執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
17:20

コロナ回復の到達点と、レンジ圏の株価

出所:各種資料をもとに筆者作成1/1

少し長い目で見ると、JALの立ち位置が見えてくる。営業利益は、2022年3月期にコロナ禍で2,300億円超の赤字に沈んだあと、2026年3月期には2,000億円を超える水準まで回復した。自己資本利益率(ROE、株主資本に対する利益率)も直近通期で12.2%と、赤字だった数年前とは様変わりである。

財務の厚みも意外に映るかもしれない。自己資本比率は4割前後にあり、空運業の業種中央値である3割弱を上回る。機材投資で負債が重くなりやすい装置産業でありながら、コロナ後に資本を積み増して財務を立て直してきた姿がうかがえる。

こうした業績とは対照的に、株価は方向感に乏しい。2025年9月末以降でみると、2026年2月末に3,200円台まで上げる場面があった一方、春先には2,400円台まで下押しした。2026年8月時点では2,900円台と、おおむね2,400〜3,200円のレンジの中を行き来している。好業績からの一服と、燃油高への警戒が、株価をこのレンジに押しとどめているように見える。

筆者コメント

JALの決算を眺めていて意識したいのは、利益の「振られやすさ」だ。今回の大幅減益は、需要が細ったからではなく、燃油という外部変数がコストを押し上げたことが主因だった。航空事業は、自力ではコントロールしにくい燃油と為替に、利益を左右されやすい宿命を抱えている。

だからこそ、マイル・金融という非航空の柱が持つ意味は大きい。航空本体が赤字に沈んでも全体の黒字を守れたのは、この安定収益があったからだ。会社が進める事業構造の変革は、単なる多角化ではなく、利益の振れをならすための備えと受け止められる。

決算を追うときは、燃油や為替に揺れる航空本体の数字だけでなく、非航空事業がどれだけ土台を厚くしているかにも目を向けたい。単年度の増減率の裏で、収益の柱がどう組み替わっているかを見る視点が、この銘柄では有効だと考える。

参考資料

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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