この記事はここがポイント
- 丸千代山岡家は中間期で売上・各利益が過去最高、既存店売上は52カ月連続で伸長
- 売上の二本柱は北海道と4割占める関東、他地域が21.9%増と成長牽引
- 全店直営・24時間営業、アプリ会員223万人、年2回ラーメン無料券優待が強み
9月末の権利確定が過ぎ、個人投資家のなかには、すでに次の投資テーマを求めて情報収集を始めている方も多いのではないでしょうか。
9月は1月期や2月期決算の企業が中間決算を発表するタイミングであり、「ラーメン山岡家」を展開する丸千代山岡家<3399>もその一つです。
なお、同社の株主優待の権利は1月末と7月末の年2回確定します。
本記事では、同社が9月11日に発表した2027年1月期中間決算を振り返り、同社の稼ぎ頭となっている地域や事業の強みを最新の決算からひも解いていきます。
丸千代山岡家<3399>の中間決算は売上高・各利益とも中間期で過去最高
丸千代山岡家が2026年9月11日に発表した2027年1月期中間決算(2026年2月~7月)の主な数値は以下のとおりです。
- 売上高:228億6,800万円(前年同期比15.4%増)
- 営業利益:24億8,700万円(同27.0%増)
- 経常利益:25億3,800万円(同26.8%増)
- 中間純利益:17億7,800万円(同29.3%増)
売上高・各利益ともに中間期として過去最高を更新しました。なお、中間純利益には特別利益として受取補償金7,093万円が含まれています。
利益の伸びが売上の伸びを上回った点も見逃せません。売上高に占める営業利益の割合(営業利益率)は、前年同期の9.9%から10.9%に上昇しました。
売上原価率は30.4%から31.0%へ上がりましたが、販管費は前年同期比12.2%増と売上高の伸び(15.4%増)を下回り、販管費率が59.8%から58.1%へ下がっています。
既存店売上高は52カ月連続で前年を上回りました。同社が毎月公表している月次の売上高速報(速報値・未監査)によると、中間期(2月~7月)累計の既存店は売上高が前年同期比109.5%、客数が107.6%、客単価が101.8%です。
既存店の伸びの大部分は客単価ではなく客数の増加によるもので、7月単月では客数が111.7%に達しました。
第2四半期(5月~7月)には北海道北広島市に「ラーメン山岡家大曲店」、東京都武蔵村山市に「ラーメン山岡家武蔵村山店」を新規出店し、中間期末の店舗数は200店舗に達しています。
通期(2027年1月期)の業績予想は期初から変更はなく、以下のとおりです。
- 売上高:483億6,100万円(前期比12.5%増)
- 営業利益:51億8,400万円(同10.8%増)
- 経常利益:53億円(同9.4%増)
- 純利益:36億3,000万円(同1.6%減)
通期予想に対する中間期の進捗率は、売上高で47.3%、営業利益で48.0%と半分をわずかに下回ります。
ただ、前期(2026年1月期)の営業利益を見ると、中間期の19億5,800万円が通期実績46億7,900万円の41.8%にとどまり、残りの約6割を下期で稼いでいました。
前期は12月の第3四半期決算発表時に通期予想を上方修正しており、最終的な営業利益はその修正後の予想(44億円)も上回っています。
今期も同社は下期偏重の計画を立てています。3月16日の決算説明資料では、営業利益を上期19億9,500万円、下期31億8,900万円と見込んでいました。
中間期の実績(24億8,700万円)はこの上期計画を約25%上回りましたが、通期予想は据え置かれたため、上期の上振れ分は通期予想に反映されていません。
配当予想は期末1株30円です。
ラーメン一本の山岡家、稼ぎ頭の地域はどこか
丸千代山岡家は、飲食事業のほかに重要なセグメントがないとして、セグメント情報の開示を省略しています。
つまり、業績はほぼ「ラーメン山岡家」を中心としたラーメン事業だけで成り立っている会社です。
そこで稼ぎ頭を探るカギになるのが、決算短信の補足情報に載っている地域別売上高です。
都道府県別で最も売上が大きいのは北海道で、中間期の売上高は44億8,237万円(前年同期比7.7%増)、全体に占める構成比は19.6%でした。
同社の1号店は1988年に茨城県牛久市で開業した店舗(現在の牛久店)ですが、1992年に札幌・すすきのに進出して以降、北海道での出店を重ねてきました。
現在は札幌市に本社を置き、7月には北海道北広島市に道内店舗の従業員を中心に教育・育成する「大曲トレーニングセンター」を開設しています。
もっとも、地域でくくってみると景色は変わります。茨城・栃木・埼玉・千葉・群馬・東京・神奈川の関東1都6県の売上高を合計すると91億4,897万円(前年同期比12.6%増)となり、全体の40.0%を占めます。
都道府県別の2位は千葉県(構成比9.7%)、3位は茨城県(同8.7%)で、1号店を出した関東が売上の4割を稼ぎ、北海道が単独の都道府県として最大という二本柱の構図です。
全店直営・24時間営業を支えるアプリ会員223万人
同社は「全店直営」「店内調理」「24時間営業」を基本とする営業スタイルを掲げています。
フランチャイズに頼らず、すべての店舗を自社で運営しています。セントラルキッチンや濃縮スープは使わず、スープを店舗で手作りで仕込み、チャーシューや長ネギの仕込みも店内で行っている点を、同社は他のラーメンチェーンとの差別化につながる特徴として挙げています。
店舗は郊外のロードサイドが基本です。300坪以上の敷地に大型トラックも利用できる駐車スペースを確保し、年中無休の24時間営業を基本としています。
この営業スタイルのもとで、来店客数の増加に取り組んでいるのが「山岡家公式アプリ」です。
全会員向けの週次クーポンに加え、ポイントランクに応じたクーポンを配信しており、7月末時点の会員数は期初から39万人増えて約223万人となりました。
7月からはアプリのクーポンを二次元バーコード付きで配信し、券売機で発券・利用できるように変更しています。
また、YouTubeなどの動画配信サイトで同社の店舗や商品に関する撮影・投稿が続いており、同社は決算短信の中で、これが認知度の向上や新規顧客・リピーターの獲得に寄与したと説明しています。こうした取り組みの結果として、既存店売上高は52カ月連続で前年を上回りました。
伸び率で見ると北海道・関東以外の地域がけん引
北海道と関東1都6県が売上の柱であることはすでに確認しました。ただ、売上の「伸び」で見ると、別の地域の存在感が大きくなっています。
中間期の地域別売上高を3つに分けると、以下のとおりです。
地域:売上高:前年同期比:構成比
- 北海道:44億8,237万円:7.7%増:19.6%
- 関東1都6県:91億4,897万円:12.6%増:40.0%
- 上記以外の都道府県:90億349万円:21.9%増:39.4%
※決算短信「地域別売上高の状況」をもとに筆者算出。構成比の残り(1.0%)はラーメン事業以外の「その他」
北海道・関東以外の都道府県の売上高は前年同期比21.9%増と、全体の伸び(15.4%増)を大きく上回りました。
構成比でも39.4%と、関東1都6県に迫る規模になっています。
個別に見ると、愛知県は店舗数が前年同期と同じ8店舗のまま、売上高が11億9,488万円(前年同期比26.7%増)に伸びました。
福岡県は店舗数が3店舗から4店舗に増え、売上高は6億8,148万円(同65.0%増)となっています。
香川県では4月3日に四国初の店舗となる「ラーメン山岡家高松中央インター店」を開業し、中間期の売上高は1億5,243万円でした。
福岡県でも4月22日に「ラーメン山岡家福岡月隈店」が開業しています。
同社は「300店舗・47都道府県への店舗展開」を経営ビジョンに掲げています。
中間期末の店舗数は200店舗で、地域別売上高の表に載っている都道府県は32です。
期初の決算説明資料では、今期にラーメン山岡家15店舗の出店を計画し、未出店エリアを含む関西以西で物件調査を強化するとしています。
下期には沖縄県中頭郡北谷町への出店も予定されています。
北海道と関東という二本柱を持ちながら、それ以外の地域での出店・売上拡大が成長の上乗せ分を生んでいる構図が、地域別の数字から読み取れます。
※地域別売上高の表の店舗数には期中の閉店分も含まれており、期末時点の店舗数とは一致しません。
丸千代山岡家<3399>の株主優待、次回の権利確定は2027年1月末
丸千代山岡家の株主優待は、毎年1月末と7月末の年2回が基準日です。
保有株式数に応じて、ラーメン無料券、またはその代替品としてお米・乾麺セットを選べます。
保有株式数:優待内容(いずれか1つ)
- 100株以上200株未満:ラーメン無料券2枚
- 200株以上500株未満:ラーメン無料券3枚/お米2kg/乾麺セット1個のいずれか
- 500株以上1,000株未満:ラーメン無料券5枚/お米4kg/乾麺セット2個のいずれか
- 1,000株以上2,000株未満:ラーメン無料券7枚/お米6kg/乾麺セット3個のいずれか
- 2,000株以上:ラーメン無料券9枚/お米8kg/乾麺セット4個のいずれか
100株以上200株未満の株主は選択肢がラーメン無料券のみのため、申し込みは不要です。200株以上の株主は、郵送される「申込専用はがき」または専用サイトから申し込みます。
無料券1枚で、好きなラーメン1杯(570円~1,490円、大盛・中盛・セットメニューを含む)と引き換えられます。
価格の低いメニューに限定されず、1,490円までのセットメニューや大盛も選べる点が特徴です。
使えるのは「ラーメン山岡家」「味噌ラーメン山岡家」「煮干しラーメン山岡家」の3業態です。
100株を保有し続けた場合、年2回の基準日で合計4杯分の無料券を受け取れる計算になり、山岡家を普段から利用している人にとっては使いやすい優待といえるでしょう。
次回の基準日は2027年1月31日です。権利付き最終日は1月27日、権利落ち日は28日となります。
株主優待の内容は変更される可能性があるため、公式サイトを確認してください。
丸千代山岡家<3399>の10月2日株価終値
丸千代山岡家の10月2日の終値は3,845円で、前日比0円(0.00%)の横ばいでした。
9月8日につけた年初来高値(4,250円)からは9.5%下の水準ですが、5月11日の年初来安値(2,900円)と比べると32.6%高い位置にあります。
中間決算の発表をはさんだ9月は値動きが大きく、9月16日には終値で3,600円まで下げたあと、3,700~3,800円台で推移しています。
10月2日の終値をもとに計算した指標は以下の通りです。
- PER(会社予想):20.86倍
- PBR(実績):6.85倍
- 配当利回り(会社予想):0.78%
丸千代山岡家の年間チャート
記者コメント
丸千代山岡家はラーメン事業だけで業績を積み上げている会社ですが、地域別売上高を見ると、売上の柱である北海道、売上の4割を占める関東、そして伸び率の高いそれ以外の地域と、成長の中身は一様ではありません。
業態が1つである分、決算短信の地域別の数字が、同社の成長の源泉を知るうえで貴重な手がかりになります。
足元では原材料価格やエネルギー価格、求人費・人件費の上昇が続いていると同社も説明しており、中間期は売上原価率が上昇しました。
今回は販管費の増加が売上の伸びを下回ったことで利益率が改善しましたが、これは客数増で売上が大きく伸びたなかでの結果です。
売上の伸びが落ち着いた局面でも同じように利益率を保てるかは、今後の月次の客数とあわせて注目したいポイントです。
第3四半期決算は例年12月中旬に発表されており(2025年は12月12日)、次回の株主優待の権利付き最終日は2027年1月27日です。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
