この記事はここがポイント
- 三菱商事株価、9月3日5,059円で5,000円台奪還、バークシャーCEOの商社株長期保有発言が背景
- 2027年3月期1Q純利益47.0%増、金属資源事業が増加額約65%を占める集中型決算
- 株価はバークシャー報道が主因、決算と材料の時期ずれに注意、通期予想据え置き
三菱商事<8058>の株価は3日、前日比+199円(+4.09%)の5,059円で取引を終えました。
節目の5,000円を回復するのは5月29日以来、約4カ月ぶり。
背景には、米投資会社バークシャー・ハサウェイのグレッグ・アベルCEOが、同社をはじめ日本の五大商社にそれぞれ10%超を出資し、長期保有する方針を改めて説明したとの報道が伝わったことがあります。
8月3日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の決算も堅調で、
2027年3月期1Q決算、純利益は47.0%増
まず決算の概要を確認します。
- 収益:5兆1,809億9,900万円(前年同期比+22.8%)
- 税引前利益:3,880億900万円(+53.4%)
- 四半期純利益(親会社の所有者に帰属):2,985億2,400万円(+47.0%)
- 1株当たり四半期純利益(EPS):81.53円(前年同期は51.59円)
通期の純利益予想は1兆1,000億円(前期比+37.4%)で、2026年5月1日公表の計画から修正はなく、今回の1Q実績は通期計画に対しておよそ27%の進捗率にあたります。年間配当は1株125円を計画しています(前期実績110円)。
決算をけん引したのは金属資源事業
三菱商事は2026年4月(2027年3月期)から、天然ガス・金属資源など資源分野と、モビリティ・食品・インフラなど非資源分野を合わせた7つの事業グループ体制で運営しています。
なかでも金属資源事業は豪州の原料炭など資源権益への出資比率が大きく、資源市況が上向く局面で業績への感度が最も高い事業です。
今回の1Q決算では、この感度の高さが最も強く表れました。四半期純利益の増加額954億300万円のうち、金属資源事業だけで615億8,800万円、率にして約65%を占めています。同事業の純利益は前年同期の249億9,400万円から865億8,200万円へ246.4%増加し、収益も76.0%増の1兆3,961億9,500万円に拡大しました。
背景には、資源市況の上昇に加え、豪州原料炭事業における売却関連損益、持分法による投資損益の拡大(115億8,400万円→292億1,700万円)が重なったことがあります。
金属資源に次いで増加額が大きかったのはエネルギー&パワーソリューション事業で、純利益は前年同期比82.9%増の719億3,400万円(増加額326億300万円)でした。
こちらは資源市況の上昇を背景に売上総利益が628億4,100万円から1,097億900万円へ拡大したことが主因で、金属資源事業とは異なり持分法投資益はむしろ減少しています(417億7,700万円→368億2,900万円)。金属資源とエネルギー&パワーソリューションの2事業で、純利益増加額のほぼ全て(約99%)をカバーした形です。
バリュエーション評価:株価急伸後の三菱商事株はどんな水準か
9月3日の三菱商事株は前日比+199円(+4.09%)の5,059円で取引を終えました。
始値4,920円から高値5,123円までの値幅で推移し、出来高は1,093万6,200株、売買代金は551億8,629万2,000円でした。前日(9月2日)終値4,860円と比べても大幅な上昇で、8月24日終値4,793円からは1週間強で約5.6%上昇した計算になります。
5月29日の終値5,065円以来、約3カ月ぶりに5,000円の大台を回復した形で、決算発表直後の反応が限定的だったのに対し、直近の値動きの方が大きく株価を動かしている構図です。
主要指標は次の通りです。
- PER(会社予想):16.84倍
- PBR(実績):1.92倍
- 配当利回り(会社予想):2.47%
- 時価総額:18兆7,715億6,500万円
- 年初来高値:6,012円(5月15日)
- 年初来安値:3,610円(1月5日)
5,059円は年初来高値6,012円からは約15.9%低い水準にある一方、年初来安値3,610円からは約40.1%高い水準にあり、年初来のレンジで見ると中間よりも上寄りの位置にあります。
三菱商事の年間チャート
記者コメント
2027年3月期1Qの三菱商事は、純利益の増加額の約65%を金属資源事業1つが占めるという、かなり集中度の高い決算でした。エネルギー&パワーソリューションを合わせた2事業で増加額のほぼ全てをカバーしており、資源市況次第で業績が振れやすいという同社の構造的な特徴を改めて示した形です。
一方で、9月に入ってからの株価上昇は決算そのものよりも、バークシャー・ハサウェイの長期保有方針に関する報道が主な材料となっています。決算内容と株価材料が時期的に分かれている点は整理して見ておきたいところです。通期予想は据え置かれており、今回の1Qのペースがそのまま続くとは限らない点にも注意が必要です。
なお、バークシャー・ハサウェイ関連の材料をきっかけに商社株全体が買われる場面はこれまでも繰り返されており、その都度上昇した株価がその後も高値圏を維持し続けるとは限らない、という値動きも見られてきました。
今回の商社株の上昇についても、一過性の反応にとどまるのか、それとも上昇基調が定着するのかは、今後の値動きを見極める必要があります。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
