半導体株の急落で改めて考えたい「債券投資」。金利上昇は住宅ローンの負担増にも負けない“もう一つの顔”を持っている
Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com
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半導体株の急落で改めて考えたい「債券投資」。金利上昇は住宅ローンの負担増にも負けない“もう一つの顔”を持っている

住宅ローン利用者には向かい風、これから資金を運用する人には追い風。個人向け国債・地方債の最新利率と、元本割れリスクの正しい見分け方

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
07:00
半導体株の急落で改めて考えたい「債券投資」。金利上昇は住宅ローンの負担増にも負けない“もう一つの顔”を持っている
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この記事はここがポイント

  • 半導体株調整と金利上昇が重なる2026年7月は、債券投資を再検討するチャンスにも
  • 新発10年物国債利回り一時2.9%、個人向け国債は1.8%・、地方債は3%超えも
  • 新NISA対象外で、個人向け国債以外は中途換金で元本割れリスクがあります

2026年7月に入り、日本株市場は荒い値動きが続いています。

7月17日の東京市場では、半導体関連株を中心に大きく続落しました。

たとえば相場(マーケット)を牽引してきたキオクシアホールディングス(285A)は、後場に入るとストップ安水準まで急落。

その後は買い気配が乏しいままストップ安に張り付き、大引けでは大量の売り注文を残したまま「比例配分(ストップ安比例配分)」となって取引を終えました。

これまで市場をリードしてきたセクターの調整色が強まり、値動きの荒さに気持ちが揺さぶられている個人投資家も多いのではないでしょうか。

こうした局面こそ、資産やリスクの分散という観点から、株式以外の投資先を見直す好機といえます。

株式と反対の値動きをする傾向がある「債券」に、改めて注目してみましょう。

金利上昇は「悪いニュース」だけではない

もうひとつ、いま債券に注目したい理由があります。それは金利の動向です。

高市内閣が掲げる積極財政方針をめぐっては、財政悪化への懸念から国債が売られる(=金利が上がる)展開が続いており、日銀の利上げもあいまって、長期金利には上昇圧力がかかっています。

実際、新発10年物国債の利回りは2026年7月9日に一時2.9%まで上昇し、約30年ぶりの高水準を記録しました。

「金利上昇」と聞くと、住宅ローンの返済負担が増えるといった悪影響ばかりが話題になりがちです。

しかし金利が上がるということは、裏を返せば、これから資金を預けたり運用したりする側にとっては「より有利な条件でお金を働かせられる」局面でもあります。

個人向け国債や地方債の利率も、金利上昇を映して着実に切り上がっています。

住宅ローン利用者にとっては向かい風でも、これから債券を購入する個人投資家にとっては、一昔前には考えられなかったような利回りを確保できるチャンスが広がっているのです。

ただし、金利の上昇局面では、機関投資家はむしろ慎重になりやすいという側面もあります。

すでに保有している債券は、市場金利が上がるほど時価(評価額)が下落するため、彼らの決算上の評価損として表面化してしまうためです。

時価評価を厳格に行う機関投資家にとって、金利上昇局面での新規の債券購入には慎重さが求められます。

一方、個人投資家の場合は事情が異なります。満期まで保有し、途中で売却しさえしなければ、市場価格がどう変動しようと評価損は実現しません。

満期を迎えれば額面金額がそのまま戻ってくるためです。

機関投資家が身構えるような金利上昇局面こそ、「満期まで持ち切る」という個人投資家ならではの強みを生かして、高い利回りをそのまま味方につけられる場面だといえます。

半導体株の調整による「質への逃避(リスクの高い資産から、より安全性の高い資産へ資金を移す動き)」と、金利上昇による「利回り妙味の高まり」。

この2つが重なるいまは、債券投資を検討するにはうってつけのタイミングといえるでしょう。

個人が買える主な債券は3種類

個人投資家が円貨建てで購入しやすい新規発行の債券(新発債)は、主に次の3種類です。

いずれも発行体(国・自治体・企業)の信用力に応じて利率が決まり、信用力が高いほど利率は低く、低いほど利率は高くプライシングされます。

また満期までの年限が長くなるほど利率も高くなる傾向があります。

  • 個人向け国債:国が発行し、元利金の支払いを国が責任を持って行う、国内で最も安全性の高い資産
  • 地方債(住民参加型):都道府県や市町村が発行。安全性は国債に次いで高いとされ、利率は国債と社債の中間水準
  • 社債(事業債):一般の事業会社が発行。発行体の信用力によって利率の水準に幅がある

2026年7月時点の利率の目安

2026年7月に条件が決定した主な銘柄の利率は以下の通りです(いずれも税引前)。

個人向け国債(変動10年・初回適用利率)

1.80%

共同発行市場公募地方債(10年)※

3.027%

千葉県債(10年)※

2.982%

札幌市債(10年)※

2.972%

愛知県債(10年)※

3.067%

※地方債は個人向けに販売のあった銘柄の一部を抜粋しています(現在はすべて完売)

個人向け国債・地方債の一覧

個人向け国債・地方債の一覧
出所:各資料より筆者作成

個人向け国債(変動10年)は半年ごとに適用利率が見直される変動型で、2026年7月募集分は初回利率が1.80%に決定しました。

一方、地方債の利率は「国債の金利+上乗せ金利(スプレッド)」で決まる仕組みで、7月は上乗せ幅が6月までの+0.18%から+0.20%へと拡大したこともあり、10年物の標準的な銘柄は軒並み3%前後の水準まで上昇しました。

国債よりワンランク利回りが高い分、地方債は国債に比べてわずかに信用力が劣るという構造的な違いがあることは押さえておきたいポイントです。

7月債はすでに完売していますが、地方債も毎月供給があるため、次回は8月の新発債を待ちましょう。

社債の一例

直近の普通社債では、7月17日に個人向けのクレディセゾン5年債( A+(R&I) / AA-(JCR))がローンチしています。

クレディセゾン債(5年)

2.448%

社債については、格付会社(R&Iや日本格付研究所など)が発行体の信用力をAAA(トリプルA)からD(デフォルト)までのランクで格付けしており、投資適格の目安はBBB(トリプルB)以上とされています。

なるべくリスクを抑えたい場合は、シングルA以上の格付を得ている銘柄を検討するとよいでしょう。

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