執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
11:21

そもそも「財務上の特約(コベナンツ)」とは?

今回の社債には3つの財務上の特約が付されています。

  • 担保提供制限条項:発行企業が他の社債のために担保を新たに設定する場合、本社債にも同等の担保権を設定することを約束する特約
  • 担付切換条項:発行企業が社債管理者と協議のうえ、いつでも本社債を担保付社債に切り換えることができるようにする特約
  • 純資産額維持条項:発行企業の純資産の部の金額を一定水準以上に維持することを約束する特約です。いわば社債権者にとっての「最低限のセーフティネット」の目安であり、これを下回る事態が続けば期限の利益(分割で返済を続けられる権利)を喪失する条項につながる仕組み

過去の発行分を確認すると、この「担付切換条項」「純資産額維持条項」の2つは、購入単位100万円で「主に個人投資家」を対象とした回にはこれまでも付されている一方、購入単位1億円で「機関投資家」を対象とした回には付されず「担保提供制限条項」のみとなっています。

2025年4月18日に同日発行された第65回(100万円・個人向け、3特約すべて)と第66回(1億円・機関投資家向け、担保提供制限条項のみ)を比べると分かりやすく、今回の第70回債(100万円・主に個人投資家向け)もこのパターンに沿った内容といえます。個人投資家向けのトランシェにより厚い保護が用意されている、と捉えられます。

リスク・注意点をチェック

  • 信用リスク:発行企業の経営状況が悪化すれば、利払いや償還が予定通り行われなくなる可能性があります。格付けはあくまで現時点の評価であり、将来にわたって変わらないことを保証するものではありません
  • 価格変動リスク:償還期日(2033年9月16日)まで保有し続ければ額面での償還が予定されていますが、途中で売却する場合は市場の金利動向や発行企業の信用状況によって価格が変動し、購入価格を下回る可能性があります
  • 流動性リスク:社債は株式などと比べて市場での売買が活発でないため、売却したいタイミングで希望する価格・数量で売れない可能性がある点も押さえておきたいポイントです
  • 無担保であることの弁済順位:担保付の債務がある場合、それらへの弁済が優先される可能性がある点は、無担保社債である以上避けられないリスクです(ただし前述のとおり、劣後債のようにさらに順位が下がるわけではありません)
  • 投資単位・期間の長さ:各社債の金額は100万円単位で、償還期限も7年にわたります。募集対象は「主に個人投資家」とされていますが、まとまった資金を長期間動かせない前提となるため、資金計画とのバランスを踏まえて検討することが大切です

記者コメント

今回は発行総額1兆円と個人投資家向けの大型の起債です。

劣後債ではなく、普通社債(シニア債)のため、リスクはより低い金融商品となります。

このため、仮条件の年4.30%〜4.90%というレンジは、前回6月の劣後債(35NC5)の5.12%を下回る設定になっています。

参考

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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