この記事はここがポイント
- 古河電工の1Q経常利益は2001年度以降最高の309億5,300万円を記録
- 連結営業利益の約65%は光ソリューションと情報コンポーネント事業が創出、生成AI需要が要因
- 通期業績予想は売上高1兆5,300億円、営業利益1,230億円などの増収増益見込み
古河電気工業<5801>の株価は28日、前日比▲186円(▲4.55%)安の3,903円で取引を終えました。
AI・半導体関連株全体で銘柄選別・調整の売りが広がるなか、データセンター関連製品を手がける同社株も荒い値動きが続いています。
もっとも、6日に発表した2027年3月期第1四半期決算は増収増益で、経常利益は同四半期として2001年度以降で最高を記録しました。
最新決算からひも解く古河電工の強み
同社が6日に発表した1Q決算(2026年4-6月)は、売上高が前年同期比+24.3%の3,652億2,100万円、営業利益は+205.4%の254億5,700万円、経常利益は+304.0%の309億5,300万円、純利益は+335.0%の222億2,900万円という大幅な増収増益でした。
6つのセグメントのうち、営業利益の増加が際立ったのは光ソリューション事業と情報コンポーネント事業です。光ソリューション事業は売上高(セグメント計、以下同)が前年同期比+45.6%の600億2,100万円、利益は前年同期の7億2,800万円の赤字から一転して91億5,900万円の黒字に転換しました。
情報コンポーネント事業も売上高が+32.8%の596億1,500万円、利益は+105.2%の73億9,600万円と2倍超に伸びています。この2事業の利益を合わせると165億5,500万円で、連結営業利益254億5,700万円の約65%をこの2事業だけで稼いでいる計算になります。
近年のデータセンター投資の拡大を踏まえると、生成AIの普及に伴う需要拡大が背景にあるとみられます。
なお、セグメント別の売上高で規模が最も大きいのは自動車ワイヤーハーネスなどを手がけるメタルソリューション事業(1,216億6,700万円、+55.0%)ですが、営業利益はほぼ横ばいの7億7,000万円(▲2.1%)にとどまっています。
セグメントごとの強弱を整理
売上高と利益について、セグメントごとにみていきましょう。
セグメント:売上高・計(前年同期比)/営業利益(前年同期比)
- 光ソリューション:600億2,100万円(+45.6%)/91億5,900万円(前年▲7億2,800万円、黒字転換)
- 情報コンポーネント:596億1,500万円(+32.8%)/73億9,600万円(+105.2%)
- エネルギーインフラ:359億8,300万円(+9.7%)/30億300万円(+220.7%)
- 自動車電装システム:919億9,300万円(+10.9%)/63億8,000万円(+20.9%)
- メタルソリューション:1,216億6,700万円(+55.0%)/7億7,000万円(▲2.1%)
- サービス・開発等:112億8,500万円(▲60.0%)/▲11億2,900万円(前年▲14億3,400万円、赤字幅縮小)
- 連結計:3,652億2,100万円(+24.3%)/254億5,700万円(+205.4%)
エネルギーインフラ事業は国内地中線・機能線の堅調な売上に加え中国子会社の連結除外の影響もあり営業利益は+220.7%、自動車電装システム事業も堅調な需要の継続で+20.9%と、いずれも増収増益でした。
通期業績予想(2026年8月6日修正後)は、売上高1兆5,300億円(前期比+17.0%)、営業利益1,230億円(+92.6%)、経常利益1,430億円(+88.5%)、純利益1,050億円(+44.8%)です。
1Qの進捗率は売上高23.9%、営業利益20.7%、経常利益21.6%、純利益21.2%と、単純な四半期ペース(25%)にはやや届かないものの、幅広い項目で堅調な滑り出しとなっています。
会社予想とアナリストコンセンサスの乖離
決算短信で示された通期の会社予想は、売上高1,530億円(前期比+17.0%)、営業利益1,230億円(+92.6%)、経常利益1,430億円(+88.5%)、当期利益1,050億円(+44.8%)です。これに対し、アイフィスジャパンが集計した28日時点のアナリストコンセンサスは、売上高1,497億3,250万円(+14.5%)、営業利益1,161億6,300万円(+81.9%)、経常利益1,338億円(+76.4%)、当期利益1,040億3,800万円(+43.5%)で、いずれの項目でも会社予想をやや下回っています。
特に経常利益では会社予想とコンセンサスの差が92億円に達しており、アイフィスジャパンの集計上も「アナリスト予想 対会社予想:弱気」と分類されています。
もっとも、コンセンサスの経常利益予想は6日の決算発表以降、20日時点で対前週+5.9%、25日時点で+9.6%と段階的に上方修正されており、市場の見方が上向いている過程にあることもうかがえます。
それでもなお会社予想には届いておらず、1Qの進捗率が経常利益で21.6%と単純な四半期ペース(25%)をやや下回っている点も踏まえると、通期での上振れ・下振れは今後の決算で見極める必要がありそうです。
バリュエーション評価
28日終値3,903円をもとにすると、PER(会社予想)は26.15倍、PBR(実績)は6.28倍、配当利回り(会社予想)は0.56%です。
同社は7月1日付で普通株式1株を10株に分割しており、年初来高値6,241円(5月27日)・安値965円(1月9日)はいずれも分割後の株数に換算した値です。
5月の年初来高値からは37.5%低い水準にあり、AI・半導体関連株としての期待の高さがうかがえる一方、直近は利益確定売りに押されやすい面もあります。
古河電工の年間チャート
記者コメント
経常利益が四半期として過去最高となった裏で、売上高最大のメタルソリューション事業の増収は銅価上昇によるところが大きく、実際に稼いでいるのはデータセンター関連の2事業だったという点は見落とされがちです。
AI関連株全体の値動きに振らされやすいだけに、この2事業の勢いが次回以降の決算でも続くかを注視したいところです。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
