今年度の物価変動を反映した「新しい改定年金額」が6月15日に初めて口座へ振り込まれ、7月に入ってからその新しい手取り額をベースにした家計のやりくりが本格的にスタートしています。お盆の帰省などで親族や同世代と顔を合わせた際、直接は聞きづらいものの「みんな、実際のところ毎月いくら年金をもらっているのだろう」と内心気になった経験は誰にでもあるはずです。
私が社会保障の専門紙記者として、何百ページにも及ぶ厚生労働省の年金事業年報を分析していた際、見出しになる平均額の裏側には、常に「男女の働き方の歴史」と「個人差」が広がっていることを実感していました。
誰かの年金額と比較して一喜一憂しても、口座の残高は増えません。公的な統計は、あくまで社会全体の現在地を知るための地図です。
ここでは、60歳から90歳以上の年齢別・男女別の平均受給額一覧や1万円ごとの分布状況を整理し、高齢者世帯のリアルな所得構成、そして将来の基礎年金を効率的に増やす「付加年金」の仕組みについて客観的に紐解きます。
日本の公的年金制度、その基本的な仕組みとは
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ、いわゆる2階建て構造です。下の図をイメージするとわかりやすいでしょう。
厚生年金と国民年金の仕組み
下にある国民年金には、原則として「国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人」が加入します。ちなみに、国民年金保険料(※1)は全員一律です。
上乗せとなる厚生年金には、企業や官公庁などで働く人たちが加入しますす。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めるため、個人差があるのが特徴です。
では、将来もらえる「年金額」はどのように決まるのでしょうか。
まず国民年金の場合、国民年金保険料を全期間(480月)納めれば、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。逆に未納期間等があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金の場合、「年金加入月数」と「納めた保険料」に応じた老齢厚生年金額が決まります。一般的には長く働いた人、たくさん稼いだ人が多くの年金をもらえることになります。
※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2026年度は月額7万608円
元厚労省担当の専門紙の新聞記者。公的社会保障(年金・医療・介護)やNISA・iDeCoを横断分析。難解な一次データを生活者視点に翻訳し、知っておきたい家計防衛の知見と、安全で実用的な情報を提供。
