この記事はここがポイント
- 2024年からの現行NISAでは、毎月分配型投資信託はつみたて投資枠・成長投資枠のいずれも対象外。
- 分配金は運用益の普通分配金と元本払戻金(タコ足配当)の2種類。
- 毎月分配型は複利効果が薄れ、長期の資産形成には不向きな側面。
「今日はこの分配金で、友達とランチに行くんです」
銀行員時代、毎月分配型ファンドを保有するお客様からよくこんなお話を聞かせていただきました。
毎月決まった日にお金が入ってくる安心感、そして「生活が少しだけ豊かになる」実感。
毎月分配型が根強く人気な理由は、こうした感覚にあるのではないでしょうか。
一方で、「NISAでも毎月分配型は買えるの?」「分配金って何から出ているの?」という疑問の声も多く耳にします。
この記事では、毎月分配型ファンドの仕組みと、NISAとの関係をわかりやすくお伝えします。
NISAで毎月分配型は買える?
結論からお伝えすると、現行のNISA制度(2024年〜)では、毎月分配型の投資信託は「つみたて投資枠」でも「成長投資枠」でも購入できません。
「成長投資枠なら何でも買えるんじゃないの?」と思われた方も多いかもしれません。
たしかに成長投資枠は対象商品の幅が広いのですが、毎月分配型については金融庁のルールで明確に除外されています。
理由は「毎月分配金を出すことで元本が削られ、資産形成の効率が落ちる」という考え方によるものです。
- つみたて投資枠:長期・積立・分散に適したファンドのみが対象。「分配頻度が毎月でないこと」という要件があり、毎月分配型はすべて対象外
- 成長投資枠:対象は広いが、毎月分配型は2024年スタートの新NISA制度で完全に除外された
ただし、隔月分配型(2カ月に1回)や年4回・年2回分配のファンドであれば、成長投資枠で購入できるものもあります。
「定期的に分配金を受け取りたい」という方は、こうした商品を探してみるのも一つの選択肢です。
そもそも「分配金」ってどこから出ているの?
毎月分配型の仕組みを理解するうえで、まず「分配金がどこから出ているか」を知っておくことが大切です。
投資信託は、運用によって基準価額(ファンドの値段)が上昇すると、その利益の一部または全部が分配金として投資家に支払われます。
分配金の金額は、決算のたびに運用会社が決定します。
ここで重要なのが、分配金には2種類あるという点です。
普通分配金:運用益から支払われる分配金
運用によって生まれた利益から支払われる分配金を「普通分配金」といいます。これは配当所得として課税対象となります(課税口座の場合)。
元本払戻金(特別分配金):いわゆる「タコ足配当」
問題になりやすいのが「元本払戻金(特別分配金)」です。これは運用益ではなく、自分が投資した元本の一部が戻ってきているだけの状態です。
見た目は分配金として受け取れるのですが、実質的には自分のお金が返ってきているにすぎません。
タコが自分の足を食べてしまうことから「タコ足配当」と呼ばれるこの状態は、分配金が高く見えても資産全体が目減りしているケースです。
毎月分配型のデメリット:複利効果が薄れる
毎月分配型の最も大きなデメリットは、複利効果が働きにくくなる点です。
たとえば、分配金を受け取らずに再投資し続ければ、「運用益がさらに運用され、利益が利益を生む」複利の恩恵を受けられます。
資産運用における複利効果
ところが毎月分配型は定期的にお金が外に出ていくため、この複利の効果が弱まります。
具体的なイメージとして、以下のケースで考えてみましょう。
- 基準価額1口1万円で100万円分を購入
- 毎月の分配金:1口あたり150円 → 毎月1万5000円が受け取れる計算
- 課税口座で普通分配金の場合:税引き後は約1万1953円(税率約20.315%)
- 元本払戻金(特別分配金)の場合:1万5000円を受け取れるが、その分だけ元本が減っている状態
毎月1万5000円が入ってくることは魅力的ですが、その分だけ資産の成長ペースは鈍くなる点を理解しておくことが大切です。
まとめ
記事のポイントを整理しましょう。
- NISAでは毎月分配型はつみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも購入不可
- 分配金には「普通分配金(運用益から)」と「元本払戻金・タコ足配当(元本から)」の2種類がある
- 毎月分配型は複利効果が薄れるため、長期の資産形成には不向きな面がある
ただし、毎月分配型がすべての人に不向きかというと、そうではありません。
FIREを達成した方や年金生活をされている方が、毎月の生活費や楽しみのための「定期的なキャッシュフロー」として活用するのは、一つの賢い使い方といえるでしょう。
一方で、老後資金を積み上げる段階にある方は、複利効果を活かせる分配なし(再投資型)のファンドを軸に据えつつ、毎月分配型は「スパイス的に少し取り入れる」くらいのバランスが現実的ではないでしょうか。
大切なのは、分配金の仕組み、特にタコ足配当のリスクや複利効果への影響を十分に理解したうえで選択することです。
「なんとなく毎月お金が入ってくるから」という理由だけでなく、ご自身の目的とライフステージに合った使い方を考えるところから始めてみると良いでしょう。
参考資料
三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
