せ幅の拡大)」が起き、さらに高い利率で地方債や社債が登場する可能性も十分にあります。
「もっと美味しくなるまで待つ」という選択は、今まさに検討に値する作戦です。
まとめ
2026年7月、日本の金利は大きく動き、共同債が3%を超え、個人向け国債も1.80%になりました。
「これだけ選択肢が増えると、結局どう選べばいいの?」と迷ってしまう方も少なくないでしょう。
判断のヒントは、ご自身のお金の使い道とこれからの金利予想にあります。
「近々使うかも」「これからもっと金利が上がる」と思うなら、中途換金でも元本が守られ金利上昇に連動する個人向け国債(変動10年)が心強い味方になります。
一方、「満期まで使う予定はない」「今の高い利回りをキープしたい」なら、金利をガッチリロックできる地方債(固定)が魅力的に映るはずです。
今はあえて買わずに様子を見るというのも、立派な作戦の一つ。
それぞれのメリットやルールの違いをすっきり整理して、ご自身のライフプランに合った「心地いい付き合い方」を考えてみてください。
参考資料
【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願いいたします。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
PROFILE
立教大学卒業後、海外専門の旅行会社に就職し、その後旅行業界専門誌の記者に転身。企業決算の記事などを手掛けるうちに金融マーケットに興味を持つようになり、株式や債券の発行市場をカバーする金融専門誌の記者に転職。債券市場の動向や市況について、10年以上にわたって数多くの記事を機関投資家に向けて日経QUICKやブルームバーグ等へ執筆した。その後、株式会社フィスコでアナリストが執筆する企業調査レポートの編集を手掛けるとともに、決算などIR情報の発信業務に携わる。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』のLIMO編集部に所属し、LIMOでも記事を執筆している。
