この記事はここがポイント
- JX金属(5016)の2027年3月期第1四半期は増収増益、営業利益は前年同期比2.8倍の814億円に
- 同日発表の通期業績予想の上方修正は、売上高・営業利益・税引前利益・純利益の4項目すべてが対象
- 押し上げ要因はAIサーバ関連需要の拡大に加え、円安・銅価上昇、資源関連事業の株式譲渡益
JX金属(5016)は2026年8月6日、大引け後に2027年3月期第1四半期決算と通期業績予想の上方修正を発表しました。
1Q決算:増収増益、営業利益は約2.8倍
売上高2,606億円(+36.2%)、営業利益814億円(+175.5%)、最終利益(親会社の所有者に帰属する四半期利益)531億円(+181.3%)となりました。
旺盛なAIサーバ向けの需要を背景に円安(期中平均1ドル159円、前年同期比14円安)と銅価上昇(LME期中平均1ポンド604セント、前年同期比+172セント、5月13日に史上最高値639セントを記録)に加え、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔など主力製品の増販が押し上げ要因です。
セグメント別の中身は?
半導体材料
- 売上高:521億円(+34.2%)
- 営業利益:144億円(+59億円)
- 主な要因:AIサーバ向け先端ロジック半導体・メモリ需要増
情報通信材料
- 売上高:931億円(+19.1%)
- 営業利益:131億円(+54億円)
- 主な要因:圧延銅箔・チタン銅の増販
基礎材料
- 売上高:1,237億円(+65.1%)
- 営業利益:568億円(+422億円)
- 主な要因:銅価上昇に加え、資源関連会社株式の一部譲渡益
基礎材料の大幅増益には、2026年4月実施の「SCM Minera Lumina Copper Chile」株式一部譲渡に伴う譲渡益が含まれる一方、資源事業では鉱山の減産という減益要因もありました。
通期予想はすべてを上方修正
前回予想(5月11日)からの上方修正は以下の通りです。
売上高
9,300億円→1兆250億円(+10.2%)
営業利益
1,900億円→2,320億円(+22.1%)
税引前利益
1,780億円→2,210億円(+24.2%)
最終利益
1,140億円→1,410億円(+23.7%)
修正理由は、資源事業で天候不良による鉱山減産を見込む一方、AIサーバ関連需要の拡大による増販・単価改善に加え、前回予想比での円安・銅価格上昇を織り込んだためとしています。
第1四半期の進捗率は営業利益で約35%です。
記者コメント
今回の決算は「増収増益+通期業績の上方修正」と一見すると非常に好調な内容ですが、利益の「質」については冷徹な見極めが必要です。
- 事業別の評価(構造的成長 vs 一過性要因): AI関連需要の急拡大を背景とした「半導体材料・情報通信材料」の増販は、中長期的な成長ストーリーを裏付ける構造的な追い風と言えます。一方で、「基礎材料」の利益押し上げには株式譲渡益という一過性の要因が含まれており、本業におけるベースの稼ぐ力(巡航利益)とは明確に区別して評価する必要があります。
- 株価動向: 発表後の夜間取引(PTS)では売りが先行していますが、背景には、決算への反応だけでなく直近の過熱感に伴う需給要因も影響している可能性がありそうです。同社株は決算直前まで5連騰と急上昇を演じており、6日の大引け(前日比▲4.78%の4,142円)で反落したものの、短期的な高値警戒感は解消されていません。そのため、好決算の発表自体が「材料出尽くし(Sell the fact)」と受け止められ、手仕舞い売りや利益確定売りが出やすい環境であるとも考えられます。
構造的な強みである本業(AI需要)の評価と、短期的な過熱感による利益確定圧力がどのように交錯するか、翌7日のザラ場における株価形成が注目されます。
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
