丸紅、売上6%の電力・インフラが利益では4番目の柱。株価は3割上げてから2割近く戻した1年の構図
Bigc Studio_shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
20:20
丸紅、売上6%の電力・インフラが利益では4番目の柱。株価は3割上げてから2割近く戻した1年の構図
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この記事はここがポイント

  • 丸紅の電力・インフラは収益6%ながら、2026年3月期利益536億円で利益柱。
  • 2026年3月期、営業利益▲5.7%の2,566億円も当期利益は過去最高5,438億円。
  • 丸紅株価は3割超上昇後2割近く下落、2026年3月期ROE13.6%は5期連続低下傾向。

総合商社と聞いて思い浮かぶのは、世界中でモノを右から左へ動かす商いだろう。私も長いあいだ、丸紅<8002>をそういう会社として眺めてきた。だが同社の決算をセグメントごとに並べ直すと、その像は半分しか当たっていない。売上では6番目にすぎない事業が、利益では4番目に座っている。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

売上では6番目、利益では4番目に座る事業

2026年3月期の丸紅を、まず収益で並べてみる。最大は食料・アグリの3兆7,205億円で、これだけで全体の45%を占める。次いでエネルギー・化学品1兆3,658億円、金属9,189億円と続く。

電力・インフラサービスの収益は4,853億円。全体に対する比率は5.9%で、報告されている10区分のうち6番目にとどまる。この並びだけを見れば、確かに脇役だ。

ところが同じ10区分をセグメント利益で並べ直すと、順番が変わる。首位は金融・リース・不動産の1,620億円、次いで金属1,342億円、食料・アグリ814億円と来て、4番目に電力・インフラサービスの536億円が入る。

収益で全体の45%を占める食料・アグリの利益が814億円。収益で6%に満たない電力・インフラサービスが536億円。この二つを並べると、売上規模で会社を語ることの危うさが見えてくる。

食料・アグリが収益の45%を握りながら利益では3番目にとどまる、という言い方もできる。総合商社の事業ポートフォリオは、収益の列と利益の列で顔がまるで違う。どちらを正面に置くかで、その会社の印象は入れ替わってしまう。

取引の幅ではなく、持っている資産が稼いでいる

なぜこうなるのか。手がかりは利益率にある。

電力・インフラサービスの売上総利益は770億円で、収益に対する比率は15.9%。丸紅全体の売上総利益率14.3%を上回る。収益の柱である食料・アグリは12.6%だから、率で見れば電力のほうが厚い。

さらに目を引くのは、売上総利益から先の落ち方の小ささだ。電力・インフラサービスは売上総利益770億円に対してセグメント利益536億円。7割近くが残っている。

商品を仕入れて売る商いであれば、ここまで残らないのが普通だろう。販売費や人件費が段階的に削っていくからだ。残り方がこれだけ大きいということは、この事業の利益が取引の積み上げ以外の源、たとえば持分法で取り込む投資先の利益や配当に相応に支えられている可能性が高い。

対照的なのが航空・モビリティである。収益6,912億円に対し売上総利益1,589億円で、売上総利益率は23.0%と社内で高い部類に入る。だがセグメント利益は478億円で、売上総利益の3割ほどまで落ちる。同じ高マージンでも、費用の構え方はまるで違う。

同じ構図をさらに極端にしたのが金融・リース・不動産だ。収益245億円に対しセグメント利益1,620億円という並びになっている。収益と利益がまったく比例しない事業が、丸紅の中には確かに存在する。

発電事業は、設備を保有して長期にわたり電力を売る商売である。日々の取引で利ざやを積み上げる商いとは、収益の出方がそもそも違う。売上高という物差しがこの事業を小さく見せてしまうのは、物差しのほうが合っていないためだ。

資産を持って稼ぐ会社であれば、その重さは貸借対照表に表れる。丸紅の総資産は2026年3月期末で10兆5,317億円と、前期末の9兆2,019億円から1兆3,000億円ほど増えた。株主資本も3兆6,292億円から4兆3,637億円へ積み上がっている。

収益の伸びが+6.1%にとどまるなかで、資産は14%増えている。この会社がいま伸ばしているのは取引の回転数ではなく、抱えている資産のほうだ。

裏づけになる動きもある。電力・インフラサービスの収益は前期比▲6.6%と減った。それでも利益の並びでは4番目の位置を保っている。売上の増減と利益の位置づけが連動しない。取引量で説明できる事業の姿ではないだろう。

総合商社はトレーディングの会社だというイメージが先に立つ。だがセグメント開示を利益の順に並べ替えると、丸紅の稼ぎの少なくない部分は、モノを動かすことではなく資産を保有することから生まれていると読める。

出所:丸紅株式会社 有価証券報告書をもとに筆者作成
収益6%の電力が、利益では4番目に来る
Google で優先するソースとして追加
石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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