最新の株価水準をチェック
三井住友フィナンシャルグループの株価は7月27日に上場来高値7,260円をつけたあと、金利上昇観測が続くなかで、本業の利ざや拡大による増益期待よりも、保有債券の評価損拡大や景気減速・貸し倒れリスクへの警戒が上回っているとみられ、調整局面に入りました。8月18日の6,900円から20日には6,546円まで下落する場面もありましたが、26日は前日比+99円(+1.49%)の6,732円まで切り返しています。
この6,732円を基準にすると、PER(会社予想・連結)は15.08倍、PBR(実績・連結)は1.59倍、配当利回り(会社予想)は2.67%です。通期の配当予想は分割前ベースで年180円(中間90円・期末90円)で、前期実績の157円から23円の増配にあたります。10月1日付の株式分割後は、保有株式数が2倍になる分、1株当たりの配当は年90円(中間45円・期末45円)相当に切り替わる見込みです。
上場来高値からは約7%下回る水準にあるものの、初回の権利付き最終日となる9月28日までは残り1カ月ほどで、優待・増配・株式分割という3つの株主還元策の効果を見極めたい投資家の売買が交錯しやすい局面といえそうです。
記者コメント
優待制度をめぐっては、海外投資家を含めた株主間の公平性を理由に、オリックス<8591>やJT<2914>のように優待を廃止し配当への一本化を進めた大型企業が相次いだ時期もありました。
もっとも直近では、東京海上ホールディングス<8766>が1株を15株にする大幅な株式分割とあわせて上場来初の株主優待を導入し、100株以上かつ3年以上の継続保有を条件に電子マネー等(初回7,500円相当、4年目以降は毎年2,500円相当)を贈呈すると発表したほか、花王<4452>も5日、通期業績予想の上方修正・37期連続の増配とあわせて自社の化粧品・家庭品セットを贈呈する株主優待を新設すると発表するなど、大型企業が優待導入に舵を切る動きも目立ち始めています。
いずれも長期保有を条件に据えることで短期のクロス取引狙いの株主を除外し、自社サービスや製品への理解を深めてもらう設計になっており、三井住友FGがOliveアカウントの契約を条件にした今回の優待とも共通する発想です。単なる株主還元コストというより、既存事業の顧客基盤拡大につなげる施策として位置づけられているとみられます。
一方で注意しておきたいのは、株式分割自体は1株当たりの株価を下げて投資単位を小さくする効果があるだけで、連結業務純益や純資産といった会社の実質的な価値そのものを増やすものではないという点です。
国内の個人投資家の間では「分割で買いやすくなった株に新規資金が流入し、株価が上昇する」というイメージが持たれがちですが、実際には分割の発表後や効力発生後に、材料出尽くしによる利益確定売りから株価が下落する銘柄も少なくありません。
また、9月30日時点で保有株数が100株(または1,000株)に届いていない株主は、分割後に株数が2倍になっても初回優待の対象外となる点にも注意が必要です。株式分割の効力発生は10月1日付のため、基準日の9月30日前後や分割後の値動きが実際にどうなるかは、決算内容や相場全体の動向とあわせて確認していく必要があるでしょう。
初回の優待基準日である2026年9月30日、そして権利付き最終日となる9月28日に向けて、株価・優待エントリーの両面から同社の動向を見ていきたいところです。
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
