執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
17:20

5期の伸びと、業種内での立ち位置

視野を広げて過去5期を眺めると、成長の傾きが見えてくる。売上収益は2022年3月期の1兆9,021億円から2026年3月期の2兆5,048億円へ、営業利益は同じ期間に1,667億円から2,724億円へ増えた。特に直近2期の伸びが際立つ。

収益性を業種と比べると、2026年3月期の営業利益率はおよそ10.9%で、電気機器の業種中央値6.7%を上回る。ROE9.8%も業種中央値7.4%を上回った。一方で自己資本比率は49.5%と、業種中央値の62.2%を下回っている。電気機器のなかでは、自己資本の厚みに頼るより負債も使って事業を回すタイプと言える。無借金経営が持てはやされがちだが、負債をどう活用するかという観点では、この構成が一概に見劣りするわけではない。

昨秋以降の株価。1,900円台から一時4,100円台への振れ

出所:各種資料をもとに筆者作成1/1

株価の動きは荒い。2026年3月末はおよそ1,900円台と、昨秋以降では低い水準にあった。そこから急速に水準を切り上げ、5月末には4,100円台まで駆け上がる場面があった。その後は反落し、7月末は3,000円前後、2026年8月時点でも3,000円台での推移となっている。

数か月で水準がほぼ倍まで動いたことになる。ボラティリティ(株価の値動きの激しさ)の大きさが目立つ。会社は2027年3月期通期に営業利益2,950億円(+8.3%)、当期利益2,250億円(+15.0%)を見込んでおり、1Q時点の進捗は順調に映る。ただし株価の急変動は業績だけで説明できるものではなく、AI関連への物色や需給、為替の思惑も重なったとみられる。実力と株価の温度差は意識しておきたい。

筆者コメント

エナジー応用製品の構成比と、直近の株価の荒い値動きを並べて見ると、この銘柄の性格が見えてくる。収益の柱は二次電池へと移り、そこにAIデータセンター向けのHDD部品や産業機器向けが加わる。スマホ需要が振るわない局面でも全体を押し上げられたのは、この分散が効いたためだろう。

気をつけたいのは、四半期の高い伸びをそのまま通期へ延長して考えないことだ。1Qは円安の追い風が大きく、前提が変われば景色も変わる。会社は通期見通しで今後の為替を1Qの実勢より円高側に想定しており、実勢との差が今後の修正余地になる。

株価が数か月で倍近く動く一方、事業の伸びはより緩やかだ。派手な値動きに気を取られず、どのセグメントが稼ぎ、その持続性はどうかというセグメントの分解に着眼して見ていくのが有効だ。イメージではなく構成比で会社を捉える。その姿勢を持ちたい局面だ。

参考資料

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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