7月6日に長期金利(新発10年物国債利回り)が一時2.830%にまで上昇し、約30年ぶりの高い水準を記録しました。
市場では、高市政権が掲げる積極財政方針に伴う財政悪化リスクを意識した債券売りが続いており、金利の上昇圧力が強く、今後もさらなる金利の先高感が意識されています。
このように金利環境が大きく変化するなか、賃貸住宅大手の大東建託が、同社としては初となる「個人向け社債」の発行に向けた準備を進めていることが公表され、注目が集まっています。
今回は、なぜ今このような動きが出ているのかという背景から、債券投資の基本、そして今回の大東建託の利率の仮条件や注意すべきリスクまで、専門家が解説します。
近年は個人向け社債の発行が増加傾向に
元来、社債というものは銀行や保険会社といった、いわゆる「機関投資家」が購入する大口の投資商品という位置づけが一般的でした。
そのため、市場に流通する新発債の多くは、最低投資金額が「1億円」単位など、個人投資家にとっては手の届かない世界の話だったのです。
しかし、近年の証券市場の成熟や、ネット証券が急速に普及・台頭したことに伴い、社債の販売ターゲットの裾野は個人投資家層へと着実に拡大しています。
個人でも手軽に投資しやすい「10万円単位」などから購入できる銘柄は明らかに増加傾向にあります。
さらに、足元で金利上昇の圧力が一段と強まるなか、債券の価格変動リスクへの対策として、発行体(企業)側にとっても自社債の安定的かつスムーズな消化(販売)を支えてくれる新たな投資家層を開拓することは、非常に重要な課題となっています。
このような背景から、従来は機関投資家向けの大口発行しか行っていなかった企業が、資金流動性の確保やファン層(個人株主のような存在)の拡大を目指し、今回の大東建託のように初めて個人向けの社債発行に踏み切る動きを見せているのです。
そもそも「債券投資」とは?国債・地方債・社債の違い
ここで一度、基本に立ち返ってみましょう。
債券投資とは、一言で言えば「国や企業にお金を貸して、定期的に利息をもらい、満期が来たら元本を返してもらう」という仕組みの投資です。
株式投資のように「企業の業績次第で株価が何倍にもなる」といった爆発力はありませんが、あらかじめ「満期(償還日)」「利率」「利払日」が決まっているため、将来の収支計画が立てやすいという特徴があります。
債券には大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 個人向け国債:国が発行するため安全性が極めて高いですが、利回りは低めに設定されています
- 地方債:都道府県や政令指定都市などが発行します。国債に次ぐ安全性を持ちます
- 社債(事業債):民間企業が資金調達のために発行します。国債や地方債に比べると企業特有のリスク(信用リスク)がある分、高い利回りが期待できるのが特徴です
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
PROFILE
立教大学卒業後、海外専門の旅行会社に就職し、その後旅行業界専門誌の記者に転身。企業決算の記事などを手掛けるうちに金融マーケットに興味を持つようになり、株式や債券の発行市場をカバーする金融専門誌の記者に転職。債券市場の動向や市況について、10年以上にわたって数多くの記事を機関投資家に向けて日経QUICKやブルームバーグ等へ執筆した。その後、株式会社フィスコでアナリストが執筆する企業調査レポートの編集を手掛けるとともに、決算などIR情報の発信業務に携わる。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』のLIMO編集部に所属し、LIMOでも記事を執筆している。
