【住民税非課税世帯】年金だけなら65歳以上「155万円」以下が目安。NHK受信料は非課税だけでは免除されない
Wachiwit/shutterstock.com
執筆者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者
17:51
【住民税非課税世帯】年金だけなら65歳以上「155万円」以下が目安。NHK受信料は非課税だけでは免除されない
Wachiwit/shutterstock.com

この記事はここがポイント

  • 2026年8月1日、介護施設の食費・居住費負担限度額と収入基準額が上昇
  • 介護保険の負担軽減は申請が必須で、申請月の初日から適用開始
  • 住民税非課税世帯の優遇は多様で、年金所得の判定基準に注意

2026年8月1日から、介護保険施設に入所する人の食費と居住費の負担限度額が引き上げられました。

あわせて、軽減の対象になるかどうかを決める収入の基準額も、令和8年8月から80万9000円から82万6500円に見直されます。

この軽減を受けられるのは住民税非課税世帯で、市区町村に「負担限度額認定」を申請した人だけです。住民税非課税世帯の優遇措置は数が多く、自動で適用されるものと申請がいるものが混ざっています。

この記事では、住民税非課税世帯が使える主な優遇措置と、住民税が非課税になる条件を確認したうえで、8月に切り替わった介護保険施設の食費・居住費の負担限度額を見ていきます。

住民税非課税世帯が使える主な優遇措置を確認する

住民税非課税世帯には、臨時の給付金とは別に、負担を軽くする制度が用意されています。

制度ごとに、自動で適用されるものと、自分で申請しないと適用されないものが分かれています。

保険料と医療・介護の負担が下がるもの

国民健康保険料は、法令で定められた所得基準を下回る世帯について、均等割と平等割の額が7割・5割・2割軽減されます。自治体が判定するため、申請はいりません。

介護保険料も、65歳以上の第1号被保険者を対象に下がります。保険料の基準額と所得段階ごとの割合は市町村が定めるため、軽減の幅は住んでいる地域によって違います。

国民年金保険料の免除・納付猶予と、介護保険施設の食費・居住費の軽減は、いずれも申請が必要です。

子育てと教育にかかわるもの

0歳から2歳児クラスの保育料は、住民税非課税世帯を対象として無償化されます。高等教育の修学支援新制度では、授業料等の減免と返還不要の給付型奨学金が受けられます。

NHK受信料は非課税だけでは免除されない

優遇措置として挙げられることの多いNHK受信料の免除ですが、条件は少し複雑です。

日本放送協会受信料免除基準で全額免除の対象になるのは、障害者手帳を持つ人を構成員とする世帯で、その構成員全員が市町村民税非課税の措置を受けている場合です。住民税が非課税というだけでは対象になりません。

半額免除のほうは、視覚障害者または聴覚障害者で世帯主である人などが対象で、所得の要件はありません。非課税世帯向けの制度ではない点に注意してください。

自動で適用されるものと、申請しないと始まらないものが混ざっています

自動で適用されるものと、申請しないと始まらないものが混ざっています
住民税非課税世帯が使える主な優遇措置8つを制度名と内容の要点で並べた一覧表

このほかに、水道料金の基本料金免除やごみ袋の無料配布といった自治体独自の支援もあります。内容は住んでいる地域によって違います。

住民税が非課税になる3つの条件

そもそも、どういう場合に住民税が非課税になるのでしょうか。

ここでは、神戸市が公表している基準で確認します。

住民税は均等割と所得割の2層構造

個人の住民税は、所得の額にかかわらず一定額がかかる「均等割」と、前年の所得に応じてかかる「所得割」でできています。

神戸市の均等割は、市民税3400円・県民税1800円・森林環境税1000円の合計6200円です。所得割の税率は市民税8%・県民税2%の合計10%です。

この均等割と所得割の両方がかからない状態が住民税非課税で、世帯全員がその状態にある世帯が住民税非課税世帯です。

非課税になるのは次の3つのいずれかにあたる場合

神戸市は、均等割も所得割もかからない人を3つに分けて示しています。

  • 生活保護法の規定によって生活扶助を受けている
  • 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下である
  • 前年の合計所得金額が、市区町村の定める算式で求めた額以下である

1つ目と2つ目は全国共通ですが、3つ目の算式は市区町村によって違います。

神戸市の算式でみる収入のボーダーライン

神戸市の算式は「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+10万円+21万円」です。21万円は、同一生計配偶者または扶養親族がいる場合にだけ加算されます。

単身であれば合計所得金額45万円以下、同一生計配偶者または扶養親族が1人いれば101万円以下が基準になります。

これを収入に直すと、単身の場合は給与だけなら110万円以下、年金だけなら65歳以上で155万円以下、65歳未満で105万円以下です。

2026年8月1日に切り替わった介護保険施設の食費・居住費の負担限度額

ここからは、住民税非課税世帯の優遇措置のうち、この8月に額が変わったものを見ていきます。

介護保険施設やショートステイを利用するときの食費と居住費には、所得の低い人を対象にした補助(補足給付)があります。市区町村に負担限度額認定を申請すると、標準的な費用の額(基準費用額)と負担限度額との差額が介護保険から給付される仕組みです。

対象になる利用者負担段階と預貯金の要件

対象は第1段階から第3段階②までの4つに分かれます。

第1段階は生活保護受給者と、世帯全員が市町村民税非課税である老齢福祉年金受給者です。このうち生活保護受給者には預貯金額の要件がなく、老齢福祉年金受給者は単身1000万円以下・夫婦2000万円以下が要件になります。

第2段階から第3段階②までは、いずれも世帯全員が市町村民税非課税であることが前提です。そのうえで、本人の年金収入金額(非課税年金を含む)と合計所得金額の合計で3つに分かれます。

  • 第2段階:82万6500円以下。預貯金額は単身650万円・夫婦1650万円以下
  • 第3段階①:82万6500円超120万円以下。預貯金額は単身550万円・夫婦1550万円以下
  • 第3段階②:120万円超。預貯金額は単身500万円・夫婦1500万円以下

この82万6500円が、令和7年度の年金額改定を踏まえて令和8年8月から見直される基準額です。7月までは80万9000円でした。

なお、ここでいう世帯には、世帯を分離している配偶者も含まれます。世帯分離をしていても、配偶者が課税されていれば対象になりません。

2026年8月から引き上げられた額

負担限度額と基準費用額は日額で決められています。

上がったのは第3段階①と②で、第1段階と第2段階は据え置かれました

上がったのは第3段階①と②で、第1段階と第2段階は据え置かれました
介護保険施設の食費と居住費について基準費用額と第1段階から第3段階2までの負担限度額を日額で並べた一覧表

【食費(基準費用額1545円)】

  • 第1段階:300円
  • 第2段階:390円
  • 第3段階①:680円
  • 第3段階②:1420円

【居住費・特養等の多床室(基準費用額915円)】

  • 第1段階:0円
  • 第2段階:430円
  • 第3段階①:430円
  • 第3段階②:530円

【居住費・老健や医療院の多床室で室料を徴収する場合(基準費用額697円)】

  • 第1段階:0円
  • 第2段階:430円
  • 第3段階①:430円
  • 第3段階②:530円

【居住費・老健や医療院等の多床室で室料を徴収しない場合(基準費用額437円)】

  • 第1段階:0円
  • 第2段階:430円
  • 第3段階①:430円
  • 第3段階②:430円

【居住費・特養等の従来型個室(基準費用額1231円)】

  • 第1段階:380円
  • 第2段階:480円
  • 第3段階①:880円
  • 第3段階②:980円

【居住費・老健や医療院等の従来型個室(基準費用額1728円)】

  • 第1段階:550円
  • 第2段階:550円
  • 第3段階①:1370円
  • 第3段階②:1470円

【居住費・ユニット型個室的多床室(基準費用額1728円)】

  • 第1段階:550円
  • 第2段階:550円
  • 第3段階①:1370円
  • 第3段階②:1470円

【居住費・ユニット型個室(基準費用額2066円)】

  • 第1段階:880円
  • 第2段階:880円
  • 第3段階①:1370円
  • 第3段階②:1470円

7月までと比べると、食費は第3段階①が650円から680円へ、第3段階②が1360円から1420円へ上がりました。食費の基準費用額も100円引き上げられています。

居住費が上がったのは第3段階②だけで、いずれも100円の引き上げです。老健や医療院等の多床室で室料を徴収しない場合は430円のまま据え置かれました。第1段階と第2段階は、食費も居住費も変わっていません。

認定を受けるには申請がいる

この軽減は、要件に当てはまるだけでは適用されません。市区町村に負担限度額認定を申請する必要があります。

認定証の有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までです。福岡市は6月1日から8月31日までを更新の申請期間とし、できる限り7月末までの申請を案内しています。

申請のときは、資産の状況を確かめるため申請者と配偶者の預金通帳等が必要です。福岡市の場合は、金融機関への照会に同意する書類も求められます。

年度の途中で要件に当てはまった場合も申請できます。横浜市は「申請月の初日から有効な認定証を交付します」と案内しており、さかのぼっての適用はありません。

医療の限度額適用認定証と、介護の負担限度額認定は別の手続き

名前が似ているため混同されやすいのですが、医療費の窓口負担を抑える限度額適用認定証と、介護保険施設の食費・居住費を下げる負担限度額認定は、まったく別の制度です。

マイナンバーカードの健康保険証があれば医療の限度額適用認定証は原則いらない

医療費のほうは、2021年10月に始まったオンライン資格確認によって運用が変わりました。

マイナンバーカードの健康保険証を提示すれば、限度額の情報が医療機関に提供され、窓口での支払いが自己負担限度額までで済みます。事前に認定証を取り寄せる必要は、原則ありません。

「認定証がないと窓口でいったん立て替える」というのは、それ以前の運用です。

それでも限度額適用認定証の申請がいる場合

全国健康保険協会は、マイナンバーカードの健康保険証を使う場合でも申請が必要なケースとして3つを挙げています。

  • オンライン資格確認を導入していない医療機関等を受診する場合
  • 協会けんぽにマイナンバーの登録を行っていない場合
  • 低所得者に該当する場合(「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請が必要)

3つ目が住民税非課税世帯にあたります。入院時の食事代の減額を受けるには、この減額認定証がいります。加入している保険者によって扱いが違いますので、国民健康保険や後期高齢者医療制度の人は市区町村の窓口で確かめてください。

2026年8月から始まった高額療養費の年間上限は償還払い

高額療養費制度は2026年8月から、月ごとの上限額に加えて年単位の上限額が設けられました。年間とは8月から翌年7月までを指します。

厚生労働省は、年間の上限額に達した後の医療費について「保険者から還付を受けることができます」と説明しています。

つまり月ごとの上限は窓口で自動的に適用されますが、年間の上限は窓口では止まりません。いったん支払ったうえで、後から保険者に請求して返してもらう形になります。ここは月ごとの上限と扱いが違うところです。

住民税非課税世帯の判定でよく誤解されるところ

自分は対象にならないと思い込んでいる人のなかに、実際は当てはまる人がいます。

遺族年金と障害年金は合計所得金額に入らない

遺族年金や障害年金は非課税所得で、住民税の判定に使う合計所得金額には入りません。

ただし、介護保険の負担限度額認定で見る「年金収入金額」には非課税年金も含まれます。住民税の判定と同じつもりで計算すると、段階を読み違えます。

世帯のなかに1人でも課税されている人がいれば対象外

住民税非課税世帯は、世帯全員が住民税非課税であることが条件です。本人が非課税でも、同じ世帯に課税されている人がいれば世帯としては該当しません。

介護保険の負担限度額認定では、これに加えて世帯を分離している配偶者も判定の対象に入ります。世帯を分けても、配偶者が課税されていれば認定は受けられません。

退職した年はすぐに非課税世帯にならない

住民税は前年の所得で決まります。定年退職して収入が年金だけになっても、その年度の住民税は会社員時代の給与をもとに計算されています。

住民税は前年1月〜12月の所得をもとに計算され、毎年6月から新年度分が課税されます。また、退職後に加入する国民健康保険料も前年所得をベースに算定され、加入月の翌月以降にその年度分の納付が始まります。

8月の切り替えを踏まえて確かめておきたいこと

令和8年8月から、介護保険施設の食費は基準費用額が日額1545円になり、第3段階①は680円、第3段階②は1420円に上がりました。対象を決める収入の基準額も82万6500円に見直されます。

この軽減は、要件に当てはまっていても申請しなければ適用されません。しかも認定はさかのぼらず、申請した月の初日からになります。

住民税非課税世帯の優遇措置には、自動で適用されるものと申請がいるものがあり、所得の基準も制度ごとに違います。施設への入所を考えている場合は、本人と配偶者の通帳を手元に用意したうえで、市区町村の介護保険担当窓口で自分がどの段階にあたるかを確かめておくと安心です。

Google で優先するソースとして追加
中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

関連タグ